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”よくある話”と幸せを諦めた令嬢は、その”よくある話”で幸せを取り戻す  作者: 澪ナギ


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プロローグーSIDE:レイカリラー



 眠ってしまった親友の髪を撫でる。


「……」


 キレイな銀髪は柔らかくて、すよすよ眠るシェイレーヌはお姫様みたいだった。その静かな呼吸を聞きながら。


「……やっと」


 こぼれたのは、少し弾んだ声。


「やっとだ」


 自然と顔がほころんで、シェイレーヌの髪を撫でた。


 やっと、婚約破棄してくれた。ベイル様とシェイレーヌが。どんなにこの日を待ち望んだだろう。

 あとは、もう一つ。


「ふふっ」


 でもこれは決して、この子にはばれてはいけない。そう、まだ。まだ秘密にしていなきゃ。


「あともうちょっと」


 その日まで、まぁ、その日が来ても言うかはわからないけれど。でももしも伝えたら、どんな顔をするんだろう。驚いてくれる? それとも、笑うのかな。


「……楽しみだなぁ」


 あぁでも、と。撫でる力は少し弱まる。


「嫌われちゃうかな」


 あなたの一時的な不幸を願った私を。それは嫌だな。


「シェイレーヌ」


 名前を呼んでも、お姫様はただ寝てるだけ。私はその眠りを覚まさせることはできないけど。


 どうか、あなたの明日がたくさん笑顔であふれますように。


 そう、願って。


「もう少しだけ、私に付き合ってね」


 こぼして、また彼女の髪を撫でた。


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