「選択の重み・後編」
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本作品の連載は、5月12日より元のリンク(第一シーズン)に統合いたします。
第二・第三シーズンのエピソードはすべて第一シーズンの続きとして掲載済みですので、今後はそちらでお楽しみください。
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【第三部——破られた約束】
その夜、ヘリオは研究室に戻った。
だが一人ではなかった。
ソーン、セラフィーネ、ヴィヴィアン、エリーゼ、キラ——全員が立ち会っていた。
「見届けることにしたのか?」ヘリオは訊いた。
「死なないようにすることにしたの」エリーゼが答えた。
「死なない」
「前回も同じこと言ったわね」
ヘリオはエリーゼを見た。それからキラを。それから全員を。
「約束していた」彼は静かに言った。「もうやらないと。こんなふうには」
沈黙。
「分かっている」
キラが近づいた。「それでもやるのね」
「やらなければならない」
ヘリオは右手を上げた。
マナが流れた。
苦労なく。努力なく。
呼吸するように自然に。
三メートル離れた場所に純粋な光の球体が実体化した。直径三メートル。目も眩むほどの強度。
詠唱なし。
躊躇なし。
そして消えた。
ヘリオは疲れてすらいなかった。
「今どれだけのマナを使った?」キラは目を見開いて訊いた。
「グレンマールを一時間照らすのに十分なだけ」
「疲れてないの?」
「ほとんど」
ソーンは静かに笑った。「死にかけたのがお前のためになったようだな、少年」
「そのようだ」
キラは彼を見つめていた。「本当は何が起こったの?」
ヘリオは躊躇した。
『何か言え』リキが提案した。『全部じゃなくていい。でも何か』
「正確には分からない」ヘリオは言った。「でも……戻ってきたとき、マナは使うものじゃなくなっていた。俺の一部になっていた。完全に。そして増えた。とても」
軌跡のことは言わなかった。
夢のことは言わなかった。
より多くであるという感覚のことは言わなかった。
キラは三百年を見てきた目で彼を見ていた。
「それはあなたを危険にする」
「分かっている」
「でも不可欠にもする」
「そう願う」
*
【第四部——複製】
ヘリオはテーブルを見た。準備され、きれいに、整っている。
「二万枚のカードを一枚ずつ作るわけじゃない」彼は説明した。「不可能だ。二十四時間で二万枚は四秒に一枚を意味する」
「じゃあどうするの?」ソーンは訊いた。
「指数関数的複製。複製するDNAのように。一枚のカードが二枚に、二枚が四枚に、四枚が八枚に……」
「どれくらい時間がかかる?」
ヘリオは計算した。「約三万二千枚に達するのに十五サイクル。最大一時間」
『エレガントだ』リキが言った。
数日前に作ったカードの一枚を取った。
タイプごとに多くは必要ない。火のタイプ一枚。雷のタイプ一枚。防護のタイプ一枚。
「見ていろ。これからやることが、すべてを変える」
プロセス。クラドニ周波数。レーザー。刻まれたパターン。充填。
完璧なカード一枚。二分。
「ここまでは仕組みを知っているな。さあ新しい部分だ」
カードを取り、目を閉じた。
『カードにはすべての情報が含まれている。テンプレートだ。型だ』
完成したカードを通じてマナを流した。
存在から消しかけたあの時空バブルを再現した……だが今回はより制御できた。
視覚化し、詠唱した……
「二立方メートル。最大曲率。圧力相当:限られた体積に五十トン。T₋₃ → T₀……」
部屋が震えた。
立ち会う者たちは怯えて顔を見合わせた。
『二枚のカードを取れ。前に持ってこい』
カードが分裂した。
鏡の反射のように。
三十秒。
二枚の同一のカード。
「二枚だ」彼は言った。「さあ見ていろ」
両方をテンプレートとして使った。
同じ手順。
合計四枚。一分。
「指数関数的倍増」
第三サイクル。四枚のテンプレート。
八枚。開始から三分。
第四サイクル。八枚のテンプレート。
十六枚。
第五サイクル。
三十二枚。
「天の神々よ……」キラは囁いた。
第六サイクル。
六十四枚。六分。
「血が出ていない」エリーゼは呟いた。「震えていない」
「まだよ」キラは言った。
第七サイクル。
百二十八枚。
セラフィーネは近づいたが、近すぎないように。「どうしてこんなことが可能なの?」
「分からない。でもうまくいっている」
家は震え続けていた……強すぎない地震のようだが、それでも持続的だった。
第八サイクル。
二百五十六枚。八分。
『どう感じる?』リキが訊いた。
『いい。マナは自然に流れている』
第九サイクル。
五百十二枚。
第十サイクル。
千二十四枚。十分。
ヘリオは止まった。
地震は収まった。
水を飲んだ。パンを食べた。
「どう感じる?」キラは一種の畏れを持って彼を観察しながら訊いた。
不条理な、想像を絶する力が流れているように見えた。
「疲れた。でも消耗してない。一マイル走ったような感じで、マラソンじゃない」
キラは確認した。「心拍は上がっているが安定している。続けられる?」
「もちろん」
*
グレンマールの通りでは、人々が目を上げていた。
大地がわずかに震え始めていた。遠くの雷のように。しかし空は澄んでいた。
「何が起こっているの?」ある女性が訊いた。
「男爵様だ」ある男が答えた。「奇跡を起こしているんだ」
子供たちが走り回り、家から漏れる青白い光を指差していた。
老人たちは神々に祈りの印を切った。
若者たちは、恐れと驚嘆が入り混じった目で見つめていた。
「見たか? 光を?」
「見た。こんなの見たことない……」
「俺たちは勝つぞ」誰かが言った。「男爵様がこんなことをできるなら……俺たちは勝つ」
*
研究室の中では、ヘリオは再開していた。
数分後。
同じ式……同じ穏やかな地震が近隣の家々にも広がった。
第十一サイクル。
二千四十八枚。
第十二サイクル。
空気が熱くなった。マナが熱を放射していた。
四千九十六枚。
「半分近くだ」トマスは呟いた。
第十三サイクル。
ヘリオはマナが引っ張るのを感じた。痛みではない。抵抗。
手がわずかに震えていた。
こめかみに汗。
だが続けた。
八千百九十二枚。
第十四サイクル。
汗が流れ落ちたが、誰もあえて拭きに近づかなかった。
一万六千三百八十四枚。
「あと一回」ヘリオは囁いた。
第十五サイクル。
最後。
目を閉じた。
マナが外に向かって爆発した。
制御されて。正確に。
一万六千の同時の流れ。
夜が輝いた。
グレンマールが青い光に包まれた。
調和した唸りが空気を満たした。
子供たちは魔法だと思った。
大人たちはそうだと知っていた。
三十秒。六十秒。九十秒。
そして輝きが消えた。
ヘリオは腕を下ろした。
荒い息をしていた。
「何枚?」彼は訊いた。
トマス:「三万二千七百六十八枚」
「必要以上だ」
そして膝が崩れた。
エリーゼが彼を受け止めた。「ヘリオ!」
「大丈夫。ただ……疲れた」
意識を失わなかった。
出血していなかった。
制御不能に震えていなかった。
ただ消耗していた。
ソーンは笑った。「五十分で二万枚のカードか。五十年のキャリアで」彼は言った。「こんなものは見たことがない」
キラは確認した。
「消耗しているが健康。ダメージなし」
「よかった」ヘリオは言った。
そして目を閉じた。
十二時間眠った。
*
【第五部——奇妙な目覚め】
目を覚ましたとき、キラがいた。
「完全なチェック?」
「お願い」
彼女はすべてを確認した。終わったとき:「完全に健康よ。どうしてか分からないけど……健康だわ」
「よかった」
「ヘリオ。あなたは一時間足らずで三万二千枚以上のカードを生成した。そして健康なのよ」
「ああ」
「これは普通じゃない」
ヘリオはすぐには答えなかった。
集中した。
自分の中のマナを探した。
小川ではなかった。
……だった。
大洋。
深い。
広大な。
底が見えない深淵を持つ。
『リキ』
『うん?』
声が奇妙だった。二つの方向から同時に来ているような。
『俺のマナ』
『何?』
『違う』
長い沈黙。
それから:『分かっている』
『俺に何が起こった?』
長い間。
それから:『分からない。でもお前は変わった』
ヘリオは自分の手を見た。
右手を上げた。
一瞬——ほんの一瞬——二つの手が重なって見えた。
そして安定した。
一つの手だけ。
『疲労だ』彼は思った。
*
【第六部——配布】
配布はその夜始まった。
二万枚のカード。三千人近く。一人十枚ずつ。
火二枚。障壁二枚。雷撃二枚。氷結二枚。光明二枚。
さらにジョーカー五枚:風、大地、水、音、重力。
防衛者一人につき十五枚。
年老いた男——大工——は自分のカードを金のように見つめた。
「十五枚。俺に。大工に」
「お前に。グレンマールの防衛者に」ヘリオは言った。
「必要なら、使う」
「いい」
訓練は一晩中続いた。
ソーンがルールを叫んだ。
「命令なしに村の中で使うな! パニックなしで連携しろ! カードを無駄にするな!」
「弱者を守れ!」
人々は練習した。
農夫が火のカードを起動した。炎が的に向かって飛んだ。
命中した。
男は自分の手を見た。「俺がこれをやったのか?」
「そうよ」セラフィーネは言った。「今、あなたは魔術師よ」
ヴィヴィアンは物資を整理していた。
備蓄。水。食料。包帯。
「三日分の完全な備蓄」彼女は報告した。「配給すれば五日」
「そんなに持たない」ヘリオは言った。「早く勝つか、まったく勝てないかだ」
*
【第七部——軍の行進】
東に百五十キロ、ソルマールの軍が進軍していた。
五千の兵士。
千の騎兵。
二十人の魔術師。
五十の攻城兵器。
そして中央に:アルドウス王。
その隣に:マグナス。
大魔術師は手綱を強く握りすぎて馬を進めていた。
「陛下」マグナスは言った。「懸念を再度申し上げねばなりません」
アルドウスは溜息をついた。「言え」
「ヘリオ・ヴァロリンは……」
「分かっている、マグナス。分かっている! だからグレンマールに送った。死ぬことを願って」
「しかし生き延びました」
「だから五千の兵士を連れてきた、マグナス。あの少年を甘く見ていない」
「彼だけではありません。鎧もあります」
「自己修復する鎧」マグナスは確認した。「何百も。誰も再現できない」
「見た」
「デレン・ヴォス——何にも忠誠を持ったことのない傭兵——がグレンマールに留まるために千ゴールドを断った」
間。
「彼さえ残ることを選ぶなら、金より価値のある何かを見たということです」
アルドウスは答えなかった。
黙って馬を進めた。
マグナスは彼を観察していた。
「なぜグレンマールに送ったか分かるか、マグナス?」
「死なせるためです」
「死んだ土地、毒された水。誰もあそこでは生き延びられなかった。誰も」
「しかし」
「しかし六ヶ月で、忠実な民を三千人持ち、不可能な技術を持ち、ヴァルデメーレとの商業を持ち、名声を高めている」
間。
「私の最も優雅な計画。私の最も完全な失敗」
マグナスは頷いた。「そして今、戦争が口実を与える」
「グレンマールは国境にある。防衛されていることを確認する義務がある。そしてもし男爵が……不運な立場に陥れば……」
文を宙に浮かせた。
マグナスは震えを感じた。
『私たちは私の杖を小枝のように折った少年に向かって進軍している』
『そして王は五千の兵士で十分だと思っている』
『十分でなかったら?』
将軍が近づいた。「陛下、斥候が報告を」
「言え」
「強化された城壁。新しい建造物。人口約三千」
「知っていた」
「他にもあります。昨夜……光が。村全体が青い光で輝いていました。ほぼ一時間」
沈黙。
マグナスは目を閉じた。
『青い光。丸一時間』
『何を意味するか分からない』
『だが良いことではない』
「何かを準備している」マグナスは呟いた。
「当然だ」王は言った。「だから進軍している」
文を終えなかった。
その必要はなかった。
*
【第八部——城壁の上で】
ヘリオは城壁の上に立っていた。
風が髪を乱していた。
東を見ていた。
空っぽの平原。まだ無垢な。
数日のうちに鉄で覆われるだろう。
『怖いか?』リキが訊いた。
『いいや』
『確かか?』
『ああ』
『なぜ?』
ヘリオは振り返った。
グレンマールを見た。
家々。畑。遊ぶ子供たち。
三千人近くの人々。武装して。準備して。
一人一人が十五枚のカードを持っている。
昨日まで魔術師だけのものだった力。
今日、すべての者の手に。
ヴィヴィアンが部隊を編成しているのが見えた。
エリーゼが戦闘員を訓練しているのが見えた。
ソーンが戦略を教えているのが見えた。
両親が老人を助けているのが見えた。
ナラが子供たちに障壁を教えているのが見えた。
三千の魂が一緒に働いている。
強制されたからではない。
選んだから。
『彼らに力を与えた』彼は思った。『今、彼らが何をするか見届ける』
『これが本当の実験だ』リキは言った。『人々だ。常に人々だ』
『ああ』
『なあ、俺の世界で、誰かが人々に似たような力を与えた。それから彼らは恐ろしい兵器を作った。一瞬で都市全体を破壊した。百年経っても消えない傷を残した』
間。
『いつもうまくいくとは限らない』
『これは違う』
『みんなそう言う、ヘリオ』
『今回は違う』
リキは黙った。
おそらく反論がなかった。
あるいはおそらくヘリオが正しいことを願っていた。
*
その夜、星の下で、グレンマールは準備した。
戦争のために。
生存のために。
不可能のために。
奇跡のために。
もう一度。
ヘリオは城壁の上に残り、地平線を見つめていた。
東のどこかで、五千の兵士が進軍していた。
西のどこかで、別の軍が準備を整えていた。
二つのハンマーが金床に落ちようとしている。
そしてグレンマールは真ん中にある。
『リキ』
『うん?』
『俺たちが勝つ確率は?』
長い沈黙。
『計算したくない』
『そんなに低いのか?』
『いいや。計算しても意味がないからだ。お前は確率に関係なくやるだろう』
ヘリオは微笑んだ。
『俺のことをよく分かっているな』
『お前の頭の中に住んでいるからな。難しいことじゃない』
風が吹いた。冷たく。清らかに。
明日から、すべてが変わる。
だが今夜は——今夜だけは——グレンマールは静かだった。
星が冷たく輝いていた。
来る嵐を知らない。
あるいは知っていて、気にしていないのか。
星は常にそうだ。
無関心だ。
だが人間は違う。
人間は戦う。
希望のために。
愛する者のために。
そして時には——ただ時には——勝つ。
ヘリオは目を閉じた。
深く息を吸った。
そして心の中で、静かに、誓った。
『必ず守る。何があっても』
リキは何も言わなかった。
言葉は必要なかった。




