帰還と徒労感と
ごめんなさい
寝落ちして変な時間に起きちゃったので、この時間の投稿にしました
ダメ親父
2026-06-01 9:00
俺達はザーベックとの約定通り、厄介な魔物の殲滅を終え帰路につくことになった。
案の定というか、すったもんだはあった。
まずリフ。
リッチの生け捕りという無茶をレミドに押し付けられてたが、
「飲み込んでおきました。」
とかふざけた方法で解決したらしい。
「消化できないんで吐き出せば大丈夫です。」
って、意味がわからん。
「………で、吐き出した後は捕縛しておけるんだろうな?」
そう聞いてみたが、
「それはレミドさんの仕事ということで。」
とご機嫌だった。
「ああ、そうかよ。」
目眩がしてそうとしか言えなかった。
周りのアンデッドはブレスで一掃したらしい。
「取り巻きが多くて大変じゃなかったか?」
と、一応聞いてみたが、
「上空から広範囲ブレスで焼いたので。」
だそうだ。
「何匹かは逃げちゃいましたけど、個体的に強そうじゃなかったんで、魔族の人達でも対処できそうかなって。」
「そうかよ。」
「逃げたアンデッドは百もいないはずですし。」
雑な仕事しやがって、クソが。
そしてバル達、亜竜フミクルソスの討伐に回ったチーム。
数の暴力に泣かされていた。
「個体数が多い」とは聞いていた。
だが百を超える群れが二十二とは聞いていない。
マジで説明が雑だな、リフは。
というか俺と爺様、リフが合流した時、三割も狩れていなかった。
そりゃそうだ。
分散してるとはいえ、総数二千を有に超える亜竜の群れなんだから。
そもそもリフと先に合流したのも、数の認識が大きくズレていたからだ。
放っておく訳にもいかなかったってのも勿論ある。
だが病原菌対策で遺体を焼くのに、リフを使いたかったって理由が大きい。
じゃなきゃ魔族達に近寄らないように徹底させて、バル達と先に合流しただろう。
「どうすんだこれ………。」
俺がぼやいても、爺様もリフも知らん顔してくれた。
ちょっと泣きそうになった。
嘆いてても仕方ないので、チームを組み替えた。
バルとレミドで一組。
単体攻撃と面攻撃の両方に優れている。
いやリッチの話は後にしてくれ、レミド。
マジで。
爺様と、一群れ丸ごと狩り終えてなお余裕そうな俺の親友で一組。
正直、ニコニコキラキラした笑顔のこいつを、後ろから張り飛ばしてやりたかったが、ぐっと堪えた。
一暴れしてスッキリしてたのはバルもだったが。
まあ鬱憤が溜まってたんだろうな、二人も。
爺様は単体攻撃担当、面攻撃は勇者様担当。
そう言って納得させた。
俺とリフは単独行動。
リフは単体で十分。
「ブレスに魔族を巻き込むなよ。」
とだけリフには釘を差した。
「じゃあ、首を刈りますね。
食材にも出来ますし。」
もう好きにしてくれ、とは喉元まで出てたが飲み込んだ。
俺はザーベック軍が薄いところをフォロー。
魔術に長けた魔族に面攻撃を任せて、俺が単体攻撃に回ればそう大惨事にはならないだろう。
なんか結局、貧乏くじな気がするのはなんだろう。
「それぞれ近場から回って。
リフは上から見て、数の多い群れから優先して潰してってくれ。」
全員が頷いたのを見て、行動再開した。
そしてすぐに計算違いに気づいた。
迫りくる爪と牙を躱しながら。
ザーベック軍が周りにいて共闘してるなら、レミドや勇者様も単体攻撃に回したほうが効率が良さそうだと。
だが動き出してしまった以上、修正は難しい。
夜になって休むまで、動き続ける他にやりようがなかった。
結果としてフミクルソスの討伐には丸二日かかり、ただただゲンナリさせられた。
そして今日。
俺達の出発に見送りはなし。
魔族達にそんな余裕はない。
魔物との戦闘自体はまだ続いていた。
俺たちが手伝いはしたが、それは危険な局面だけだ。
「後は我々で。」
そう言って俺たちの報告を聞いたザーベックの指揮官が送り出してくれたが、疲労の色が顔に、声に溢れていた。
かけるべき言葉が見つからず、俺と親友はただ騎士の礼を執って、ザーベックの陣を後にした。
荷馬車を三台連結してリフが引いている。
中身は魔石と素材。
フミクルソスのものだ。
猿は焼いたと言った時のレミドの顔は酷かった。
ゴミを見るような目で見てきやがって。
「魔石だけでもかなりの情報が得られるのに焼いた?
賢いくせに馬鹿なのかしら。
ものを知らないというか、本当に嫌になるわね。
リッチを飲み込んでくれたリフにも劣るわね、まったく。」
鼻面歪めて大層ご立腹、うるせえ事この上なかった。
黙ってりゃ、銀髪グラマラスの美人なのに。
「これ、早く換金?でしたっけ。
済ませちゃってくださいよう。」
なんていうリフの文句もさっきから止まらない。
お前のせいで馬が怯えて使えないんだっての。
俺だって何も好きでこんな荷物を抱えてる訳じゃない。
例の疲れた指揮官に押し付けられたのだから。
「我らも今後の食料事情が問題なので肉は渡せないのですが、それ以外の素材はせめてお持ちください。
冒険者の取り分が八割でしたな。」
だそうだ。
固辞したのだ、俺もリフを慰めているあいつも。
「ごめんね、断り切れなくて。
というか断ったんだけどなあ。」
そう、やつの言う通り断ったのだ。
だけど朝に伝令が駆け込んで来て、
「馬車を三台ご用意しております。
お使いください。」
とだけ言って、返事も聞かずに走り去ったのだ。
「魔族は義理堅いやつが多いからな。
ここまでされて置いて行くのも失礼ってもんだ。」
とはバルの言だ。
うるせえよ、半笑いで言いやがって。
「なに、よいではないか。
路銀と小遣い、ただ働きにならずに済んだと思えばのう。
リフやのエサ代にもなろう。」
こいつにエサ代なんざ必要ないんだっての。
わかって言ってんだろ、爺様。
こんなもんなければ、こいつに乗って一飛びで帰れるんだし、路銀の心配すら要らない。
しかもこの量。
フミクルソスの爪と牙、魔石。
千八百匹分だぞ。
そこらの協会じゃ換金しきれない。
デカい街まで行かなきゃならないんだから。
「なあ、お前ら先に帰れよ、リフに乗って。
俺は馬を調達してどこかで換金して行くからさ。」
「それは駄目だよ。
俺たちが全員揃う、最後の旅かもしれないのに。」
そうだけど。
わかってるけど。
「二つまでなら僕が抱えて飛べるんですけどね。」
そういう問題でもねえんだわ、リフ。
「あら、いいじゃない。
一台分を近場で換金して、後は王都で精算って事で。」
「いや、六百匹分でも近場で換金できねえよ。
まだわかってねえな、レミド。」
呆れ顔で返すバルの言う通りだ。
いや待てよ。
「そうか。
近場の協会に全部押し付けて、預かり証を発行してもらえば。
で王都で換金と。
それでいこう。」
「それでもいいかもしれねえが、検品だのなんだので三日は足止めされるぞ。
いいのかよ。」
そうなんだけどね、バル。
「こんなヒドい絵面で旅をするよりマシだろ。」
「まあな。」
「決まりだね。
よかったね、リフ。
街までの辛抱だよ。」
呑気か、まったく。
見てみろ。
戦場を行き来する馬車を。
ギョッとしてこっちを見る御者さんお顔と、怯えて暴れそうになってる馬をよ。
申し訳なくて仕方ないっての。
漏れるため息はつきなかったが、それも仕方ない。
コルミアに入るのも躊躇われたので迂回し、道中はすべて野営。
ミレリアにたどり着いたのは徒歩だったのもあり、五日後のことだった。
そしてきっちり三日。
預かり証を発行してもらうのにかかり、街の外で待つリフが迷惑だと毎日文句を言われた。
勇者様には言いにくいのか、俺が。
その間に魔禽が着いた。
「リフィルシャールの受け入れが整った。」
文にはそうあった。
お疲れ様です、グレゴリオ閣下。
リフの背に乗って。
ようやく王都が見えたのは、緊急でみんなの後を追い、一人飛び出してから二十四日目。
よく晴れた昼下がりのことだった。
やっと停戦問題解決!
長かった、ホントに
次からはいよいよ二章の最終パートです
お楽しみに!
最後に、お読みくださった方々、ありがとうございます
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それではまた次回で!
次回 終わりと始まり(6/7 19:00予定)




