かつての話 その3
高く上空を舞う半裸の巨体。
その信じられない光景を、私はただ呆然と眺めることしかできなかった。
「――っおっとと!」
床に激突しそうになった巨体を白衣の男は慌てて抱え込み、そっと床に寝かせる。
「あ! えっーとぉ、僕はこれで……」
そしてそのまま、どこか気まずそうにその場を立ち去ろうとした。
それをみてハッとなった私は、慌てて彼の肩を掴む。
「待ちなさい。さっきのはどういうことか説明して」
「いや~、その~、え~っとぉ……」
彼はバツが悪そうに視線をあちらこちらへそらす。どうにか言い訳しようと考えているのが丸わかりだ。
「……今の、見なかったことには、出来ませんかね……?」
本人にもバレてる自覚があるようで、半ば諦めるように私の目を見てくる。
呆れた私はため息をこぼした。
「…流石にさっきのは、見なかったことにはできないわね」
――――流石に観念したらしい彼は、事の一部始終を洗いざらい白状した。
彼がここに来た目的。
そして、さっき私の目の前で見せたあの謎の力の正体。
「なんてこと……信じられない……」
私が知った真実は、衝撃的なものだった。
それはもはや、帝国内だけで収まるような話ではない。ヘタすれば、この世界の常識が根本から覆りかねない、とんでもない話。
なんと、彼は――――『超法則を再現する物質』の研究のために、ここに来ていたというのだ。




