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かつての話 その2


 ――――それから、五分位は歩いた気がする。

 ふと気付いたころには、先程までの見晴らしのいい光景とはうって変わった、木々生い茂る森林地帯に足を踏み入れていた。


「この山にもこんな森があったのね。ここで超法則を使ったら流石に怒られるかしら……」


 いくら兵隊の一人といえど、超法則が使えないと少し面倒だ。

 ここは引き返した方が――――


「――あら? あの人……」


 引き返した方がよさそうかなと思った矢先。視界の先に誰かの姿を捉えた。


 その人物は真っ白な衣装を全身に纏い、そのせいもあって土汚れがひどく目立つ姿をしていた。

 採掘者達は作業時に汚れることを当然のように理解しているため、汚れてもよさそうな服、というより、汚れが目立たないよう土色っぽい服装を身に纏うことが多い。そのことから考えると、アレが採掘者達の誰かということはなさそうだ。


 となると。


「…………」


 私は、彼に気付かれないよう気配を消しながら近づく。

 彼との距離が近くなると、段々何かが聞こえてくる。どうやら独り言をつぶやき続けているようだ。


「この土と草を7:3の割合で混ぜて、そこにこの石を2割くらい混ぜると合成効果が起きるから……その代わりにこっちの石を混ぜてみたら、合成効果の制御ができるかも……いやでもこの草とは成分的に反発するかも……」


 何を言っているかは分からないけれど、どうにも不審だ。


「ちょっとそこのアナタ!!」


 一応警戒のため少し離れた位置から大声で呼びかける。

 彼の体が明らかに大きく跳ねた。その反応からして、どんな目的かは知らないけれどここへは不正に入り込んだということには間違いなさそうだ。


 彼は恐る恐るといった様子でこちらへと顔を向ける。眼鏡をかけたその姿は……学生というより、研究者のように見える。

 しかもよくみたら、妙な装飾のある手袋と靴を身に着けているようだ。どちらも、色とりどりの石のようなものがバラバラと埋め込まれている。


「あ、あなたは……?」

「アナタこそ、そこで何をしてたの? 見たところ採掘者じゃなさそうだけど?」

「あえっと、僕はそのォ~」


 何をしてたのか聞いたら、分かりやすくしどろもどろになりだした。……ますます怪しいわね。


「汚れで気付かなかったけど、意外と身なりが整ってるわね。ここは他所の国からはちょっと遠いはずだし、まさか帝国内の人間かしら。あなた、超法則は使えるの?」

「つ、使えません……」

「なおさらダメじゃない!

 ……あのね、一応教えてあげるけどここは意外と危ないところなのよ? 採掘者でもないあなたが護衛もつけずに入り込むなんて……不法侵入以前に自殺行為だわ!」

「そ、それは……その……」

「いい? 今回だけ見逃してあげるから、さっさと帰りなさい。 ここは危険――」


「あ、危ない!!」

「――――え?」


 気付いたときには、反射が光り輝く頭をした半裸の男が私目掛けて斧を振りかざしていた。


(しまった、気付くのが遅れた!)


 私は咄嗟に超法則を使おうとしたが。


「――なっ……!?」


 私が超法則を使う、それよりも早く。

 私のすぐそばにまで接近していた白衣の男が、半裸の男を殴り飛ばしていた。


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