9話 メニューを決めよう
「まあ、とりあえず、やらかしを悔やむのは後にして、今は急いでメニューを考えよう。ちなみに食材にはどんなものがあるのかな? まさか、食材を準備していない、なんてことはないよね?」
「ええ、その点に関してなら心配は不要です。食材は全て店の貯蔵庫に用意してありますし、種類もかなり豊富に取りそろえていますから、どんな料理でも作れますよ!」
「良かった。じゃあ急いでメニュー作りを進めるね――と言っても、今はゆっくり検討しているヒマがないから、うちの近所の喫茶店と同じメニューでも構わないかな?」
「ええ、もちろん構いませんとも! しずくさんが作る料理は何でも美味しいと、天音さんからいつも自慢されていましたしね」
「え。叔母さんてば、そんなことを言ってたの? 何だか恥ずかしいなあ」
照れながらも、持参したノートにメニューを書き出す手を止めないしずくを、マスターが頼もしそうに見つめている。
一人と一匹で相談した結果、異世界にある食材の扱いに慣れるまでは、メニューの数を少なくすることにした。
まず、ドリンク類は、オリジナルコーヒーとブレンドコーヒー、カフェオレ、ブレンドティー、ミルクティーの五種類と、オレンジジュースとリンゴジュースの、ソフトドリンク二種類だけに絞り、コーヒーと紅茶はホットとアイスで提供する。
そして軽食には、卵とハム、チーズと蜂蜜の、計二種類のサンドウィッチとオムライスを、デザートには比較的短い時間で簡単に作ることができるプリンとレアチーズケーキ、レアチョコレートケーキの三種類を用意することにした。
「とりあえずこんなものかな? あとは、お客さんの反応を見ながら、少しずつメニューを変えていけばいいと思うんだけど」
「ええ。ぼくも、それがいいと思います!」
「じゃあ次は、お客さん用のメニュー表を作らなくちゃね」
「客に出すとなると、やはり、テーブルと同じ数だけ作っておく必要がありますよね?」
「そうだね。可能であればそうしたい所だけど、もし無理なら、黒板にメニューを書いて目立つ場所に立てかけておくっていう方法もあるよ」
「いえ、その必要はありません。どんな感じのメニュー表にするのか、詳しく教えてもらえれば、くの魔法でいくらでも量産できますから」
「ホントに? じゃあ、急いでメニュー表のデザインを考えるから、少し待ってて!」
それからしばらくして、しずくがノートに描いたデザイン案を見せ、使う色の希望や文字や絵を配置する場所を詳しく説明すると、マスターが再び魔法を使い、彼女の指示通りにメニュー表を作り出して見せた。




