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神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第二章 引きこもりの竜と仲直りのチーズケーキ

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87話 作業終了!

「うん、このケーキも申し分のない仕上がりです! お疲れさま、りりちゃん。これで全てのケーキが完成したね!」


 最後の一ホールだけは、タルト台作りから始まる全ての工程を、ヴィリオーサだけでやり遂げた。出来栄えを確認したしずくから満点をもらった彼女は、初めて誇らしげに微笑んだ。


「これで全部作り終えたきゅる!」

「とうとう、やり遂げたきゅる!」

「お疲れさまきゅる~!」



 神事を明日に控えた日。

 時計の針が、午後三時過ぎを指し示す頃、ようやく予定していた数のクリームチーズケーキを、全部作り終えることが出来た。

 

 ケーキ作りが完了した事は、シグベルムの神殿の花壇と、死神蜜蜂たちの巣の近くにある花畑の花をヴィリオーサが咲かせて知らせることになっていたので、早速彼女が魔法を使っている間に、しずくはお土産のサウー砂糖とケーキが入った手提げ袋を〈白い死神〉に手渡すと、彼が袋の持ち手をしっかりと両足で掴んで北へ飛び去って行くのを見送った。

 

 最後の一ホールをきっちり凍らせた〈白い死神〉が、おやつも食べずに帰ってしまったのは、昨晩神殿に戻らなかったことがバレたせいで、テスレンカ法国が大騒ぎになっているとわかったからだ。

 何でも、神官たちへの連絡をサボったせいで、守護神が行方不明になったと神官たちが騒ぎ出し、なにやら大ごとになってしまったらしい。

 彼を迎えに来た、配下(?)らしき青い小鳥たちから散々小言を言われた〈白い死神〉は、いかにもうんざりした顔をしながら帰っていった。


「全く。こうなったのは自業自得でしょうに」

「あはは。いかにも、小鳥さんらしいよね」


 残った者だけで遅い昼食を終えてからしばらくすると、ケーキの輸送を請け負った死神蜜蜂と、輸送先の指示役であるワトルたちがやって来た。


「ケーキを下ろす場所には、赤い旗を立てた神官たちが待機しています。そこに荷を下ろして頂いた後は、彼らが城壁の中に輸送しますので、あなたがたは、また店に戻ってケーキを運び出してください」


 ワトルがそう説明すると、死神蜜蜂たちの方から、一度に五匹ずつ、時間の間隔をあけて輸送したいと提案してきた。


 ──もし、人から恐れられている死神蜜蜂が大挙してやって来るのを目にした場合、たとえケーキを運ぶだけだと分かっていても、城壁前で待機する神官たちが恐慌をきたすかもしれない。


 恐ろし気な見た目に反し、紳士の心を持つ死神蜜蜂たちは、そのように考えたらしい。

 彼らの細やかな気遣いに感激したワトルは、尻尾を振りながら何度もお礼を言っていた。


「死神蜜蜂さんは、ごーちゃんに負けず劣らずの、気配りの達人だね」

「名前や見た目はともかく、中身は本当に紳士ですねえ」


 しずくやマスターが感心する中、ヴィリオーサからの要請で駆けつけた真っ赤な紳士──死神蜜蜂──たちが、正確無比に輸送を行ってくれたおかげで、しずくたちは予定していたよりもずっと早く、全てのケーキをシグベルムへと搬入することができた。

 あとはもう、しずくたちに出来ることは何もない。あるとしたら、明日に備えてしっかり休息をとることぐらいである。




「りりちゃんのベッドを用意してくるきゅる!」

「ふかふかの枕とあったかい毛布を出すきゅる!」

「りりちゃんは、ももたちが呼びに来るまで、ここで待っててほしいきゅる」

「ちょっと落ち着きなさい! まずは、ぼくがもう一つベッドを出してからです!」


 皆で夕食を済ませた後、今夜はヴィリオーサと一緒に寝ることになったモモたちは、マスターを伴い、はしゃぎながら二階の住居へと駆け上がって行った。

 突然自分だけがぽつんと残されて、呆然としているヴィリオーサに、しずくが笑いながらホットミルクを持って行った。


「みんなまたすぐに戻って来ると思うから、それまでの間、これを飲んで待っていてね」


 そう言って、湯気の立ち上るカップを置いて、夕食の後片付けのためにカウンターに戻ろうとしたしずくを、ヴィリオーサが慌てて呼び止めた。


『──しずくちゃん、あの、まってください』

「はい?」

『わたし、しずくちゃんとお話しがしたいです。少しだけ、時間をもらえませんか?』


 自分から話しかけて来たヴィリオーサに驚いたしずくは、少しだけ戸惑いながら、彼女の向かい側の椅子を引いた。


この話、だれもご覧になっていなかったとは思いますが、約一分間くらい、間違えて43話のあとにUPしちゃってました(;´∀`)

われながら、うっかりが過ぎる……

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