表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第二章 引きこもりの竜と仲直りのチーズケーキ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
73/97

73話 悪いのはわたし

「良かった、やっと体が温まったみたい。マスター、ありがとうね」


 しずくがほっとした顔でそう告げると、ようやく翼を動かせるようになったヴィリオーサが、マスターに向かって、ぺこりと頭を下げた。


「ぼくに頭を下げる必要はありません」


 マスターは、とても気まずそうな顔でヴィリオーサに告げた。


「昨日は、ひどいことを言って済みませんでした。ぼくは単に事実を述べただけで、あなたを侮辱するつもりはさらさらなかったのですが、今にして思えば、あなたの気持ちに対する配慮が欠けていたと思います。ですから、この通り謝罪します」


 だが、マスターから頭を下げられたヴィリオーサは、何度も(まばた)きしながら戸惑っている。それというのも、彼女は自分がひどいことを言われたにも関わらず、マスターに非があるとはこれっぽっちも思っていないのだ。


 ──マスターにひどいことを言われたのは、わたしの声が(みにく)いせい。だから悪いのはわたしのほう。


 そう思い込んでしまっている彼女は、マスターから謝罪される理由がわからないままで、ひたすら困惑している。

 しばらくの間、そんな彼女の様子を怪訝(けげん)な顔で見ていたマスターは、彼女の筆談による説明でその事実を知ると愕然(がくぜん)とした。







「彼女は、何故あんなにも自己肯定感が低いのでしょう? 悪いのはぼくなのに、彼女はまるで、全て自分に非があるような表情をしていました……」


 カウンターの上に戻って来るなり項垂(うなだ)れたマスターに、フライパンの火を止めたしずくが苦笑を浮かべる。


「きっと長い間、誰とも顔を合わせず引きこもっていたせいで、りりちゃんは自分を()めてもらったことがないんだよ。だから、いつも自分に自信が持てずに引け目を感じてしまう──たとえ姿や声が怖くても、彼女は作物を実らせたり綺麗な花を咲かせることができる、とっても素敵な神様なのにね」

「……なるほど。そういうことだったのですね」


 マスターが神妙な面持ちでいると、ぽてぽてとシュクレドラゴンたちがやって来た。ポピーの頭の上には、何故か(しお)れて元気のない〈白い死神〉が乗っている。


「ん? みんなどうしたの?」

「あのね、小鳥さんが、りりちゃんに『ごめんなさい』したいって言ってるきゅる」

「小鳥さんが、そんなことを?」

「何かの間違いではないのですか?」


 しずくとマスターが、思わず顔を見合わせる。

 あの、自由気ままで傍若無人(ぼうじゃくぶじん)な〈白い死神〉が、ポピーたちに小言を言われただけで、素直に反省するとは思えないのだが……。


 首を傾げるしずくたちをよそに、〈白い死神〉はポピーの頭の上からふわりと飛び立つと、ヴィリオーサがいるテーブルに舞い降りた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ