表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第二章 引きこもりの竜と仲直りのチーズケーキ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
71/97

71話 強制連行

「小鳥さん?!」

「やはり、あなたでしたか……」


 驚くしずくのそばで、マスターがうんざりした顔をしている。


「さっき、空から何か降ってきたけど、あれは小鳥さんのしわざだったの?」

『つれてきた』

「連れて来た? 誰を?」

『おまえたち、こまってた。だから、おれ、つれてきてやった』


 〈白い死神〉は、「だから()めろ」とでも言わんばかりに、瑠璃(るり)色のつぶらな瞳を向けて来た。

 何となく嫌な予感がしたしずくは、思わずマスターと顔を見合わせる。


『ヴヴヴヴ……』


 店の外から、地を()うような恐ろしい(うな)り声が聞こえて来たのは、その時だった。


「ひえっ!?」


 驚いたしずくが体を強張(こわば)らせると、シュクレドラゴンたちが、急に慌てだした。


「しずくちゃん、大変きゅる!」

「今の声、りりちゃんきゅる!」

「助けて、って言ってるきゅる!」

「ええっ!?」


 慌てて店を飛び出すと何故か外は猛吹雪で、辺りは真っ白で何も見えない状態になっていた。


「寒っ! 何これ?! ついさっきまでは雨だったのに!」

「立っているだけで凍えそうきゅる」

「うう……しっぽの先まで、ちべたいきゅる」

「なんだかねむくなってきたきゅる……」

「しっかりしてモモ! ここで眠っちゃだめ!」


 彼らが猛烈な寒さの中で震えていると、すぐそばで、何か大きなものが身じろぎする気配がした。


「まさか!」


 はっとしたしずくが、気配がした方に駆けて行くと、目の前にこんもりとした雪山が現れた。苦しそうな(うめ)き声は、この巨大な雪山の中から聞こえてくるようだ。


「……もしかして、りりちゃんなの?」


 すると次の瞬間、雪山からゆっくりと首が生え、巨大な竜の顔が現れた。

 返事はなかったが、その大きな金色の目からは、次々と大粒の涙がぼちゃんぼちゃんと零れ落ちている。


 手足と翼、口の周りを氷漬けにされて身動きできない状態で、苦しそうに唸り声を上げる深みのある紅色の竜は、間違いなくヴィリオーサだった。


「これはひどいきゅる……」

「氷で作った(なわ)で、身動きがとれないようにされてるきゅるよ……」

「これをやったのは、きっと小鳥さんきゅる。容赦がないきゅる」


 ドン引きしている三匹のドラゴンたちの会話を聞いて、しずくは遠い目をした。


 ──これって、「連れて来た」のではなく、「拉致(らち)してきた」の間違いなのでは?


 マスターの暴言に傷ついて巣にこもっていたのに、無理やりこんなひどい目に遭わされたら、ますます引きこもりに拍車がかかってしまうのではないだろうか。


 目の前で泣きながら震えているヴィリオーサを前に、しずくは寒さを忘れる程に心配した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ