41話 神官たちからの依頼
「──しずく様、マスター様」
「どうしました? なにか料理に問題でも? まさか、お口に合いませんでしたか?」
真剣な顔で話しかけられて不安になったしずくが、思わずカウンターから身を乗り出すと、クアウラが慌てて否定した。
「い、いえ! 決してそのようなことは! 今日も大変美味しくいただきました。できれば、毎日通って食べたいほどです」
「よ、よかったあ! 急にそんな顔で話しかけられたので、何事かと思いました」
「誤解させてしまい、申し訳ありませんでした。実は、今日われわれがこの店にやってきたのは、食事以外にも目的がありまして──」
しずくが、何だろう? と首を傾げていると、胸の前で両手を握りしめたクアウラが、思いつめた顔で申し出た。
「実は、折り入って皆さまにお頼みしたいことがあるのです!」
(これはもしかして、困り事の相談なのでは?!)
目を輝かせたしずくとマスターが、素早く顔を見合わせる。こほん、と咳払いをしたしずくが改めて二人に問い直す。
「それはつまり、何かお困りごとがある、と言うことでしょうか?」
「はい。実はそうなのです。私も含め、シグベルムの国民全員が、どうして良いかわからずに困っております」
予想が大当たりしたことで、カウンターの上にいるマスターが、嬉しそうに翼をぱたつかせている。
だが、彼らの困り事とはいったい何だろう?
(シグベルムは農業や酪農が盛んらしいから、やっぱり作物の育ちが良くないとか、牛の乳の出が悪いだとか、そういう感じの悩みかなあ?)
考え込むしずくをよそに、クアウラが話を続ける。
「皆で相談しても、一向に解決策が見つからずに困り果てていた時、奇しくも、百五十年に一度の神事を週末に控えている今、マスター様がこの地を訪れたのは、きっと創造神ゼオロビム様の助けに相違ありません!」
「……。ずいぶんと大げさな物言いだね」
「まあまあ、マスター。とりあえず話だけでも聞いてみようよ。それで、私たちに頼みたいことっていうのは?」
マスターが鼻白むのを宥めながら問いかけると、たちまちクアウラが苦々しい顔になる。
「お頼みしたいこととは、他でもありません──皆さまのお力で、わが国に恐怖をもたらしている竜を倒していただきたいのです」
「はえ?!」
驚きのあまり、変な声が出た。




