表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第二章 引きこもりの竜と仲直りのチーズケーキ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
38/97

38話 堕ち神

「おお、これも美味しそうですね! わざわざお気遣い頂いて、ありがとうございます」


 クアウラという名のシェパードの青年が、カットされた果物が添えられたプリンを見て、嬉しそうに笑っている。


「いえいえ。お二人はとても偉い神官さんなのに、何だか大変ですね。今回みたいに、よそから神様が訪れるのは、よくあることなんですか?」

「ええ。どこの地域でも、それほど珍しいことではありません。神が気まぐれで店を出したり、姿を変えて市井(しせい)に混じって暮らしたりするのは、わりと頻繁にあることですので」

「頻繁にあるんだ?!」


 あまりにも神と人との距離が近いことに驚いていると、マスターが苦笑しながら説明してくれた。


「ぼくらはとても長生きですから、(ひま)を持て余してそのようなことをする者が多いのです。まあ、自分に課せられた役目を(おろそ)かにしない限り、特に問題はありませんしね」

「じゃあ逆に、ずっと遊びほうけたままで、役目を果たさないでいたらどうなるの?」

「次第に自分が神であることを忘れて、周囲に害を及ぼすようになり、やがて()ち神と化してしまいます」

()()()?」

「あちらの世界で言うところの邪神というやつです。堕ち神はこの世界に害悪しかもたらさないので、一度そうなってしまうと討伐するしかありません」

「神様なのに、討伐しちゃうんだ……」


 しずくがいた世界では到底ありえない話の数々に、理解が追い付かなくなりそうだ。


「とはいえ、僕たちだけで討伐が可能なのは、力が弱い神に限ります」


 ワトルという名のコーギーの青年が話に加わった。


「たとえば、昨日のような、膨大な神気(しんき)を持つ神を討伐することは、まず不可能です。もし、下手に手出ししようものなら、怒りを買って国が滅ぼされかねません」

「じゃあ、どうするのですか?」

「以前僕が読んだ古い文献によると、過去に強大な力を持つ()ち神を討伐した際は、他の神々のお力をお借りしたようです」


 他の神々まで巻き込んだというからには、討伐した際に相当な被害が出たのではないだろうか。

 いくら人との距離が近いとはいえ、やはりこの異世界でも、神が(おそ)れるべき存在であることに変わりはないのだ。



 二人の犬人族が、何度もマスターに感謝しながらシグベルムへ帰って行った後、しずくが難しい顔をして堕ち神について考えていると、ぱたぱたとマスターが飛んできた。


「しずくさん、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。もし、ぼくの知っている神が堕ち神になりかけたら、すぐにそいつを叩きのめして根性を入れ替えてやりますから!」


 まるっこい蛇のぬいぐるみにしか見えないマスターが、かわいらしい声にそぐわない勇ましいことを言い出したので、しずくは思わず吹き出してしまった。


「しずくさん?! 笑うだなんてひどいじゃないですか!」

「ごめんごめん。でも、おかげでとても安心できたよ」

「それならいいですけど……」

「ねえ、いつもマスターが小鳥さんに厳しくしていたのも、小鳥さんが堕ち神になるのを防ぐためだったの?」

「いえ、あれは単に、周囲の迷惑を顧みない勝手な振る舞い対して、教育的な指導を行っているだけです」


 意外なことに、〈白い死神〉はいつも自分の役目はきっちりと果たしているそうだ。


「ですが、もし万が一彼が堕ち神になったら、その時はきっと、討伐する神々もただでは済まないでしょうね」


 渋面になったマスターにそこまで言わせる程に、〈白い死神〉は強い神であったらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ