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神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第二章 引きこもりの竜と仲直りのチーズケーキ

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28話 労働環境を改善しよう

 店名が〈喫茶シルエ〉に決定した日、開店初日から客が押し寄せて、散々な目に遭ったことを重く見たしずくたちは、直ちに今後の対策を練ることにした。


「というわけで、今日は休業日にします! もし、昨日みたいな状況が毎日続いたら、みんなそろって過労で倒れちゃうのが目に見えているからね」


 店が繁盛するのは喜ばしいが、今のままでは店員の負担があまりにも大きすぎる。


「一番の問題は、お客さんの数に対して、私たち店員の数が圧倒的に足りないことだよね。調理補助とホールスタッフを増やさないと、きっとまた手が回らなくなっちゃうよ」

「でも、これ以上シュクレドラゴンを店に連れて来ると、彼らに任せている食材の栽培や管理が(おろそ)かになってしまいます」

「うーん、それは困るもんねえ」

「だからといって、バイトを募集しても、すぐには決まらないでしょうし……」

「そうだよねえ……」


 しずくとマスターが、共に顔を(しか)めていると、ネリネが小首を傾げながら問いかけてきた。


「あるじ様、それなら、ごーちゃんたちに手伝ってもらうのはどうきゅるか?」

「──あ! そうか、その手がありましたね!」

「ごーちゃんたちは喋れないけど、料理を運んだり、簡単な調理をするくらいなら、きっと手伝えるきゅる」

「確かにそうですね! 早速その案を採用しましょう!」


 羽をぱたぱたと動かしながら、マスターが上機嫌で魔法を使おうとするのを見て、しずくが慌てて立ち上がる。


「ちょ、ちょっと待って! 話の内容が全くわからなかったんだけど!? マスターは一体何をしようとしているの? ごーちゃんって誰? お願いだから報・連・相(ほうれんそう)を忘れないで!」

「おっと、そうでした! ──ええとですね、ぼくは今、魔法でお手伝いゴーレムを創り出そうとしています」

「お手伝いゴーレム?!」

「きっと、説明するよりも、実際に見てもらったほうが早いと思います。しずくさんの世界で言うところの、百聞は一見に()かず、というやつです」


 楽しげにそう言いながら、マスターがくるんと尻尾の先を回すと、キラキラと光の粒が集まって、何かを形作っていく。


「こういうのって、ゲームで見たことがあるような……」


 しずくがつぶやいてから数秒もたたずにテーブルの前に現れたのは、五体の小さなゴーレムだった。

 全身がアイボリー色のゴーレムは、二頭身半で背丈は七十センチくらい。顔にあたる部分には、まん丸のつぶらな目がやや離れ気味に配置されており、鼻はなく、口は真一文字に結ばれている。そのどこか愛嬌(あいきょう)のある顔つきのせいで、ごついというよりも、かわいらしい印象のほうが強い。

 足は武骨(ぶこつ)な石の(かたまり)のままだが、手にはしっかりと五本の指があるので、調理や食器の持ち運びは問題なくこなせそうだ。


「これがお手伝いゴーレムなの? なんだかかわいいね」

「彼らはこんな見た目ですが、教えたことを覚えるだけの理解力はきちんと備わっていますし、結構器用なんですよ?」

「へえ~」

「……信じていないようですね。それなら、実際に仕事をさせてみましょう」


 マスターはそう言うと、しずくにコーヒー豆の準備を依頼した。


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