22話 夕食を食べよう
しずくがカウンターで調理を始めると、すぐに食欲を刺激する匂いが店内に漂ってきて、三匹のおなかが、きゅうきゅうぐうぐうと大合唱し始める。
「マスター、悪いけど、先にスプーンやフォークをテーブルに出してもらえるかな?」
「わかりました。ついでにお水も用意しておきますね」
それからほどなくして、温かいかぶのポタージュと、チーズとトマトを挟んだホットサンド、一口サイズに切った果物と生クリームを包んだクレープが乗った皿が、テーブルの上に並べられた。
料理を目の前にした小さな三匹のドラゴンたちの口からは、いまにもよだれが零れ落ちそうになっている。
「待たせてごめんね。さあ、どうぞ召し上がれ」
「どれも美味しそうきゅる~!」
「匂いを嗅いだだけで、よだれが止まらないきゅる~」
「どれから食べるか迷うきゅる~」
行儀良く椅子に座った三匹が、早速料理にかぶりつく。よほどおなかが空いていたのか、みるみるうちに料理が三匹の胃袋に消えていく。
その様子を、隣のテーブルから微笑ましく見守っていたしずくも、せっかくの料理が冷めないうちに、とマスターから促され、遅れて食べ始めた。
「ぷい~。しあわせきゅる~」
「おいしかったきゅる~」
「もう、おなかにはいらないきゅる……」
椅子の背にもたれかかった三匹のシュクレドラゴンは、全ての料理を平らげた後、サウー砂糖入りのホットミルクティーをおかわりした時点で、ようやく満足したようだった。
そしてしばらくすると、はちきれんばかりの腹をさすっているうちに、うとうとし始めた。
「あはは。きっとお腹がいっぱいになったら、眠くなっちゃったんだね。マスター、この子たちを寝かせたいんだけど、二階の空き部屋って使ってもいいのかな?」
「ええ、構いませんよ。でも、しずくさんが抱えていくのは大変でしょうから、ぼくが運びますよ」
マスターがそう言うと、三匹の体がふわりと宙に浮き上がった。
「ありがとう。じゃあ、私は先に上がって、この子たちのベッドの準備をしておくね」
「ええ。済みませんがお願いします」
完全に眠りに落ちたシュクレドラゴンたちをベッドに寝かしつけると、一人と一匹は再びテーブルに戻り、淹れたてのミルクティーを飲みながらまったりした。
茶葉の香りとサウー砂糖の上品な甘さを味わっていたしずくが、ふと、気になっていたことをマスターに問いかける。
「ねえ、そういえばマスターも、この世界の神様なんだよね?」
すると、彼女の向かいでくつろいでいたマスターが、何故かビクっとした。




