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神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第四章 世界に背を向けたエイと思い出のつみれ汁

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209/211

209話 行方不明者を発見!

『どうやら見つけたみたいね』


 トトスをすくい上げて肩に乗せたコサギが、ゆっくりと両開きの扉を開けると、中は小部屋になっており、疲れ果てた姿で座り込んでいるサナク博士を守るように、肩で息をしながらこちらに武器を向ける冒険者たちの姿があった。


「リュトナー! まさか、俺たちを探しにきてくれたのか!」

「料理人の君たちが、どうしてここにいるでありますか?!」


 入ってきたのが味方だと知った冒険者たちが喜ぶ一方で、驚いたサナクがよろよろと立ち上がる。

 自分の仲間とサナクの無事を確認したリュトナーは、短く安堵の息を吐くと、彼らの元へと駆け寄った。


「みんな、良く無事でいてくれた──」


 まるで、張り詰めていた糸が切れたかのように、目頭を熱くして床に膝をついたリュトナーの代わりに、コサギが手短に状況を説明した。


「そうでありましたか。逆にあの転移罠を利用してここへ──幾ら吾輩たちを助けるためとはいえ、それはまた、ずいぶんと無謀な真似をしたでありますね。もし転移先が全く別の場所だったら、その時はどうするつもりだったのでありますか?」


 サナクから、非難めいた視線を向けられても、コサギは口元に浮かべた笑みを崩さない。


「あら。そんな心配はするだけ無駄というものだわ。だって、転移先が別の場所になるだなんて、私に限って絶対にありえないことですもの」

「? どうして、そう言い切れるのでありますか?」


 両耳を後ろに反らせたサナクが、戸惑ったようにコサギを見上げると、彼女は思わず見惚れずにはいられないような、輝かしい笑顔で彼を見返して、一言だけ告げたのだった


「だって私は、〈幸運の女神〉なのだもの!」




 ようやく緊張を解いたサナクと冒険者たちは、全員何かしらの傷を負っていた。そのため、しずくはネリネと手分けしながら、彼らにも上級回復薬を飲ませていった。

 コサギの神力で底上げされた薬の効果はてきめんで、重傷と言っていい程のひどいけがも、あっと言う間に完治させてしまった。


「この回復薬、古傷まで綺麗に治しちまったぞ。おまけに、驚く程に飲みやすい!」

「ホント! こんなに飲みやすい回復薬は初めてだわ! 一体どこで買ってきたの?」

「ごめんなさい。私はただ、事前に用意されていた薬を持ってきただけなので、ちょっとわからないです! それよりも、今は一刻も早く調査団の皆さんと合流するためにも、とりあえずおなかを満たして体力を回復してください!」


 そう言って、冒険者たちからの質問をぴしゃりと遮ったしずくは、ハムや野菜、チーズや卵を具材にした、一口大のロールサンドの詰め合わせを手渡していった。

 これは、歩きながらでも手早く食べられるようにと、彼らのために急いで作った携帯食だ。


「なあ、頼むよ。さっきの回復薬、どこで手に入れたのか、俺に教えてくれないか?」

「おじさん、ちょっとしつこいきゅる!」

「そんなことよりも、今は早く食事を済ませてください!」


 ロールサンドの箱を渡そうとしたしずくに、なおもしつこく絡んでくる二級冒険者の男の前に、ニーリャが割り込んだ。


「食べる事より回復薬のほうが大事ならー、その美味しそうなロールサンド、うちが代わりに食べてもいーよねー? おじさんは、回復薬があればお腹が満たせるみたいだしー」

「あっ! ま、まて、俺が悪かった! この通り謝る! だから、それを返してくれ!」


 ニーリャに箱を取り上げられた男が、しずくに謝罪して慌てて取り返す。しずくが、小声で礼を言うと、ニーリャはニっと笑って、ウィンクして見せた。

 優しい表情でネリネ頭を撫でる彼女は、他の仲間たちと同様に、しずくたちの事を気にかけてくれているようだ。


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