↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第四章 世界に背を向けたエイと思い出のつみれ汁

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
206/211

206話 おれ、かんぺき

 一分は優に超えてから、呆(ほう)けていた人々がようやく現実世界に戻って来た。


「は……?」

「急にやってきて、一体何を言い出すかと思えば──」

「綺麗なお嬢さん。この非常時に、タチの悪い冗談を言うのは、あまり感心しないね」


 異口同音に非難されても、コサギは少しも笑みを崩さない。それどころか、立て板に水を流すように彼らを説得し始めた。


『私は冒険者ではないけれど、これでもかなり優秀な魔導士なの。それに、索敵に特化した使い魔や、目的地への最短距離を割り出せる使い魔もいるわ。これといって打つ手が見つからないのなら、私たちに賭けてみても損はないはずよ──いえ、絶対に損はさせないわ!』


 サナクの同僚の研究者たちが、「彼女の一行は料理人ではなかったのか?」と、困惑していると、レオーギス帝国から来た一級冒険者の豹人族が、渋い顔でコサギに異を唱えてきた。


「賭けをする以前に、実力ですら定かでない者を、みすみす死地に向かわせる訳にはいかないんだ。悪いが諦めてくれ」

『あら、あなたって、ずいぶんと優しいのね!』


 コサギは、いかにも生真面目そうな青年ににっこりと微笑むと、おもむろに取り出した杖を、彼の肩越しに見える大部屋へと向けた。


『つまり、実際に私の実力を示せば、問題はないということよね?』

「!? 何を──」


 コサギが呪文のようなものをつぶやいたのと同時に、杖の先にはめ込まれた白い宝玉が輝いたかと思うと、次の瞬間、血の海と魔物の死骸で踏み場のなかった大部屋が、一気に厚い氷で覆われた。すぐ目の前でその光景を目撃した人々は、誰もが衝撃のあまり声を失っている。


「ちょっと、ちょっと! 小鳥さん、今のは、少しやりすぎなんじゃないの?!」

『そんなことない。おれ、かんぺき』


 コサギのつぶやきに合わせて、タイミング良く氷魔法を振るった〈白い死神〉は、しずくの肩の上でふんぞり返ってドヤ顔をしている。

 実際には〈氷雪の神〉が放ったとも知らず、恐ろしい威力の魔法を見せつけられた豹人族の青年は、こめかみから冷や汗を垂らしながら、呆然と立ち尽くしている。


「たった一瞬で、これだけの範囲を氷漬けにするとは──」

『どうかしら? これなら文句はないわよね?』



 こうして、狙い通りに調査団員全員を納得させることに成功したコサギは、「もし、一日待っても誰も戻らなければ、迷宮を出て救援を要請する」という条件付きで、行方不明者の捜索に向かう許可をもぎ取った。






「あり合わせばかりで申し訳ありませんが、皆さんで上手に分け合いながら食べてくださいね!」

「承知した。これから捜索に向かうというのに、ここに残る我々の料理まで用意してくれて、本当に感謝する!」

「どうか、くれぐれも気を付けるのよ。もし、私の仲間が見つからなくても、あなたは仲間と一緒に必ず無事に戻って来て!」

「嬢ちゃん、くれぐれも無理はするんじゃねえぞ?」

「絶対に戻ってきて、また美味しいメシを食わせてくれ。約束だからな!」


 ドウリグたちと同様に、小柄で華奢なしずくの事を、完全に子供だと勘違いしている冒険者たちが、心配そうに声をかけてくる。

 彼らがみな不安そうに見守る中、しずくたちは、転移罠がある大部屋に足を踏み入れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。