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神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第四章 世界に背を向けたエイと思い出のつみれ汁

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197/220

197話 ドウリグとの再会

「どの冒険者さんも、凄く強そうだね」

『いかにも、迷宮慣れしてます、って感じがするきゅる』


 しずくとネリネが小声で話し合っていると、聞き覚えのある声がした。


「良かった! 君たちも一緒に行けることになったのか!」


 嬉しそうに声をかけてきたのは、入国手続きの時に知り合った竜人族の男性──ドウリグだった。


「わ! ドウリグさんたちも、サナク博士の調査団に加わっていたんですね!」

「実はそうなんだ! この調査団の依頼には、報酬目当ての希望者が殺到して、選ばれるのも一苦労だったけど──幸いにも俺たちは学者先生のお眼鏡に叶ったみたいでね」

「そうだったんですね」

「実は別れた後に、冒険者ギルドで君たちを見かけてね。迷宮に入る資格が無いと知って、がっかりしていたようだったから、かなり心配していたんだ」


 なんと、しずくが落ちこんでいた様子を、ばっちり見られていたらしい。

 あの時、肩を落とした彼女やネリネを心配そうに見つめていたのは、ドウリグだったのだ。


「ドウリグの奴、お嬢ちゃんとちびを気の毒に思って、「実は、他にも優秀な魔導士がいる」って、依頼主に売り込みをかけたんだぜ?」


 笑いながら教えてくれたのは、狐人族の斥候役である、ギットという名の陽気な若い男性だった。顔を赤くしてそっぽを向いてしまったドウリグを見て、彼と同じ竜人族で盾役であるウバンリも目を細めて笑っている。


「そこまでして下さったのですね……どうもありがとうございます! 私とネリネは今回初めて迷宮に潜るのですが、ドウリグさんたちが一緒なら、とっても心強いです!」

「なんだかとっても安心できるきゅる!」


 しずくとネリネから感謝と信頼のまなざしを向けられたドウリグは、照れくさそうにがっちりとした首の後ろをさすっている。


「あー、ところで、俺たちは調査団の最後尾に付くのだけれど、君たちはどの辺りに配置されたんだい?」

「ねりねたちは、一番後ろから二番目、竜人さんたちの前きゅるよ!」

「私たち、調査団の人にごはんを作ったり、けが人の手当てをお手伝いするために雇われたんです」

「そうだったのか! 実はさっき、料理人も同行すると説明されたんだけど、あれは君たちの事だったんだね」


 ドウリグは、小柄なしずくたちに目線を合わせるように少しだけかがむと、笑顔で手を差し出した。


「君たちの事は、俺たち〈烈剣〉が必ず守る。だから、何も心配しなくていいからね!」

「ありがとうございます。じゃあ私たちは、ドウリグさんたちや他の皆さんが無事に迷宮を探索できるよう、美味しいごはんを作りますね!」

「ああ、ぜひ宜しく頼むよ!」


 ドウリグの剣だこだらけの大きな手を握ると、彼はしずくの小さな手を傷めぬように、そっと握り返してきた。


「しっかし、魔導士の弟子なのに料理人として雇われるだなんて、お嬢ちゃんはずいぶんと変わっているなあ」


 ギットが頭の後ろで両腕を組みながら、にやにやと笑っていると、今まで黙っていたコサギがジロリと彼をねめつけた。


『あら、私のかわいい弟子に、何か文句でも? はっきり言っておくけど、この子の作る料理は、皇族や美食家たちが虜(とりこ)になるほど、美味しいんだからね!』

「ははっ! 皇族が虜になるような料理、とはずいぶんと大きく出たもんだなあ。でもまあ、そこまで言うのなら、一応は楽しみにしておくか」


 ギットはフードを被っているしずくの頭に、ぽんと軽く手を乗せると、笑いながらこの場を離れていった。あの様子だと、彼はコサギの言葉を全く信じていないようだ。


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