↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第四章 世界に背を向けたエイと思い出のつみれ汁

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
193/224

193話 ごはんなら自分で作ります!

「即席でご用意したので、過ごしにくいかもしれませんが──」

『そんなことないわよ。十分過ぎるほどに素敵なお部屋だわ!』


 宿泊用にユノラが用意してくれた部屋は、ポノックル商会・ケルベラ支店の社員寮の一室で、大変運が良いことに、つい先日に店員が別の支店に異動になったせいで、四人部屋が空いていたらしい。

 急遽(きゅうきょ)運び込んだというベッドはふかふかで、見るからによく眠れそうだった。


「もしかして、普通の宿よりも良い部屋なのでは?」


 しずくがつぶやいた通り、室内は清潔に整えられていて、あつらえられた脇机や棚などの調度品は、どれも質の良い一級品のようだった。


『しかも、ここは大通りの裏手だから、うるさくて眠れないこともなさそうだわ』

「最高のおへやきゅる! 眼鏡のおねえさん、どうもありがとうきゅる!」


 キラキラと目を輝かせたネリネにお礼を言われたユノラは、初めて出会った時の冷たい顔からは想像できないような、柔らかな笑みを浮かべていた。


「気に入っていただけたようで、安心いたしました。ところで、今夜のお食事はどうなさるおつもりでしょうか?」

『そういえば、特に決めていなかったわね』

「ここに来るまでに、いくつか食堂があったけど、きっと、冒険者さんたちで混み合うよね」

「そうですね……。おそらく、落ち着いて食事をするのは、少し難しいかもしれません」


 ユノラは眉を寄せて、難しい顔をした。


「一応、この社員寮の一階にも食堂があるのですが、折り悪く、今は料理人が不在でして」


 家族が急な病で倒れたために、しばらくの間、実家に戻っているらしい。


『あら。それなら、ここで寝泊まりしている店員さんは、どうやって食事しているの?』

「ほとんど外食で済ませているようです。もしくは、屋台で食べ物を買ってきたり、自炊したりしているようですね」


 自炊、という一言を聞いて、しずくが声を弾ませた。


「それなら、私たちも自炊していいですか? ここにある調理場を使わせて頂いても?!」

「え、ええ。それは、もちろん構いません。あの、もしかして、お客様が調理なさるおつもりですか?」


 心配そうな顔をしたユノラに、コサギが得意気に胸を張る。


『大丈夫よ。こう見えて、ミナセは料理の達人なの。さる国の偉い人たちだって、彼女の料理に夢中なんだから!』

『そうきゅるよ! しず……ミナセちゃんの料理は、みんなに大人気きゅる!』


「なんと、そうでしたか!」


 驚いたユノラにしげしげと見つめられ、しずくが恥ずかしそうに顔を赤らめた。


「あの、お金は払いますので、ここにある食材をわけてもらうことはできますか?」

「ええ、もちろん構いませんよ。むしろお代は不要ですので、余っている食材を少しでも減らして頂けると助かります」

「本当ですか? どうもありがとうございます!」


 深々と頭を下げ、ユノラを恐縮させたしずくは、邪魔なローブを脱いで腕まくりをすると、早速調理に取り掛かった。

 彼女が料理すると知って、キラキラと期待のまなざしを向けてきたトトスを見た瞬間に、既に作りたい料理は、彼女の脳裏にひらめいていたのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。