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神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第四章 世界に背を向けたエイと思い出のつみれ汁

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191話 迷宮に入れない!

『メダイユ王国で迷宮に入るためには、冒険者登録が必要みたいね』


 しずくが、入口に程近い場所から、熱気に溢れる受付の様子を眺めていると、詳細を聞きに行っていたコサギが戻って来た。


『しかも、今回のような新しい迷宮の場合、どの程度の危険度なのかわからないから、二級以上の冒険者しか入れないように、制限をかけているらしいわ』

「それじゃあ、一般人が迷宮に入ることはできないってこと?」

『残念ながら、そういうことなるわね』

「そんなあ……」

「がっかりきゅる……」


 あからさまに気落ちしているしずくたちを見て、マスターが助け船を出す。


「たとえば、迷宮に同行する冒険者を募っている学者に直談判して、同行を許してもらうことはできませんかね?」

『そうねえ。直談判するにしても、依頼主に必要とされるような特技や実績──調査に役立つ知識とか、豊富な護衛経験がないと厳しいのではないかしら』


 コサギの意見を聞いたしずくが、ため息をつく。


「そっか……。残念だけど、まあ、仕方がないよね。私とネリネは宿で留守番しているから、今回はマスターやコサギたちだけで遺跡を調べてきてもらえるかな?」

『おまえ、なんであきらめる? そんなの、ごまかせばいい』

「ズルするのは駄目でしょ。決まり事はちゃんと守らなくちゃ」

『……おまえ、まじめで、しょうじきすぎ!』

「でも、あなたは、しずくさんのそういうところが、気に入っているのでしょう?」


 マスターにからかわれた〈白い死神〉は、しずくの肩に止まって彼女の髪をくしくしと突(つつ)いているが、これは怒っているのではなく、彼なりに慰めているつもりらしい。

 胸ポケットに入っているマスターが、笑いをかみ殺している。


『まあ、今すぐに結論を出す必要はないわ。とりあえず、今夜泊まる宿を探した後で、あらためて全員で迷宮に行ける方法を考えましょうよ』

「ぼくもコサギに賛成です。こんなに冒険者が詰めかけているのですから、取り急ぎ、先に宿を確保しておくべきだと思います」


 ──この時、気落ちした様子のしずくとネリネが、コサギに手をひかれて冒険者ギルドを出て行くのを、気づかわしげな一対の目がじっと見つめていたことに、彼らは全く気付かずにいた。


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