↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第四章 世界に背を向けたエイと思い出のつみれ汁

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
181/231

181話 西大陸の歴史

「本の貸出は出来ないけど、内容を書き写すのは構わないんだって」


 そう言って、持参した紙とペンを取り出したしずくに、机の上に座ったマスターがぽつりとつぶやいた。


「でも、ぼくらが期待していたよりも、役立ちそうな資料は少ないようですね」


 机の上に積まれた本や資料の半分は、西大陸の地図に関連したもので、残りは古い歴史書や神殿に関する物のようだった。残念ながら、古い魔法に関する本はたったの二冊だけで、一番最初に目を通したものの、劣化防止魔法に関する記述は一行も見つからなかった。

 

 しずくは、次にどれを調べるのか、積み上げた本の前で少しだけ迷ってから、西大陸の歴史書を手に取った。


 その本によると、今から三千年以上も前から、この大陸では数多くの戦が繰り返されていたらしい。

 

 この世界に存在する五つの大陸──中央大陸、北大陸、南大陸、東大陸、西大陸のうち、中央大陸に次いで気候が穏やかだった西大陸には、多くの種族がそれぞれに国を作って住み暮らしていた。

 だが、あまりにも多くの国が乱立していたせいで、国同士の小競り合いや戦が絶えず、西大陸の土地は徐々に荒れていったという。

 

 それでも、大陸のほぼ中央に縦長に横たわるグラキリス湖の西側だけは、エルフ族が治める二つの大国が、周辺諸国に睨みを利かせていたせいで、かろうじて平和が保たれていた。

 だが、その危うい均衡で成り立っていた平和は、今からおよそ八百五十年前──エイリナスが村人たちと別れて眠りについた後、二つの大国の間で戦が起こったことで、もろくも崩れ去ってしまったようだ。



 一通り歴史書を読み終えたしずくは、うーん、と唸って眉根を寄せた。


「二か国の間で勃発した戦は、やがて周辺国をも巻き込む大戦となり、その結果、グラキリス湖の西側は〈死の大地〉になった──どの歴史書を読んでもそう書かれているのに、〈死の大地〉が出来るまでの間に一体何が起きたのか、具体的な事が全く書かれていないのは、どうしてなんだろう? これって、物凄く不自然じゃないかな?」


 彼女の疑問にマスターも同意する。


「確かにそうですね。ぼくが読んだ歴史書も、どのような形で大戦が終結したのか、一切記されていませんでした。もしかしたら、何か理由があって、わざと書き残さなかったのでしょうか?」

『大戦後に作られた地図を調べてみたけど、当時の地名や地形がわかったのは、グラキリス湖の東側だけで、湖の西側については、一部の地域を除いて全て〈死の大地〉と記されていて、何もわからなかったわ』

「大戦後に、西側諸国一帯が濃い瘴気で覆われた〈死の大地〉と化すまでには、ある程度の時間が必要だったはずです。それなのに、地形や地名を記した地図が残されていないというのは、少し気になりますね……」


 しずくがマスターやコサギと共に考え込んでいるそばでは、トトスが日当たりの良い机の上で、すぴすぴと気持ちよさそうに眠っている。


「小鳥さんは、何か知らないきゅるか?」

『おれ、さうーのきがないばしょには、きょうみがない』

「すっごくわかりやすい答えきゅる……」


 瘴気で汚染されていた西大陸には、神域と呼ばれる場所が少ないため、サウーの木が育たないらしい。


「それなら、地元の神様だったらわかるきゅるか?」


 なおも尋ねて来るネリネに、〈白い死神〉は、少しだけ首を傾げて考えるような素振りをした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。