表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第一章  森の中の喫茶店

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/97

18話 招かれざる客

「何故あなたがここに!? 他のお客様の迷惑です! 店内を飛ぶのはやめなさい!」


 驚いて固まったしずくをよそに、マスターが怒りのこもった声で叱責(しっせき)する。

 そんな言い方をしたら客が怒るのでは? と心配になったしずくだが、小鳥は特に気を悪くした様子もなく、素直に謝ってきた。


『ごめん。あやまる。このとおり』

「あのー、もしかしてお客様は、このお砂糖がお好きなのですか?」


 おずおずと尋ねると、カウンターの上に着地した小鳥は、瑠璃色のつぶらな瞳をキラキラと輝かせ、まるでヘッドバンキングのように何度もうなずいた。


『そう。このおさとう、だいすき! さうーのき、まえは、てすれんかに、たくさんはえてた』

「てすれんか?」

「テスレンカ法国のことを言っているのでしょう。ここからずっと北にある〈氷雪の神〉を信奉する国で、神殿の裏手に、サウーの木の群生地があったはずです」


 聞きなれない単語に戸惑うしずくに、すかさずマスターが助け船を出す。


『でも、てすれんかのさうーのき、ほとんどかれた。わずかにのこったき、みがならなくなった。だからたびにでた。でもさうーのき、どこにもみつからなかった……』

「……ごめん、マスター。通訳をお願い」

「彼は、テスレンカに生えていたサウーの木がほとんど枯れて、(わず)かに残った木も実を付けなくなってしまったので、サウーの木を探して旅に出たようです」

「つまり、お客様はこのお砂糖が食べたい一心で、旅に出たのですね?」

『そう。そしたら、このみせから、さうーのおさとうのけはいがした!』

「気配って──」


 しずくが苦笑していると、マスターがいつになく渋い顔つきで小鳥に向かって警告した。


「あなたのサウー砂糖好きは、よく知っていますけどね。この店にあるサウー砂糖を食い尽くすつもりなら、今すぐに叩き出しますよ?」

「ちょっと、マスター! お客さんに対してそんな言い方──」

「いいんですよ、しずくさん。彼にはこのくらい強く言っておかないと駄目なんです。実際、ぼくが招待していないのにも関わらず、サウー砂糖が欲しくてこうして店まで押しかけて来てるんですから」

「え? お客さんじゃなかったの?!」


 厳しい顔を崩さないマスターに、しずくがますます困惑する。

 この小鳥に対して、彼がこうも一方的に厳しい態度をとるのは、一体何故なのだろう。彼らの間に何か因縁でもあるのだろうか?

 しずくが、助けを求めるように店内を見渡すと、三匹のシュクレドラゴンだけでなく、客である侍ゴーレムとオレンジ色のトカゲまでもが、緊張した様子で白い小鳥を見つめていた。


(何だろう、この張り詰めた緊張感は。見た目はこんなにかわいらしいのに、何か問題があるお客さんなのかな?)


 (いぶか)し気なしずくに気付いたマスターが、スンとした顔で小鳥を見ながら説明する。


「くれぐれも愛らしい見た目に騙されないでください。彼は、権力争いにかまけてサウーの木を枯らせたテスレンカ法国の神官たちに激怒して、広大な神殿を半壊させた凶悪な鳥なんです」

「神殿を半壊させたの?!」


 しずくが目を丸くして驚いていると、侍ゴーレムが更に補足する。


『それだけではないぞ。そやつは、サウーの木が生えているという噂を聞きつけて、とある迷宮に潜ったのだが、その噂が偽りだと知った途端に、怒り狂って迷宮の魔物を狩り尽くした暴れん坊なのだ!』


 ちなみにその時、運悪く迷宮に潜っていた冒険者たちは、()()()()()()()()()()()()の凄まじい暴れっぷりを目の当たりにしてしまい、その恐ろしさのあまり、ひどいトラウマを植え付けられてしまったらしい。


『この一件以来、そやつは〈白い死神〉と呼ばれるようになり、冒険者たちはおろか、拙者たちからも恐れられていおるのだよ』

「うわー……。思っていた以上に、危険なお客様だった」


 説明を聞いたしずくは、思わず顔をひきつらせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ