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神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第四章 世界に背を向けたエイと思い出のつみれ汁

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171/227

171話 色付きの神像

今日明日から全国的に天気が荒れるそうなので、どうかお気をつけくださいね!

私も気を付けます(交通機関が止まらないといいなあ(>_<))

 その後も、実際には怖ろしい外見をしているヴィリオーサが、勇壮で格好良い竜の姿で作られていたり、店の常連客の神像を見つけて嬉しくなったり、美しい女神像を見て感動したりと、しずくはさまざまな神像を見て存分に楽しんだ。


 だが、中でも彼女が一番驚いたのは、かわいらしい小鳥を模した〈白い死神〉の神像が据えられた台座に、『北大陸の英雄神 〈氷雪の神〉シェラーレクトナータ』と銘(めい)打たれているのを見つけた時だった。


「今まで好きに呼んでいたけど、小鳥さんって、こんなに立派な名前だったの? 今まで〈小鳥さん〉って呼んじゃっててごめんね?」

「でも、長くて舌をかみそうきゅる。小鳥さんのほうが呼びやすいきゅる」

『おれ、なまえ、きにしない。いままでどおり、すきによべ』

「あなたは、粗暴なくせに、妙なところで寛大なんですよね……」

『寛大、というよりも、単にサウー砂糖以外のことは、どうでもいいのだと思うわよ?』

『ぷいー……』


 他の者からどう呼ばれようとも、全く気にせずにわが道を行く〈白い死神〉は、呆れた顔の神々や「神像にそっくりの小鳥がいる!」と自分を指さす者たちをよそに、しずくの肩の上で悠然(ゆうぜん)と羽繕いを始めている。

 

 本当にサウー砂糖以外のことはどうでもいいみたいきゅる、というネリネのつぶやきを耳にしたしずくは、思わず吹き出してしまった。





「この神像は他の物とは、少し違うみたいだね」


 しずくたちが最後に見たのは、〈水の神〉エイリナスの神像だった。

 五弁の花の花畑を模した台座の上で、エイの姿をしたエイリナスがゆったりと泳いでいる。


「おねぼうさんの像だけ、色付ききゅる」


 ネリネが指摘した通り、今までに見て来た他の神像とは違い、何故かエイリナスの神像だけが彩色されている。

 

 青い花畑の上をゆったりと泳ぐ青空色のエイ──それはまるで、おとぎ話の一場面のようにも見える。


「この花って、確か入口の扉や壁にも彫刻されていたよね」

『あら、よく気づいたわね。これはシ(・)ー(・)ウ(・)ィ(・)という名前の花で、この西大陸では幸運をもたらす花として愛されているの』

「ふうん、そうなんだ」

『いつもエイリナスが眠っているグラキリス湖の周辺は、この花の群生地として特に有名よ。だから、エイリナスとシーウィを題材にした彫刻や絵は、わりと良く見かけるわ』


 神像の前に据えられた水盆の周りには、たくさんの青い花が供えられている。これは参拝者たちが、エイリナスの神像にシーウィを供えた者には幸運がもたらされる、という言い伝えにあやかっているのだそうだ。


「そういえば、街のあちこちにこの花の鉢植えが置かれていたね」

『この神殿に来る途中にあったお庭にも、生えていたような気がするきゅる』


 記憶をたどるしずくたちに、マスターが説明する。


「西大陸の人々がこぞってシーウィを育てているのは、縁起担ぎのためだけではありません。実は、この花には、瘴気を吸収して浄化する働きがあるんですよ」

「え? そんなに凄い花なの?」


 目を丸くしたしずくに、コサギが微笑んだ。


『シーウィの特性が分かった時は、それはもう大変な騒ぎだったのよ。だけどね、この花がいつ頃から生えていたのかは、誰にもわからないの。少なくとも、千年くらい前に私たちが初めてこの大陸に来た時は、一輪も見かけなかったわ』

『ぷ!』


 コサギのかばんから顔を出したトトスが、彼女の言葉を肯定するようにうなずいた。


「それなら西大陸にいる神様が創り出したんじゃないの?」

「実は、ぼくもそう考えて確かめてみたのですが、みんな心当たりがないと言うんですよ」


 一番最初にシーウィの花が見つかったのはグラキリス湖のほとりで、このエイリナスの神像もその花畑の中で見つかったらしい。


「だから、最初はてっきりエイリナスの仕業かと思っていたのですが、彼は花が見つかった頃もずっと湖底で眠っていましたし」

『第一、何事にも無関心で無気力な彼が、わざわざそんなことをするとは到底思えないしね』

『ぷうう……』

「じゃあ、花と神像を作ったのは神様ではなく、おねぼうさんの信者だったのかな?」

『ええ。今ではそう考えられているわ』


 その時、エイリナスの神像をいろいろな角度から眺めていたネリネが、得意げな顔でしずくたちに駆け寄って来た。


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