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神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第四章 世界に背を向けたエイと思い出のつみれ汁

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168話 魚料理を堪能

『それなら、この近くに安くて美味しい店があるわ』

『ぷ!』


 コサギと、彼女のかばんから顔を出したトトスが、そろって勧めてくれた店は、港に近い街らしく、魚料理が絶品だと評判の店だった。

 

 混み合う昼の時分だというのに、運よく空いていた個室に通された一行は、店長おすすめの料理が運ばれてくる度に、その美味しさに舌鼓を打った。

 ちなみに、いつもマイペースな〈白い死神〉だけは、持参したケーキを夢中で食べている。


「どれも美味しいきゅる! でも、シグベルムやターラージャとは違って、お魚ばっかりでお肉の料理がほとんどないきゅるね」

「味付けは少し濃い目かな。それに、甘辛くしたものが多いみたいだね」


 もぐもぐと料理を味わうネリネとしずくに、コサギが彼女の手前に置かれた大皿の料理を勧めてきた。


『こちらのニフニフという料理は、グラキリス湖で獲れるサープという白身魚を使った、西大陸の名物料理なの。せっかくここまで来たのだから、ぜひ食べてみて欲しいわ』


 ニフニフとは、見たところ、白身魚のすり身を団子状にして、それにとろみのある甘辛いタレをかけた料理のようだ。

 早速口にしてみると、味付けは少し濃いが、団子は柔らかくふわふわで、とても食べやすい。


「確かに美味しいけど、この濃い目のタレに絡めるよりも、出汁の利いたスープに入れて食べるほうが、白身魚本来の旨みをしっかり味わえるかも」

『あら、その食べ方も美味しそうね! 今日買ったサープを使って、ぜひ作ってみて欲しいわ』


 そういえば、〈喫茶シルエ〉のメニューには、今のところ魚料理が一つもない。マスターに相談して、もし新鮮な魚を手に入れる算段がつくのであれば、新たなメニュー作りに挑戦してみるのもいいかもしれない。

 しずくはそんなことを考えながら、目の前の大皿に山盛りになっているニフニフを、また一つ口の中に放り込んだ。




 たっぷりと時間をかけて、存分に魚料理を堪能したしずくたちは、この国を訪れた本来の目的である村探しのために、大通りを抜けた先にあるという神殿に向かうことにした。

 神殿の書庫に保管されているという、古い文献を調べてみようと考えたのだ。


「でも、そんな貴重なものを、一般人に見せてもらえるかな?」

『大丈夫。お布施(ふせ)をたんまり渡せば、喜んで見せてくれるわ』

「うわー……。いかにも商売で成り立っている国って感じだね」

『お布施代なら、ぼくが幾らでも出せますから、何も心配は要りませんよ』


 〈金運と財運の神〉であるマスターが胸を張る。確かに、お金のことで彼以上に頼もしい神はいないだろう。


 商店が雑多に立ち並ぶ大通りを更に歩いて行くと、白い石造りの建物が見えて来た。


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