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神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第四章 世界に背を向けたエイと思い出のつみれ汁

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164話 私たちがお手伝いするわ!

 心配そうな様子のヴィリオーサたちが、汚染された土地を再生するための神気(しんき)を回復すべく、それぞれの住処(すみか)に去っていくと、つい先程までの騒がしさが嘘だったかのように、店に心地良い静けさが戻ってきた。

 

 今も客として残っているのは、〈白い死神〉と、〈炎熱の神〉のトルタタ、カレーをむさぼるハリネズミの姿をした神と、アイスコーヒーを飲むコサギの姿をした神だけである。

 ちなみに、ついさっきまで、〈白い死神〉やトルタタと一緒に、カレーライスに夢中になっていた黒い毛玉は、お土産にもらったカレー入りのタッパーを大切そうに体にのせると、光る毛玉たちと共にいずこかへと去っていった。


「しかし、困りましたね。結局エイリナスから聞き出せたのは、村人が小柄な獣人族だったということと、村があったと(おぼ)しき高い山は、南の火山地帯からはだいぶ離れていた、ということだけです」

「うーん。その情報だけだと、捜索範囲が絞れないよねえ。せめて、この大陸のどの辺りだったかだけでも分かれば──」

「お客さんはカレーライスとアイスミルクティーのおかわりきゅるね! すぐお持ちいたしますきゅる!」

「こちらはアイスコーヒーのおかわりきゅるね。少しお待ちくださいきゅる!」


 先程から深刻な顔で話し合っているマスターとしずくに構うことなく、平然とおかわりを要求してくるハリネズミとコサギは、実は〈喫茶シルエ〉が開店した時からの常連客である。


 どんな料理にも、チリペッパーソースをかけまくる辛党のハリネズミと、初回来店時にアイスコーヒーを飲んで酔っぱらって以来、来るたびにアイスコーヒーをピッチャーで注文してくるコサギは、どちらも非常に風変わりな神だが、特に他の客に迷惑をかけることもなく、お代をメルダ硬貨で支払ってくれる大変有難い客だった。


 世俗(せぞく)の事にもやたらと詳しそうなこの二柱(ふたはしら)の神は、間違いなくこの世界の人々と関わりの深い神なのだろうが、その権能は定かではない。



 やがて、この地域に関する記憶を探るように考え込んでいたマスターが、おもむろに口を開いた。


「確か、グラキリス湖の西側はほとんど〈死の大地〉と化しているので、高い山は無かったはずです。そうすると、やはりぼくらが探すべきは東側にある山々ですね」

「良かった! これでだいぶ探す地域が絞れたね」

「あとは東側にある国々を回って、村の情報を集めるしかないきゅる」

「どこも初めて行く場所だから、ちょっと不安きゅる」

「道案内役がほしいところきゅるね」


 しずくたちが、頭を突き合わせながら相談していると、突然ニュっと、黒くて長いくちばしが差し込まれた。


『それなら、私たちがお手伝いするわ!』

『ぷぷっ!』


 得意げな様子で乱入してきたのは、常連客の二柱──コーヒーを飲んでほろ酔い気分のコサギと、カレーをチリペッパーソースにまみれにしてむさぼっていたハリネズミだった。


またもや新しい神様の登場です\(^o^)/

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