164話 私たちがお手伝いするわ!
心配そうな様子のヴィリオーサたちが、汚染された土地を再生するための神気を回復すべく、それぞれの住処に去っていくと、つい先程までの騒がしさが嘘だったかのように、店に心地良い静けさが戻ってきた。
今も客として残っているのは、〈白い死神〉と、〈炎熱の神〉のトルタタ、カレーをむさぼるハリネズミの姿をした神と、アイスコーヒーを飲むコサギの姿をした神だけである。
ちなみに、ついさっきまで、〈白い死神〉やトルタタと一緒に、カレーライスに夢中になっていた黒い毛玉は、お土産にもらったカレー入りのタッパーを大切そうに体にのせると、光る毛玉たちと共にいずこかへと去っていった。
「しかし、困りましたね。結局エイリナスから聞き出せたのは、村人が小柄な獣人族だったということと、村があったと思しき高い山は、南の火山地帯からはだいぶ離れていた、ということだけです」
「うーん。その情報だけだと、捜索範囲が絞れないよねえ。せめて、この大陸のどの辺りだったかだけでも分かれば──」
「お客さんはカレーライスとアイスミルクティーのおかわりきゅるね! すぐお持ちいたしますきゅる!」
「こちらはアイスコーヒーのおかわりきゅるね。少しお待ちくださいきゅる!」
先程から深刻な顔で話し合っているマスターとしずくに構うことなく、平然とおかわりを要求してくるハリネズミとコサギは、実は〈喫茶シルエ〉が開店した時からの常連客である。
どんな料理にも、チリペッパーソースをかけまくる辛党のハリネズミと、初回来店時にアイスコーヒーを飲んで酔っぱらって以来、来るたびにアイスコーヒーをピッチャーで注文してくるコサギは、どちらも非常に風変わりな神だが、特に他の客に迷惑をかけることもなく、お代をメルダ硬貨で支払ってくれる大変有難い客だった。
世俗の事にもやたらと詳しそうなこの二柱の神は、間違いなくこの世界の人々と関わりの深い神なのだろうが、その権能は定かではない。
やがて、この地域に関する記憶を探るように考え込んでいたマスターが、おもむろに口を開いた。
「確か、グラキリス湖の西側はほとんど〈死の大地〉と化しているので、高い山は無かったはずです。そうすると、やはりぼくらが探すべきは東側にある山々ですね」
「良かった! これでだいぶ探す地域が絞れたね」
「あとは東側にある国々を回って、村の情報を集めるしかないきゅる」
「どこも初めて行く場所だから、ちょっと不安きゅる」
「道案内役がほしいところきゅるね」
しずくたちが、頭を突き合わせながら相談していると、突然ニュっと、黒くて長いくちばしが差し込まれた。
『それなら、私たちがお手伝いするわ!』
『ぷぷっ!』
得意げな様子で乱入してきたのは、常連客の二柱──コーヒーを飲んでほろ酔い気分のコサギと、カレーをチリペッパーソースにまみれにしてむさぼっていたハリネズミだった。
またもや新しい神様の登場です\(^o^)/




