16話 甘党の客
(!?)
すると、あっという間にコップを空にした毛玉たちの体が、まるでイルミネーションのように、ちかちかと光り出した。
(あれは喜んでいるの? それとも怒っているの? 一体どっちなの?!)
眉根を寄せていると、彼らと話をしてうなずいたネリネが、ぽてぽてとカウンターに戻って来た。
「しずくちゃん、注文が入ったきゅる。砂糖水のお替りと、プリンを十二個お願いするきゅる。それと、できればプリンに蜂蜜を添えてほしい、とお願いされたきゅる!」
「しずくさん、蜂蜜の在庫は十分にありますから、彼らの希望通りにしてあげてください」
マスターの指示を受けたしずくが注文を復唱する。
「了解! 砂糖水のお替りとプリンの蜂蜜添え、確かに承りました!」
さっきネリネが話していた通り、光る毛玉たちはかなりの甘党らしく、メニューの中で一番甘いものを注文してきた。
ネリネに砂糖水を淹れたピッチャーを運んでもらう間、しずくは手早く冷蔵ショーケースからプリンを取り出すと、ホイップクリームを添えて綺麗に皿に盛り付けた。そこに蜂蜜をたっぷりと回しかけて完成させると、ガラス製のハニーディスペンサーと共にトレイの上に乗せた。
「プリン十二皿、あがりました!」
カウンターの前で待ち構えていたポピーとモモが、毛玉たちのテーブルにトレイを運んで行くのを見届けると、しずくはプリンの補充を頼むべく、L字カウンターの角に顔を向けた。
「すぐに貯蔵庫からプリンを補充してきますね! お替りが入るかもしれないので、念のため少し多めに持ってきます!」
だが、彼女が声をかける前に、既にマスターが従業員口へと飛んで行くところだった。これは、なかなか良い連携が取れているのではないだろうか。
光る毛玉以外にも甘党の客が来るのを予想して、しずくが砂糖水のストックを作っていると、たっぷりと蜂蜜がかかったプリンを食べ始めた光る毛玉たちが、ふよんふよんと上下左右に体を揺らしているのが見えた。
そばにいるネリネたちが、きゅるきゅると鳴きながら喜んでいるところを見ると、風変わりな客たちは、たいそうプリンがお気に召したらしい。
(これはマスターが言っていた通り、お替りの可能性大だね)
異世界の客が、自分の作った料理を気に入ってくれたことを嬉しく思う一方で、プリンの作り置きはあれで足りるかなあ、と少しだけ不安になるしずくであった。




