156話 月下の目覚め
ようやくチェック作業終わったので、第四章をスタートします!
またまた新しい神様たちが出てきます(*^-^*)
彼が冷たい湖の底で長い眠りから目を覚ました時、鏡のような美しい湖面には、蒼白い月の光が降り注いでいた。
(──はて。この神気は、〈大地〉のものか?)
本来なら七百年に一度しか目を覚まさないはずの彼が、それよりもかなり早い時期に眠りから目覚めてしまったのは、自身と同じ太古の神の一柱である〈大地の神〉の神気を、無意識下で感じ取ったからのようだ。
あらためて感覚を研ぎ澄ませてみると、前回目覚めた時に周辺を覆っていた瘴気が、綺麗に浄化されていることがわかった。しかも、ごく薄く残った〈大地の神〉の神気には、複数の神々の神気が混ざっているようだ。
(ふむ。どういう理由なのかはわからぬが、引きこもりで有名だったあの者が、他の神々と共に瘴気を浄化してくれたようだ)
彼はそう一人ごちると、ゆっくりと目を開き、湖底に横たえていた体を動かした。
すると、鏡面のようだった湖面が波立ち、周囲で眠っていた魚たちが一斉に逃げ出した。
(予定よりも早く目覚めてしまったが、まあさして問題はあるまい。この地で何か変わったことが起きているのなら、確かめぬ訳にはいかぬしな)
それに、あの忌々しい瘴気が浄化されたのなら、久しぶりに空の散歩と洒落込むのもいいだろう。
(そうだ──地表を覆う瘴気が無くなったのなら、今度こそ探し出せるかもしれぬ)
すっかり目を覚ました彼は、かつて自分が助けた者たちから、「次に眠りから目覚めた時は、どうかまた自分たちの村を訪れて欲しい」と懇願されていたことを、再び思い出した。
前回目覚めた際は、いくら上空から村を探して回っても、おぞましい瘴気が地表を覆っていたせいで、とうとう見つけ出すことができなかったのだ。
(村の場所が思い出せぬ以上、今回も空から探すしかあるまい。だが、邪魔な瘴気が消えて地表が露わになったのなら、必ず見つけ出せるはずだ)
そう考えた彼は、重い腰を上げて湖底からゆっくりと浮上し始めた。湖岸に激しい波が押し寄せ、巨大な影が少しずつ水面に近付いてくる。
(ああ、今宵は満月であったか)
やがて、ざばりと大きな音を立てて、湖から空に浮かび上がったのは、真っ青な背をした巨大なエイだった。
彼が大きな胸びれをゆっくりとくねらせるたびに、膨大で濃密な神気が辺り一帯に溢れ出す。
この世界最大の湖の主が、数百年ぶりに姿を現したことで、周囲で身を潜めていた生き物たちはみな、その堂々たる姿と神気とに圧倒されて、ただひたすらに震えている。
そんな弱き存在たちを一顧だにせず、空高く浮き上がった巨大なエイは、煌々と月が輝く夜空を悠然と泳ぎ出したのだった。
8月下旬だというのに暑い日が続きますね~(;´∀`) みなさま、体調にはどうかお気をつけて~
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