↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第三章 腹ペコの虎と起死回生のカレーライス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
152/166

152話 新しい常連客をゲット!


「お貸りした宝具のおかげで、ご飯を炊くのもカレーを煮込むのも、かなり時間を短縮できました。どうもありがとうございます!」

「ははは。〈(とき)知らずの宝具〉を使うように勧めたのはこちらなのだから、礼は不要です。それよりも、こんなにも美味(うま)い料理を口にするのは、生まれて初めてですよ。ほら、見て下さい、あまりにも美味いので、普段は小食のターファズまでもが、あんなに夢中になって食べています」


 アンワルの視線の先にいた白いひげの老いた虎人族は、食いしん坊のポピーに劣らない勢いで、かつかつとカレーを平らげている。


「あの老人──確かにぼくが帝国まで送ったはずなのに、この店に戻った時には、既にああやってカレーを食べていたんだよね……」


 マスターが不思議そうな顔をして首を傾げている。


「そういえば神殿長さんって、いつの間に戻って来たんだろうね?」

「ターファズは、どうしても料理長殿のカレーが食べたかったようでして。面倒な後処理を部下に押し付けて、自分はすぐに転移魔法で戻って来たようです」

「ええ……」


 しずくが半目になってドン引きしている。


「へえ。獣人はわりと魔法が不得意なのに、転移魔法が使えるのは凄い事だね」

「ええ。ですが、何度も使うと、魔力を一気に失った反動で、翌日は全身が痛んで寝込む羽目になるそうです。だから、滅多な事では使おうとしなかったのですが──」

「だけど、カレーが食べたくて使ってしまったんだね……」

「ええ。どうやら、痛みよりも食い気が勝ったようです……」


 マスターとアンワルは半笑いしながら語り合った後で、ほぼ同時に遠い目をした。


「でも、大丈夫かな? カレーのせいで寝込ませちゃうのは、なんだか心苦しいような……」

「ははは。ターファズが自分の判断で行ったことなのですから、料理長殿が気にすることはありません。あやつは、カレーを作る手伝いの時も前のめりでしたしな」


 言われてみれば、調理の手伝いに加わったゼーヴァが、風魔法で玉ねぎをスライスしている隣で、ターファズ神殿長も嬉々として火魔法を駆使しながら、絶妙な焼き加減で肉を調理してくれていた。


「あやつは、年を取ってすっかり食が細くなった自分に、久々に食欲が戻ってきたことが嬉しいのでしょう。たとえ明日一日寝込むことになっても、後悔することはないはずです」


 皇帝が笑いながら言っていた通り、その後ターファズ神殿長は三杯ものカレーライスをペロリと平らげると、上機嫌な顔のままでアンワルと共に転移魔法で帰って行った。




「神殿長さん、『また来ます』って言っていたけど、まさか転移魔法で来るつもりかな?」

「あの様子だと、やりかねませんね」


 しずくとマスターが苦笑いしていると、食休みだと言って、白虎の姿に戻ってゴロ寝していたゼーヴァが起き上がった。


『心配するな、料理長。今度あいつがカレーを食べたいと言い出したら、俺が背に乗せて連れて来てやろう!』

「その時は、ターファズ様が食べ過ぎないよう、私がそばで見張るようにします」


 ヒゲに寝ぐせを付けて、得意げに胸を張るゼーヴァを見ながら、シェイラがくすくすと笑って付け加える。



「どうやら、また新しい常連客を得られたようですね」

「やっぱり、〈喫茶シルエ〉の新メニューはカレーライスで決まりかな?」


 すると、たちまち店にいた全員から、異口同音に賛成の声が上がった。



 しずくは、すっかり空になった二つの大鍋を見ながら嬉しそうに笑うと、メニューに加えるのはどんなカレーにしようかと、あれこれと思案し始めたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。