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神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第三章 腹ペコの虎と起死回生のカレーライス

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147話 会議が長引いたのは虎さんのせい

『風の噂で耳にしていたが、まさか〈大地の神〉とテスレンカ法国の守護神が、本当にこの店の常連だったとは──』

 

 そうつぶやいた〈風雷(ふうらい)の神〉ゼーヴァの目の前では、小さな紅色のドラゴンに変化した〈大地の神〉ヴィリオーサとご機嫌な様子の〈白い死神〉が行儀よく椅子に座り、サウー砂糖入りのミルクティーに舌鼓を打っている。


「彼らは、しずくさんの身を案じたぼくが慌てて店に戻ったのを見て、心配してわざわざ追って来てくれたようです」

「そうだったんだ。小鳥さん、りりちゃん、本当にありがとうね!」


 ゼーヴァやシェイラはもちろん、皇帝アンワルや宰相ヒーリムたちも、しずくが名のある神々と親しげにしているのを見て、目を丸くしている。


「しかし、まさかぼくの店に、行方不明になっていたゼーヴァが居座っていたとはね……」


 呆れた顔のマスターにそう告げられた〈風雷の神〉は、きまり悪そうに体を縮こまらせた。


  

 それというのも、マスターたちが出席した会議が長引いたのは、ゼーヴァが行方不明になったからだったのだ。

 

 実は〈大地の神〉ヴィリオーサを中心に世界中の荒れた土地を復活させることになった時、どこから再生に着手していくかは、世界中の情勢に明るい〈風雷の神〉ゼーヴァに相談して決める事になっていた。

 ところが、その肝心のゼーヴァがいつまで待っても姿を見せず、実は行方不明になっていることがわかると、会議の場は上を下への大騒ぎになった。


「そうなるともう、会議をするどころではなくなりましてね……。急いで代替案を考えたり、あなたを捜索したりと、それはもう大変なことになりましたよ」

『すまん! 本当に申し訳なかった! 神力を使えなくなって動揺していた上に、逃げ出すことに必死で、会議のことをすっかり忘れていたのだ!』


 ふっと遠い目をしたマスターに、ゼーヴァがカウンターの上に額を(こす)りつけて謝罪した。



「もし、皆様が助けてくださらなければ、ゼーヴァ様は二度と帝国に戻れなかったかもしれません。本当にどうもありがとうございました」

「今回、わが帝国の守護神であるゼーヴァ様と、娘のシェイラの窮地(きゅうち)を救ってくれたこと、俺からも礼を言わせて頂きたい」


 マスターが、外で氷漬けになっているメーナや取り巻きたちや、皇后の弟であるダディト、宰相のヒーリムとターファズ神殿長を、まとめて転移魔法で帝国に移送する間に、強烈な異臭を放つメーナの料理を全て処分して、ようやく一息つくことができたしずくたちは、シェイラと彼女の実父である皇帝アンワルから、頭を下げて感謝された。


「わわっ! お二人とも、どうか頭を上げてください! 私たち、ただ料理を振るまっただけで、大したことはしていませんから! 最初はてっきり襲われるかと思って、虎さんを追い出そうとしちゃいましたし!」

「ぽぴーたちは、虎さんに食べられちゃうと思っていたきゅる!」

「だから、ねりねたちは、怖い虎さんを追い出そうとしたきゅる!」

「でも、それは誤解だったきゅる。ももは、ごめんなさいするきゅる!」


 あわあわと顔の前で手を振るしずくや、申し訳なさそうにしているシュクレドラゴンたちを見たアンワルとシェイラは、思わず目を(またた)かせながら顔を見合わせると、ふっと目元を緩ませてあたたかな笑みを浮かべた。


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