↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第三章 腹ペコの虎と起死回生のカレーライス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
140/168

140話 料理という名の危険物

 すると、ゼーヴァに逆ギレされたメーナが、涙で濡れた目を見開きながら言い返した。


「あれは腐った物体じゃありません。手間暇(てまひま)をかけて作った熟成肉ですわ!」


 憤慨して叫ぶ娘に、皇帝であるアンワルが(いぶか)しむような顔で問いかける。


「熟成肉と言う名の料理など、俺は一度も聞いたことがない。お前は一体どこでそんな危険な料理を知ったのだ?」

「熟成肉は、わたくしが留学していたグルファン王国で振るまわれた料理ですわ! 初めて口にした時にあまりにも美味(おい)しかったので、侍従に命じて調べさせたところ、調理した宮廷料理人たちは、『熟成肉とは、(さば)いてから一定期間保存した肉で、捌きたての肉より何倍も美味くなる』と、言っていたとか」

「では、お前はゼーヴァ様に悪意があって、アレを振るまっていた訳ではないのだな?」

「当たり前ですわ! わたくしはただ、あの熟成肉の美味しさを、愛しいゼーヴァ様にも味わって頂きたかっただけです!」

「それなら何故、あんな()()()を作り出したのだ! しかも、俺に黙ってわが帝国の至宝である〈刻知(ときし)らずの宝具〉まで持ち出すとは!!」


 メーナの料理を()()()だと言い切った皇帝を責める者は、誰もいない。

 店の外にいる者たちも、いつの間にか騒ぐことを止めて、固唾(かたず)を吞みながら親子の言い合いを見守っている。


「わたくしの料理が()()()!? 召し上がってもいないのに、何故そんなひどいことをいうのですか!」

「ならば、お前はほんの一口でも、自分の料理を味わったことがあるのか? もし、味わった上であの()()()が美味いと言っているのなら、俺はもう何も言わぬ」


 皇帝アンワルが眉間を抑えながら苛立(いらだ)たしげに言い放つと、メーナはそんな父親に向かって、胸を張りながら力説した。


()()()()()()()()()()()()()()()()()、グルファンの料理人が話していた通りに作ったのだから、美味しいに決まっていますわ!」


 その言葉を聞いて、その場にいた全員が凍り付いた。



「あのお姫様、一度も味見してなかったきゅるか?!」

「ねりねは、てっきり味音痴なのかと思っていたきゅるよ!」

「ももは、ゲテモノ好きなのかと思っていたきゅる!」


 動揺して騒ぎ出したシュクレドラゴンたちのそばでは、シェイラが完全に顔色を失っている。


「あの子は、自分で味見すらしていないものを、ゼーヴァ様にお出ししていたというの? ああ、なんという恐ろしいことを──」

『む? 料理長が俺に料理を作る時はたびたび味見をしていたから、てっきり料理には味見が必須なのだと思っていたのだが──必ずしもそうではないということか?』

「いやいや、ゼーヴァ様! 料理には味見が必須という、あなた様の認識は何も間違ってはおりませぬ! 間違っているのは全く味見をしないメーナ皇女のほうですぞ!」


 極めて真っ当な意見を述べる神殿長に、しずくも同意する。


「そうそう。神殿長様の言う通り、料理を作る時は、必ず味見しながら味を微調整していくのが普通なの。味見を全くしないのは、料理初心者やまずい料理を作る人によくありがちな間違いだね」

『ほう。つまり、料理初心者がうっかり味見し忘れると、あんなにも怖ろしい()()()が爆誕するということか』

「あー……」


 違うそうじゃない、と言いたい所だが、現実にそれが起こっている以上、まるっと否定することもできない。

 

 困ったしずくは、ぽりぽりと頬を掻いて、とりあえず曖昧(あいまい)に笑ってみせたのだった。



味見は大事(>_<)


ご覧いただきありがとうございます!

もし面白かったと思っていただけましたら、お星さまをポチっていただいたりブクマやリアクションで応援していただけると、とてもとても嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。