135話 必要なのは解毒薬
『黙れ、この愚か者がっ!』
「ぜ、ゼーヴァ様?」
再起動した帝国の守護神は、うろたえて半歩後ろに下がったメーナを睨みつけた。
『お前は、まだわからないのか? この至高の料理に比べたら、お前の作った料理など、スライムのエサにもならない劇物でしかない!』
「ひ、ひどい! どうしてそんなことをおっしゃるのです?!」
彼らのやり取りを見つめている者は、みな何とも言えない顔をしている。
「ぽぴーは、匂いをかいだだけで気分が悪くなったきゅるが、やっぱり、あのくっさい料理は毒だったきゅるね」
「虎さんが神力を失ったのも、うなずけるきゅるよ」
「虎さんに必要なのは、胃腸薬じゃなくて解毒薬だったきゅる」
シュクレドラゴンたちは、まるで化け物でも見るような目で、恐々とメーナを見つめている。
わなわなと震え出したメーナは、ゼーヴァの冷たい瞳を必死に見据えながら、甲高い声で喚き出した。
「さっきまで固まっていらしたのは、その女の料理が不味かったからではないのですか? だからあんなにも震えていらしたのでしょう!?」
『あれはただ、あまりにもこの料理が美味かったので、感動の余韻に浸っていただけだ!』
ぴしゃりと言いきると、ゼーヴァは椅子から立ち上がって、感激した様子でしずくの手を取った。
『礼を言うぞ、料理長! 今まで作ってくれた料理も十二分に素晴らしかったが、カレーは更にその上を行く美味さだった! ほんのひと口食べただけで、先程までの体調の悪さがすっかり消えてしまった!』
「それは良かった! でも、今回はカレーライスとして出しているので、できればライスと一緒に食べてみてほしいかな」
『おお、そうか! よし、わかった。では、冷めないうちに、今度はそのように食べるとしよう!』
はしゃいだ声を上げたゼーヴァは、再び椅子に座り直すと、上品な所作でカレーを食べ始めた。よほど美味しいらしく、今度は何も言わずに黙々とスプーンを口に運んでいる。
そんな彼の様子を、テーブルに噛り付いているポピーと黒い毛玉が、うらやましそうに見つめていた。
おあずけが長すぎて気が遠くなりそうなポピーと黒ふわさん(´・ω・`)
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