↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第三章 腹ペコの虎と起死回生のカレーライス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
124/166

124話 食っちゃ寝は通常仕様

「それで、さっきの話の続きだけど、変化が解けてしまった虎さんは、どうして帝国から逃げ出したの?」

『うむ。それはだな──』


 神力(しんりょく)が使えなくなったゼーヴァが、虎の姿のままで呆然としていると、彼の異変を察知したシェイラが、至聖所(しせいじょ)に駆けつけてくれたらしい。


「シェイラ皇女は、どうして虎さんの危機に気付いたのですか?」

「しずく様、どうか私の事は呼び捨てになさってください」

「あ、はい。わかりました。じゃあ、シェイラさんと呼ばせて頂きますね」


 シェイラは微笑みながらうなずくと、しずくたちに話を続けた。


「あの時は、急にゼーヴァ様の神気が揺らいだのを感じたので、急いで馳せ参じたのです」

『さすがは、俺の選んだ巫女だ』


 ゼーヴァの人化が解けているのを見たシェイラは、彼から神力が使えなくなったことを聞くと、メーナ皇女に見つかる前に、すぐにここから立ち去るように促したらしい。


「皇后様やメーナは、ヒト族に強い憧れを持っていて、獣に近い姿をした獣人を嫌う一方で、ヒトの姿をした神々に強い執着心を抱いているのです。だから、もし彼女が白虎のお姿に戻ったゼーヴァ様を見つけて、これが本来のお姿だと知れば、勝手に裏切られたと思い込んだ挙句(あげく)、ゼーヴァ様を傷つけようとするかもしれない──私はそれを危惧(きぐ)したのです」

「そういうことだったんだ……」


 ゼーヴァが不愉快そうに、鼻にしわを寄せる。


『あの女が巫女になってからというもの、俺は元の姿にも戻れず、少しも気が休まらなかった』

「じゃあ、シェイラさんが巫女だった時は、ずっと虎の姿で過ごしていたの?」


 しずくの問いに答えたのは、美しい微笑みを浮かべたシェイラだった。


「ええ。私が巫女になって間もない頃から、ゼーヴァ様は白虎のお姿のままで過ごしていらっしゃいましたよ。特に、日当たりの良い天窓の下が大のお気に入りで、お食事を召し上がった後は、必ずそこに寝そべりながらくつろいでいらっしゃいました」

「つまり、帝国に居た時から、虎さんは食っちゃ()ばっかりしていたわけだね」


 しずくが呆れたように言うと、すかさずポピーが付け加えた。


「虎さんは、元気になってからも、食べるか寝るかのどちらかしかしていないきゅる」

「それに、食べたらすぐ、横になって寝ちゃうきゅる」

「昨日は、気持ちよさそうに鼻提灯(はなちょうちん)を浮かべてたきゅる」


 ネリネとモモが更に畳みかけると、「まあ!」と小さく声を上げたシェイラが、嬉しそうに微笑んだ。


「では、ゼーヴァ様はこちらで心健やかに過ごしておられたのですね。皆さんのお話を聞いて、安心いたしました」

「……シェイラさんは、少し虎さんを甘やかしすぎじゃないかなあ」


 しずくに苦笑いされても、ひまわり色の髪の美女は、にこにこと嬉しそうに笑っている。

 

 

 実は、巫女になれる資格には、「守護神の正体が食っちゃ寝が好きなだらけた虎でも幻滅しない、心の広い女性」という、隠された条件が存在しているのではないだろうか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。