↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第三章 腹ペコの虎と起死回生のカレーライス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
123/168

123話 鈍感すぎる虎

『まあ、それはともかくとして。白虎の姿に戻ってしまった俺は大いに焦ったわけだ』

「でも、どうしてそんなことに? まさか、料理に毒でも盛られていたとか? もしくは、体調を崩すほどにまずい料理だった? そもそも、メーナ皇女の手料理って、一体どんな料理なの?」


 あのメーナが料理する姿が想像できないしずくが、手に汗を握りながら矢継(やつ)ぎ早に問いかける。


『あの女が作ってくるのは毎回同じ料理でな。薄切りにした生肉に、たっぷりとスパイスをまぶしただけの簡単なものだ。日によっては、ワインやレモン汁が加えられていたことがあったかもしれん』

「牛肉のカルパッチョみたいなものかな? でも、ソースをかけるのではなく、スパイスをまぶすっていうのは──」

『あの女は、普通の生肉ではなく、高級肉として有名な、バッフェンという牛型魔物の肉を熟成させたものだと言っていた』

「ん? ちょっと待って、メーナ皇女は熟成肉を生の状態で出していたの?! 虎さんは、そんなものを食べて平気だったの?」

『平気なものか! あの生肉を口に含んだ瞬間、激しい酸味と得も言われぬ刺激臭とスパイスとが混ざり合い、不快な臭いと吐き気を催すような渋みと酸味の不協和音が、容赦なく脳をえぐってくるのだぞ?』

「それ、熟成肉じゃない! ただの腐った肉!」

『そうなのか?! だから口にするたびに具合が悪くなったのか!』


 驚きのあまり目をむいたゼーヴァに、心苦しそうな顔をしたシェイラが追い打ちをかけた。


「それだけではありません。あの生肉は私が見たところ、どれも瘴気(しょうき)を帯びていました。あの子はバッフェンを一頭買いで仕入れたようですが、おそらく商人に(だま)されて、瘴気に侵されていたバッフェンを高値で買わされたのでしょう。……申し訳ありません。てっきりゼーヴァ様は、瘴気の事を知った上で、我慢して召し上がっておられるのかと思っておりました」


 ゼーヴァは目を見開いたままで、ポカンと呆けている。

 どうやら、瘴気の事には全く気付いていなかったようだ。


『なんということだ……。神力が使えなくなったのも、体がいつの間にかボロボロになっていたのも、毎日奴の腐った料理を食って蓄積した瘴気が、俺の体内を(むしば)んでいたからだったのか!』


 わなわなと震え出した巨大な白虎に、しずくが呆れ顔になる。


「瘴気の事もそうだけど、自分がそんなにひどい状態になっていることに全く気付かないっていうのは、神様としてどうなのかな……」

「ねりねは具合が悪くなった時点で、食べないきゅる」

「ぽぴーは食いしん坊だけど、腐った料理には手をつけないきゅるよ?」

「ももは、とっても呆れているきゅる。とらさんって食いしん坊なのに、ばか舌きゅるか?」

『全く持って、返す言葉もない……』


 シュクレドラゴンたちにまで呆れられたゼーヴァが、がっくりと項垂(うなだ)れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。