↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第三章 腹ペコの虎と起死回生のカレーライス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
121/165

121話 完全に病んでるきゅるね

「そんな、ムチャクチャな! 皇帝や他の貴族たちは抗議しなかったの?」

『皇后やメーナの後ろ盾は、皇后の実家であるゼルバ王国と、皇后に取り入って力を付けた有力貴族たちで、奴らは帝国内の最大派閥(はばつ)に属しているのだ。だから、皇帝や他派閥の貴族たちは、奴らと争うことによって国政に影響が出ることは避けたかったのだろう』


 ゼーヴァは、長い尻尾をぱしんぱしんと床に打ち付けながら、顔を(しか)めたしずくにそう答えた。


「じゃあ神殿の人たちは? 神殿長さんは何もしなかったの?」

『あの女──メーナは、シェイラの罪をでっち上げるのと同時に、「巫女になれ」と俺から神託を受けたと説明した。もちろん、神殿長や神官たちはそれが真っ赤な嘘であると見抜いていたが、俺自身がその話を否定しなかったために、奴を巫女に()えるしかなかったのだ!』

「そんな……虎さんはどうして否定しなかったの?」

『あの時はそうでもしないと、嫉妬に狂ったあの女の手で、シェイラが(あや)められる恐れがあったのだ……』

「嘘でしょ? だって腹違いだとはいえ、シェイラさんは自分のお姉さんなんだよ?」

『にわかには信じられないだろうが、奴のシェイラに対する憎悪と、俺に対する執着は、それほどまでに度を越していたのだ』



 その後、シェイラを無理やり自分の側仕えにしたメーナは、巫女として行うべき仕事の全てを彼女に押し付ける一方で、自分はゼーヴァが居る至聖所(しせいじょ)に入り(びた)り、恋人気取りで世話を焼くようになった。


『奴は、俺の神気に触れた恐ろしさで自分が震えているのを、幸せで震えているのだと思い込んでいてな』

「それは、かなり重傷だね……」

「完全に病んでるきゅるね……」

「そういう人は、何をしでかすかわからないきゅるよ」

「下手に刺激しちゃいけないやつきゅる」


 戦慄(せんりつ)しているしずくやシュクレドラゴンたちの意見に、ゼーヴァも同意する。


『俺もそう考えて、仕方なく奴がやりたいようにさせていたのだが、神気(しんき)に当てられて真っ青になったあの女に、甘い言葉をささやきながら()り寄られるのは、おぞましくてたまらなかった……』


 白虎の姿をしたゼーヴァの毛が逆立っている。思い出すだけでも不愉快なようだ。


「姉である私が、あの子を(いさ)めることが出来れば良かったのですが……」



 メーナが定められた時間を無視して、至聖所に入り浸っていることを知ったシェイラは、「尊い存在である守護神様をあまり(わずら)わせてはいけない」と何度となく諭そうとした。

 

 だが、メーナはその度に、「さては、わたくしに嫉妬して、ゼーヴァ様と会わせないつもりね!」と怒り狂い、シェイラを打ち据えながら罵倒した。

 そのくせ、神託を授かる儀式では、そばで控えるシェイラにゼーヴァの声を聞き取らせておき、さも自分が神の声を聞いたかのように振る舞った。


 だが、自分勝手で傲慢(ごうまん)なメーナも、ターラージャ帝国にとって最も重要な儀式である〈神託の儀〉を(おろそ)かにするような真似はさすがにしなかった。

 

 だからシェイラも、「心から慕うゼーヴァのため、メーナなりに巫女としての役割を果たそうとしているのだ」と信じるようになり、ならば自分がどんなにひどい仕打ちを受けようとも、ゼーヴァのために彼女を助けていこうと心に決めていた。


 ──ところが、それからしばらくすると、シェイラが抱いていた切なる思いは、無残に踏みにじられることとなる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。