↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第三章 腹ペコの虎と起死回生のカレーライス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
116/170

116話 監禁疑惑をかけられる

「まあ、あなたの事なんてどうでもいいわ! タピネ様がいらっしゃらないのなら、さっさとゼーヴァ様に会わせてちょうだい。まさか、ここがタピネ様のお店だなんて知らなかったから、すっかり誤解していたけれど、ゼーヴァ様はあなたに篭絡(ろうらく)されてここに監禁されているのではなく、自らタピネ様に会いにいらしたのでしょう? でも、ゼーヴァ様が何日も神殿を空けるのは、わが国としては外聞が悪いのよ。だから、急いで戻っていただかないと」


 見ず知らずの神を篭絡して監禁したなどと、とんでもない言いがかりをつけられていたことを知って、思わずしずくが顔を引きつらせた。

 幸いにも誤解は解けたようだが、メーナが捜している神はこの店には来ていない。しずくは正直にそのことを口にした。


「でも本当に、それらしいお客様は来ていませんよ。マスターが出かけてから、ここ数日の間に店にやって来たのは、ふわふわさんたちと虎さんだけですし──」


 しずくはそこまで話しかけて、「あっ!」という顔をした。


「まさか、ゼーヴァ様って、よぼよぼのお爺ちゃん虎だったりします? 一応、子虎に変化することもできるみたいなんですけど──」

「あなた、このわたくしを馬鹿にしているの?! 普段のゼーヴァ様は、銀髪で青い目の美しい青年のお姿をしているのよ?! 彼が虎に変化したことなんて一度もないわ! しかも、よぼよぼの老虎だなんて、絶対にあり得ない!!」

「はあ。そうですか……」


 店にやって来た時期的にも、てっきり白虎がゼーヴァ様ではないかと思ったのだが、どうやら違ったようだ。せっかく態度が軟化していたメーナ皇女をまた怒らせてしまった。


「困ったなあ。だとしたら、やはりゼーヴァ様はこの店には来ていない、としか言いようがないんだけど……」

「そんなはずはないわ! だってこの魔法具が、確かにゼーヴァ様がここに来たと示していたのだもの!」


 メーナはそう叫ぶと、しずくに向かって全く日焼けのない白い右腕を突き出した。見ると、その細い手首には、宝石が散りばめられて黄金色に輝く美しい腕輪がはめられている。


「その腕輪が魔法具?」

「そうよ! この腕輪に魔力を通せば、ゼーヴァ様が身に着けた指輪が今どこにあるのか、すぐに突き止めることができるの。お姿が見えなくなった時にこの魔法具を使ったら、指輪があるのは確かにこの場所だと指し示していたわ!」


(つまり、GPS発信機と受信機みたいなものなのかな? プライバシーを侵害されまくっているのに、よく神様が怒らないなあ)


 しずくが驚いていると、更に顔色を悪くしたシェイラが、まるで信じ難いものを見るような目でメーナを凝視(ぎょうし)しているのが見えた。


(え? まさか、神様からの許可もなくこんなことをしているの?!)


 唖然(あぜん)としているしずくの顔を、意地悪そうな笑みを浮かべたメーナがのぞき込む。


「あらあら、いきなり黙り込んでどうしたの? この店にゼーヴァ様がいらっしゃるという動かぬ証拠を見せられて、急に焦り始めたのかしら?」

「いえ、そんなことは全くないですけど、その魔法具が示した位置が間違っている可能性はないですか? たとえば、魔法具が壊れていたなんてことは──」

「わたくしたちが国を出た直後に、何故か指輪の反応が消えてしまったけれど、最初に魔法具が示したのは、確かにここだったのよ! 帝国随一の魔導士が立ち会って確かめたのだから、絶対に間違いないわ!」

「そうですか……。だとしても、やっぱりお探しの神様は、ここにはいないとしか──」

 困惑したしずくがなおも否定していると、とうとう()れたメーナが叫び出した。


「そこまで言うのなら、わたくしがこの店でゼーヴァ様をお捜ししても文句はないわよね?!」

「あ、そうか! その手がありましたね! ええ、いいですよ。どうぞ気が済むまで捜してください。ついでに、見つかったらさっさと連れ帰ってもらえます?」

「え? お前はそれでいいの?!」


 断られるどころか、喜んで捜索するように勧められ、メーナが気の抜けた顔をする。


「もちろんですよ! もし、知らないうちにこの店に不審者が入り込んでいるのなら、さっさと出て行ってもらわないと」


 自分たちの神を不審者扱いされた虎人族たちは、釈然としない表情で互いに顔を見合わせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。