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神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第三章 腹ペコの虎と起死回生のカレーライス

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114話 二人の皇女

「しずくちゃんの言う通りきゅる! この人たち、ずっと失礼なことばかり言ってるきゅる!」

「こんな人たち、早く小鳥さん──〈白い死神〉さんに頼んで、追い出してもらったほうがいいきゅるよ!」

「そうきゅる! きっとあるじ様だって、許してくれるきゅる!」


 〈白い死神〉という言葉を聞いた途端に、メーナたちの顔色が悪くなる。


「わ、わかったわよ! ちゃんと名乗ってやるから、そんな恐ろしい化物(ばけもの)は呼ばないでちょうだい! わたくしの名は、メーナ・リル・ターラージャ。ターラージャ帝国の第二皇女で〈風雷(ふうらい)の神〉であるゼーヴァ様を(あが)める神殿の巫女を務めているわ。そして、この者は護衛のウルガ」

「そうでしたか。では、そちらの女性は?」

「この者は、シェイラ・リル・ターラージャ。わたくしの腹違いの姉よ。今は侍女として仕えてもらっているわ」

「ん? メーナ皇女のお姉さんということは、シェイラさんも皇女様なのですよね? それなのに、どうして妹であるあなたの側仕えをしているのですか?」


 (いぶか)しむしずくに、メーナが偉そうに胸を張りながら説明する。


「同じ皇女でも、わたくしの母は皇后で、シェイラの母は身分が低い側室に過ぎないわ。強い後ろ盾もなく、美しさと賢さを兼ね備えたわたくしと違って、何の取り柄もないこの姉は、皇族に利益をもたらす貴族や他国の王族に嫁ぐ事ぐらいでしか使()()()()()()のだけれど、この貧相な見た目のせいでどこからも声がかからなくて、とても肩身の狭い思いをしているの」


 腹違いの姉を、()()()()しながら平気で(さげす)むメーナに、護衛のウルガが偉ぶった態度で言い添える。


「そのことを不憫(ふびん)に思ったメーナ様が、他の者から(しいた)げられぬように、こうしてわざわざ身の回りの世話を任せてやっているのだ。これで頭の悪い貴様にもわかっただろう。メーナ様はただお美しいだけでなく、誰よりもお優しいお方なのだ!」


 主従そろって残念な性格をしているなあ、としずくが鼻白(はなじろ)みながらシェイラに目を向けると、彼女は悲しそうな顔で(うつむ)いていた。


「さあ、こうしてわたくしが名乗ってやったのだから、お前たちも自分とこの店について教えなさい!」


 しずくは、やれやれとため息をつくと、招かれざる客に口を開いた。


「私の名は、水瀬(みなせ)しずく。この〈喫茶シルエ〉の店員で、厨房を任されています。この子たちは、シュクレドラゴンという種族で、名前は左からポピー、ネリネ、モモ。彼らはこの店の優秀な給仕係です」


 しずくが作り笑いを浮かべながら淡々と説明していると、メーナが怪訝(けげん)な顔をした。


「ちょっと待って。あなたは店長ではないの?」

「違いますよ。この店の店長──マスターは、羽を生やした、全体的に丸っこい感じのかわいい白蛇(しろへび)で、私はただの雇われ店員です」

「待って、()()()()()()ですって? それは本当なの?!」


 何故かメーナが驚いて立ち上がる。護衛のウルガと彼女の姉のシェイラも驚愕(きょうがく)して目を見開いている。


 しずくは理由がわからずに、ぱちぱちと目を(またた)かせた。


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