107話 ちっちゃくなった!
素行の悪い青い小鳥たちの一団は、「もう、にどと、こんなまねはしない。なかまのごはんも、よこどりしない」と、しずくに固く誓うと、彼女の恩情により、クリームチーズケーキと試作中のチョコチップクッキーを少しずつ分けてもらった。
そして、夢にまで見たという甘味を、たっぷりと時間をかけて味わった彼らは、嬉し涙を零しながら飛び立って行った。
「一晩中眠らずに飛んできたらしいけど、まだまだ元気そうだったね」
「きっとケーキが食べたい一心で飛んできたきゅる!」
ポピーが確信したようにそう告げると、ネリネやモモも、うんうんとうなずいた。
「ケーキとクッキーを食べたから、帰りはもっと早く飛べるって言ってたきゅる」
「食いしん坊で甘い物が大好きなのは、小鳥さんにそっくりきゅる」
外で見送っていたしずくたちが店内に戻ると、白虎がのそのそとやって来た。
「あ! 虎さん、さっきはどこにいたきゅるか?」
「そういえば、あの騒ぎの間は姿を見なかったような……」
「どこかに隠れていたきゅるか?」
だが店内には、この巨体で、隠れられるような場所などないはずだ。しずくが訝しんでいると、白虎が「がう!」と小さく吠えて、しゅるしゅると姿を変えていった。
「え? ええええ?!」
「虎さんがちっちゃくなったきゅる!」
「ねりねたちと同じくらいの大きさになっちゃったきゅる!」
「虎さん、すごいきゅる! ももはびっくりしたきゅる!」
子虎に変化した白虎に驚いていると、光る毛玉たちがふわふわと飛んできた。
チカチカと光る毛玉を見て、モモがふんふんとうなずいている。
「ふわふわさんは、さっきの騒ぎの間、虎さんは今みたいに子虎に変身して、ソファの下で隠れてたって言ってるきゅる」
白虎は毎食きちんと食事をとっているおかげで、少しずつ力を取り戻しているらしい。変化まで出来るということは、やはり、ただの老いた虎ではないようだ。
「そうだったんだ。具合が悪くて寝ていたのに、いきなり騒がしくされて驚いたでしょう。あんな所にずっと居て、体は冷えなかった?」
心配してくるしずくを黙って見上げると、白虎はゆっくりと首を横に振った。彼女はほっとして微笑むと、ふよふよと浮かぶ毛玉たちを振り返った。
「ふわふわさんや黒ふわさんも、さっきは驚かせてごめんなさい。あ! 掃除を手伝ってくれていたんだね。どうもありがとう!」
床掃除をするお手伝いゴーレムに混ざり、器用に布巾を操ってテーブルを綺麗にしてくれた毛玉たちは、「気にしないでいいよ」とでも言うように、ふるふると体を震わせた。




