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神様の遺言状 ~世界に一軒だけの喫茶店はお客様の悩み事も解決いたします~  作者: はんぺん
第三章 腹ペコの虎と起死回生のカレーライス

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106話 青い小鳥たちの来襲

「うわっ! どうしたの、これ!?」


 店内にはたくさんの青い小鳥が詰めかけていて、まるでスーパーの特売セールのように(にぎ)わっていた。


「あ! しずくちゃんが来てくれたきゅる!」

「ポピー、これって一体どういう状況?」

「ねりねやごーちゃんたちと、外のお花にお水をあげてたら、いきなり鳥さんたちが押しかけて来たきゅるよ!」

「こうなったのは、ねりねのせいきゅる。この青い小鳥さんたち、このあいだ小鳥さんを迎えに来てたきゅる。だから、店に入れても大丈夫って、ぽぴーに言ってしまったきゅる……」

「そしたら、〈りりちゃん印のクリームチーズケーキ〉を寄こせって(おど)してきたきゅる!」


 しょんぼりした顔で説明するネリネに、怒ったモモが言い添える。

 すると、テーブルに乗った青い小鳥たちが一斉に騒ぎ出した。


『われらは、いだいなる〈しろいしにがみ〉の()()()()なり!』

『でんごんをききたければ、いまおまえたちがつくっているけーきをよこすのだ!』

『できたてじゃなくてもゆるす!』

『いちわにつき、いっこずつがのぞましい!』

『ただし、あにきにはないしょで!』


 要するに、彼らは小鳥さんこと〈白い死神〉の()()であり、ここへは何らかの伝言を届けにやって来たらしい。それなのに、その伝言を聞きたいのなら、〈りりちゃん印のクリームチーズケーキ〉を寄こせと強請(ゆす)っているのだ。


(小鳥さん自身がいなくても、やっぱりトラブルは持ち込まれるんだね……)


 ぴーちくぱーちくと(かしま)しい青い小鳥たちを前に、しずくは遠い目をした。


『りょうりちょう、きいているのか?』

「はいはい。ちゃんと聞いていますよー。でも、そんなに失礼な態度を取るなら、とてもじゃないけどケーキなんてあげられませんけどね」

『?!』

『りょうりちょうは、でんごんをきけなくてもいいのか?!』


 驚愕した青い小鳥たちは、ぴたりと騒ぐのを止めた。しずくは、そんな彼らを呆れ顔で見た。


「私はそれでも構わないよ。でも、そうなった場合、困るのは伝言役を任された君たちの方だよね? もし、小鳥さんがこのことを知ったら怒るんじゃないかなあ?」

『はっ! たしかにそうだ!』

『りょうりちょう、なんてひきょうな!』

「失礼な! むしろ卑怯な真似をしているのは、君たちのほうでしょ。これ以上悪さをするなら、ホントに小鳥さんに言いつけちゃうよ? それでもいいの?」

『!!』


 しずくに言い負かされた青い小鳥たちは、しょげかえった様子で項垂(うなだ)れた。

 そんな彼らから伝言を聞き出すと、なんと依頼主はマスターで、その内容とは「会議中に予想外の問題が起こったので、もうしばらくの間は店に戻れない」というものだった。


 ちなみに、命に関わるような問題ではない、という補足を聞き、しずくたちはほっとして胸を撫で下ろす。

 この青い小鳥たちは、会議が長引きそうだと知って困っていたマスターに、店への伝言なら任せて欲しいと自ら申し出たそうだ。


「でも、ただの親切じゃなくて、お礼のケーキ目当てだったきゅるね」

『われらも、あにきがぜっさんしているケーキを、たべてみたかったのだ……』


 呆れて半目になっているポピーの前で、青い小鳥が項垂れる。


「小鳥さんは、頻繁にケーキを持ち帰っているのに、一度もおすそ分けしてくれないの?」

「そんなことはない。さいしょに、あにきがけーきをもちかえって、みんなにわけたとき、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、おれたちだけ、けーきをもらえなかった」

「つまり、それって自業自得じゃないの!」

「いばっていうことじゃないきゅる!」

「ぽぴーは食いしん坊だけど、よこどりなんてしないきゅるよ?」

「ももだけでなく、ふわふわさんたちも、呆れているきゅる……」


 光る毛玉(ふわふわさん)黒い毛玉(くろふわさん)がふよふよと浮かぶ店内で、しずくたちから一斉に突っ込まれた青い小鳥たちは、ますます体を小さくして項垂れていた。


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