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双子王女との恋奏冒険記  作者: 雅國
第四章 廻り出す運命
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第82話 予言者

「なるほど、未開の森ではそんなことがあったのか」

 椅子に背を預けながらシオン達の話を聞いていたウェルが納得しながら言った。


 シオン達はフレデリックとシンシア、クロイスの依頼の報告と共に冒険者の拠点(ギルド)を訪れていた。

 そして、中に入ると相変わらず忙しそうであったが、シオン達を見つけたウェルがギルド長室に来るようにと促した。

 そして、王都を出てからアルマポールト、未開の森での出来事やわかったことをウェルに話したところだ。


「アルマポールトのギルドからも港での事件の報告は受けているぞ。それと、今回のことで向こうのギルドは他の大陸についても調べ始めたらしい」

「他の大陸ですか?」

 シオンが聞き返すとウェルは頷きながら答えた。

「ここは中央大陸じゃが、過去の魔人に関する資料を見ていくと、他の大陸も出てくる。そして、最北端の大陸、氷と火山の大陸と呼ばれている『キアスディア』。そこにかつて魔人王と呼ばれるものが封印されたこともな」

 その内容を聞いた三人は驚いて声が出なかった。

 古い文献はシオンも何冊か見たことはあるが、魔人が封印された場所は載っていなかったのだ。


「その情報はどこで?」

「これは王城の宝物庫の中で見つけた本からじゃ。国王陛下に頼んで探して貰ったのじゃ」

 宝物庫の中ということはかなり古い文献の可能性があるので、信憑性は高い方だとシオンは考えた。


「あれ?でもアルバルトさんはそんな話は」

「多分見つけたのはジンさん辺りだよ。シオン君」

「父上は本とかあまり読みませんから」

「・・・なるほどね」

 シオンはなんとなく納得してしまった。


「それと先程言っていた、ここから東の山の向こう。バレスの方についてじゃが、向こうは未開の森を迂回して、ギルド同士の連絡は取っている。ただ向こうまで早馬でも1ヶ月から2ヶ月ぐらいかかってしまうのじゃ。まぁ、お互いに1ヶ月単位で連絡は取るようにしてるがの」

「それだとここ最近は」

「最近だと1月前ぐらいじゃな。その時の報告では特に問題はなかったはずじゃ」

「そうですか」

 シオンは予想してはいたが、バレスの方の情報は入ってこないようだ。


「1ヶ月以上は経っているからそろそろ報告に帰ってくるとは思うがの」

「シオン君、どうする?」

「山を越えることって出来るかな?」

「確かカイさん達は越えて戻って来たって言っていましたね」

「それじゃと、山を越えるだけを考えれば1週間ぐらいで越えれると思うぞ。この場所からバレスまで徒歩でも1ヶ月は掛からないじゃろう」

「それなら山を越えた方が早いか」

「山には危険があるからあまりオススメはできんが、そなた達なら大丈夫じゃろう」

「とりあえず山を越えるってこと?」

「そうだね。その方向でいこう」

「決まったなら帰りましょうか。お腹も減ってきましたし」

「それでは、ウェルさん。ありがとうございました」

「気を付けてな」

 シオン達は昼食を取るために自宅の屋敷へと帰っていった。



 --------------------------


「この町は活気があるのですね」

「ここはホロスの町っていってな、アルマブルクとバレスの国境にある町だ」

「そのおかげでお互いの国の物資がここに集まるから賑やかになるのよ」

「そうなんですね」

 リシアの質問にフィルジアとルシルが答えた。


 リシア達はシオン達と未開の森で別れた後、森を東に抜けて、街道を進み1ヶ月ほどかけて国境の町ホロスに到着した。


「それよりなんか食いに行こうぜ。腹減っちまった」

 カイは皆にお腹を押さえながら言った。

「そうだな。もう昼の時間も結構過ぎてしまったしな」

「それじゃああそこ行かない?前回の時に行ったあの店」

「ああ、確か『みんなの集まる店』とか変な名前の店か?」

「そんなのあったな。でもあそこの飯は確かに美味かった」

「そうそう!今回リシアちゃんは初めてだし」

「そうだな。そこへ行こう」

 そして一行は『みんなの集まる店』へと向かった。



 カランカラン


 店の扉を開けると扉に付けられた鐘が鳴った。

「いらっしゃい」

 店のカウンターの奥から店主らしき男前の50歳ぐらいの男性が出迎えてくれた。

「適当に空いている席へどうぞ」

 店内を見渡すとカウンター席の他にテーブル席も幾つかあった。

 リシア達は4人だったので空いているテーブル席へと腰を下ろす。


「こちらがメニューです」

 そういって20歳ぐらいの女性のウェイトレスがやってきて水とメニューを持ってきた。

「ありがとう」

 リシアがそう言って受け取るとウェイトレスの女性はにっこりと笑い去っていった。

 リシアはメニューを見る。

「結構いろいろな料理があるのですね」

「だろ?それにどれもが美味いんだな」

 自分のことのようにカイが言った。


「なぁ、聞いたか?」

「何をだよ」

「いや、半年前にこの町に来た予言者のじいさんの話」

「ああ、城を追放されたって噂の?」

「あのじいさん、ここでもまだ追放となった予言をばらまいていたぜ」

「マジかよ」


 他の客の話が聞こえてきた。

「予言者・・・か」

「今の話知ってるんですか?」

「いや、オレ達は去年にバレスで仕事していたんだが・・・」

「直接は会ったことないのだけれど、インチキ予言者を追放するしないって噂はバレスであったのよ」

「へー」

「その予言者がこの町にいるのなら話をしてみてもいいと思ってな」

「どうしてです?」

「噂だとバレス王に高い忠誠心があった人だと聞いている。そんな人が追放されるほどのことを言ったんだ。何が見えたのか気になってな」

 フィルジアはその予言者が国にとって不適切な予言をしたから追放されたと噂で聞いている。

 その予言の中身を聞きたいと思ったのだ。

「それより早く何か頼もうぜ」

 カイはそんなことを気にせず、早くご飯を食べたいと懇願するのであった。



「ここか」

 昼食を食べ終わった4人はさきほどの予言者と呼ばれる老人の家の前へと来ていた。


 コンコン


 フィルジアが扉をノックすると

「うるさい!話を聞かん奴に話すことはない!!」

「「「「っ!?」」」」

 突然の怒鳴り声に皆で驚いてしまった。

「すまない、予言者と言われる貴方の話を聞きたいと思ってきたのだ」

 フィルジアは扉の向こうに話しかける。


 ガチャ


「貴様達は・・・」

「旅の者です。あなたの予言に興味があり尋ねてきました。お話を伺っても?」

「・・・入れ」

 予言者の老人が家の中へと入るように促してきた。

「失礼する」

 フィルジアに続きリシアや他の人も続いて家の中へと入った。


「で、儂の予言を知りたいと言ったな」

「はい」

「この予言の所為で儂は国を追放された。この町でも馬鹿にされる始末。そんな予言でも聞きたいのか?」

「はい、それを聞きにここに」

 フィルジアは誠意を見せるために目を見て言った。


 老人は息を深く吐いた後に話を始めた。


「・・・バレスが滅ぼされるのと予言したんじゃ」

「「「「え!?」」」」

 その言葉で4人は驚いた。

「儂も全ては視えておらん。じゃが巨大な大きな闇にバレスが包み込まれ破壊されるのを視たんじゃ」

「大きな・・・闇?」

「それってまさか」

「魔人・・・のこと?」

「・・・・・・」

 フィルジア、ルシル、リシアは確かめ合うように言い、カイは顔を険しくした。


「何じゃ?お主らは信じるのか?」

「信じるというか・・・少し心当たりが」

「何じゃと!?」

 フィルジアの言葉に過剰に老人は反応した。


 予言者の老人も話してくれたので、リシア達も未開の森で会った魔人のことについて話した。


「まさか・・・。そんなことが・・・」

「ですが事実です」

「それだとバレスはまずくねぇか?」

「予言の大きな闇と魔人が同じであれば、まずいかもしれんな」

「私達が向かった方がいいんじゃないかしら?」

「ダメです。瘴魔ならまだしも魔人だとフィルジアさんや私では手も足も出ません」

 4人は追い詰められた顔をして話していた。

 その時


「大変だ!!」


 遠くからそんな声が聞こえてきた。

「何かあったのか!?」

 カイは家を飛び出していった。

「すまない、俺達も向かおう」

 老人に一声かけて残った3人も出て行った。


「・・・話ぐらい聞きに行くか」

 遠くからでもある程度は聞こえると思い、予言者の老人も家を後にした。



「何があったんだ!!」

「おい!嘘だろ!!」

 広場のような場所に先ほど声を上げた男性を中心に大騒ぎとなっていた。


「何があった!?」

 カイが知っていそうな男性に聞くと

「バレスが魔物の大群に襲われたらしい!!」

「なんだと!?」


 今この情報がこの町ホロスに来た時はすでにバレスは魔人の襲撃のあった後で、壊滅をしていた。

 そんなことを露と知らずにホロスの町の人々は大騒ぎをしている。


「これは少しまずいかもしれんな」

「何がです?」

「予言者の老人だ」

 フィルジアは嫌な予感がしたのだ。

 そしてそれは現実になりつつあった。


「そうだ!これはあの似非予言者の復讐なんだ!」

「え!?」

 その言葉が聞こえてきてリシアは耳を疑った。


「そうだ!あいつに違いない!」

「この町から追い出してやろう!!」

 この話はどんどん町の人々へと感染していった。



「・・・この町にもおれんのか」

 遠くからその話を聞いていた予言者の老人は、人々に絶望し、旅の支度をしようと家へと向かおうとした。

 その時


「あの人がそんなことするはずがありません!!」


 広場に少女の声が響いた。

 老人は振り返ると先程家を訪れて来ていた少女、リシアが広場の皆に向かって風の精霊魔法で声を大きく響かせていた。



「なんで誰かのせいにするんですか!?私はその方と話しましたがそのようなことをする方ではありません!?」

 リシアは目に涙を溜めながら人々に訴えかけていた。

「リシア・・・」

「リシアちゃん」

「・・・ふっ」

 3人はリシアの行動に最初は驚いたが、この行動自体に間違いはないと考えた。


「そうだ!!これはあの予言者のご老人の仕業でも何でもない!!」

「てめぇらが逆にあの爺さんの話を信じなかったせいだろうが!!」

 フィルジアとカイもリシアに続いて声を上げた。


「それでもあの予言者がやったことかもしれないだろうが!」

「証拠出せ!」


 だが人々の騒乱は収まらない。


「おい!そこのギルドで働いてるやつ!!お前はある程度の情報を知っているだろうが!!」

 カイは目ざとくこの町のギルドで働いでいる男性を見つけて怒鳴りつけた。

「カイさん・・・」

 ギルド職員の男性はカイの名前を呼んだ。


「カイだって!?」

「カイっていえばあの?」

 職員の男性がカイと呼んだことで騒動の流れが変わりつつあった。

 カイはこの町でも最強の冒険者の一人として噂されていたのだ。


「おい!?知っているんだろ!?」

「・・・はい、ここ最近の魔物の増加。それと・・・・・・・」

 その先は魔人と言葉を出そうとしたのだろうが、混乱のことを考えると職員の男性は言えなかった。

「それでいい。てめぇら!今聞いた通りだ!オレ達がバレスへ向かった魔物を討伐してやる!今回はあの爺さんが関係ねぇってこと証明してやる!」

 カイが大勢の前で宣言すると、騒ぎは落ち着きカイを応援する声が増えていった。


「待てぃ!!」


 そこへ予言者の老人が呼び止める声が響いた。

 人々はその登場にひそひそと話をする声が辺りから聞こえる。


「カイといったな。その嬢ちゃん達の言葉もすごく嬉しかった。ありがとう。じゃから、お前達をそのまま向かわせるわけにはいかん。先程話した時に言っていたな。『私達では太刀打ちできない』と」

 予言者の老人の介入により、町の人々がまた騒ぎだそうとする気配がしてきた。


「この予言者ラケルがお前達の未来を視た。お前達では太刀打ちできなくても、太刀打ちできる人物は知っておるのだろう?」

「・・・ああ」

 それはシオンとリィナ、レィナのことだろう。

「その者達が近いうちにバレスへやって来るのが視えた。無暗に先行せず、その者達と足踏みを揃えた方がいいのではないか?」


「・・・兄さん達が」

 リシアがバレスにシオン達が向かうと聞いて、また力になりたいと思った。


「・・・オレ達では敵の親玉は倒せない。せいぜい周りにいる雑魚の殲滅を手伝える程度だ」

「・・・・・・それなら儂がお前さんに一つの武器を与えてやろう」

「何だと?」

「ただバレスの近くに行かんといけんからな。お前さん達に護衛をしてもらおう。どうじゃ?」

 予言者ラケルはそう言ってカイ達に聞いた。


「へっ!いいぜ。その代わり武器は貰うぜ」

「もとからそのつもりじゃ」

 こうしてリシア、カイ、フィルジア、ルシルは予言者ラケルと共にバレス近郊のある場所まで向かうのだった。

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