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双子王女との恋奏冒険記  作者: 雅國
第三章 深き森に住む者(未開の森編)
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第71話 戦いの後

『お前ら!持ちこたえるぞ!!』

 集落では相変わらず魔物の襲撃がやまないでいた。


「リシア!大丈夫か!?」

 フィルジアは矢を放ちながらリシアに問いかける。


「はい!大丈夫です!!」

 リシアは精霊魔法で魔物達を撃ちながら答える。



 集落はシオン達が行ってからも魔物は減らしてもすぐに増えるという最悪の環境であったのだ。


「シオン達が必ず何とかしてくれる!それまでは頑張るぞ!」

「わかってます!私は兄さんを信じてますから!」

 二人は集落の戦士達の援護をメインとして動いているので、常に動きっぱなしだ。そろそろ疲れも限界に来ていた。


『おい、魔物が逃げていくぞ!』

『本当だ・・・』

『助かったぞ!』


「何か状況が変わったのでしょうか?」

「・・・確かに。様子が変わったな」

 何を言っているかは分からないが、魔物の様子が変わったことに気付いた。


「もしかしてあいつらが・・・」

「兄さん・・・」

 二人はシオン達が元凶を何とかしてくれたんだと考えていた。


 それから二人は集落の戦士達と魔物が残っていないか、付近を散策しておさの家の前に集合した。



『皆の者!良く持ちこたえてくれた!まだ舞巫女達は戻っておらぬが、今の現状を見るに解決してくれたことだと思う。今暫く帰って来るのを待とう!』

 長のラングは戦士達にそう告げた。だが、集落の戦士達は白霊が原因だとは知らない。ラングはどうやって解決したのか分からない。ユンク達の帰りを待ち望んでいるのだった。



「来ないね・・・」

「そうだな」

 リシアとフィルジアはシオン達が出発した方の集落の外にいた。


「魔物の襲撃は終わった。シオン達が無事か帰結したのは間違いない。だからもう少し待っていよう」

「そうですね・・・・っ!!」

 頷いたリシアが急に何かに反応した。


「兄さんの匂い!!」

「匂い?」

 フィルジアは何のことだと思ったが、森の奥からシオン達が歩いてくるのが見えた。


「お前の嗅覚は犬か・・・」

「兄さん!!」

 フィルジアは少々呆れつつリシアに言うが、リシアはすでにシオンの元へと走り出していた。


「兄さん!お帰りなさい!」

 リシアはシオンに抱き付きながら言った。


「リシアも無事で何よりだよ」

 シオンも受け止めながら言う。そして、二人は至近距離で見つめ合った。



「「それより!!」」

「早く離れて!」

「そこは私達専用です!」

 リシアがシオンに抱き付いているのが二人にとっては嫌だったようだ。すぐにシオンの両腕に抱き付いて来る。


「こないだは許してくれたじゃないですか」

 リシアは自分が倒れた時は許してくれていたのに、なんで今はダメなのか疑問に思った。


「だって・・・・」

「最近一緒に・・・」

「「寝ていない(だもん)ですもん!!」

 ただの要求不満のようだった。


「二人共、今日は一緒に寝るから・・・」

 シオンはそう言って二人を宥めた。



「お前達、無事で何よりだ」

 フィルジアも皆の無事を確認しほっとしていた。


「フィルジアもありがとな」

「他の皆さんは無事なんですか?」

 カイとルシルも確認をする。


「ああ、集落の戦士に負傷者は出たが、亡くなったものはいない」

「それはよかったです」

 その報告を聞いたユンクは嬉しそうに言った。


「で、それは?」

 フィルジアはユンクが抱えている卵を指して聞いた。


「これは白霊様の子供です」

「「・・・・・・え?」」

 フィルジアとリシアは呆然と立ち尽くすのだった。



-------------------------



「そうか・・・白霊様はお亡くなりになられたか・・・」

 場所をラングの家へと移し、白霊と何があったのか報告をしていた。


「はい。申し訳ありませんでした」

 ユンクは深々と頭を下げた。


「よいのじゃ。儂もお主らを出発させる前から覚悟はしておった」

 ラングはユンクが最初に聞いた白霊の言葉から予想はしていたのだ。


「じゃが、まさか白霊様の卵を持って帰って来るとは予想しておらんかった」

 そう言って布で包んだ卵を見た。


「ラングさん、私達をもうしばらくの間、この集落に置かせては貰えませんか?」

「この卵は瘴魔となった白霊様の中にあったの。だから」

 レィナとリィナが卵がどういう状態かを説明し、ラングに頼んだ。


「なるほどのぅ・・・。瘴気の中にあったも同然の卵ということならお主達にいてもらった方が儂らとしても助かる」

 ラングもどうやら了承してくれるみたいだ。


「じゃが、住むところはどうするつもりじゃ?」

「それならまた私の家で暮らしませんか?」

 ユンクが提案して来た。


「いいんですか?ユンクの家はフレンさんと・・・」

「フレンは私の部屋で過ごしてもらいますから。シオンとリィナとレィナはフレンの部屋を使ってください」

 ユンクは一人で話を進めていく。


「フレン、いいんですか?」

 シオンは話に入ってこないフレンに聞いた。


「まぁ、シオン達なら構わないよ」

 フレンも特に異論はないようだった。


「そうじゃな・・・。お前達はまだ若い。結婚してない二人が事を運ばなきゃ儂は構わん」

「「運びません!」」

 ユンクとフレンが顔を真っ赤にしながら答えた。


 こうして卵の世話をしながら集落のユンクの家に暫くの間、お世話になることとなった。



-------------------------



「おはよう、シオン」

「おはようございます。フレン」

 シオンは朝早くから鍛錬をしているとフレンに呼びかけられた。


「シオンはこんな早くから鍛錬をしているんだね」

「日課になっていますから」

 二人が話していると


「シオン君、おはようございます」

「おはよー・・・」

 レィナとリィナも起きだしてきた。ただ、リィナはすごく眠そうだ。


「おはよう、二人とも。リィナはどうしたの?」

 シオンはリィナが眠そうな理由があるのか聞いてみた。


「なんか卵が気になって眠れなかったそうです」

 レィナは苦笑いしながら答える。



 卵はユンクの家で保管してある。最初は長であるラングの家がいいのではと考えていたが、集会所としても使うそうなので、ユンクの家となった。


 育て方はユンクの霊獣が教えてくれているそうで、ユンクを中心に世話をしている。霊獣の卵とだけあって必要な環境が普通の卵と違うこともわかった。


 まずある程度暖かな環境が必要、これは普通の卵と同じだが、霊獣の卵はこれにマナが必要だということ。元々舞巫女のユンクは精霊魔法は使えないが、霊獣との親和性が高かったため普通の人間よりはマナが多かった。それにここにはシオンを初めとする精霊魔法の使い手というマナの操作が出来る人間が大勢いる。


 白霊の卵を育てるにはもってこいの環境だった。


「マナの種類によって卵の中に影響はないのかな?」

 シオンが懸念したのはその部分だった。基本はユンクが育てた方がいいと決めているので、マナの操作が出来ないユンクには出来るだけ卵の近くにいるようにしている。近くにいればマナの操作は出来なくても卵にマナの影響を与えることは可能だ。



「今のところ瘴気の影響は出ていないようですね」

「それならよかった」

「・・・・・・むにゃ」

 朝、外に出る前に卵の様子を確認して来たレィナが言った。

 シオンは返事をしたが、リィナからは返事がなかった。リィナを見てみると器用なことに立ったまま眠っていた。


「・・・よく眠れるね」

「あはははは・・・」

 双子として少し恥ずかしくなるレィナだった。



-------------------------



「あ!今動きました!」

 シオンはリィナを背負いながらユンクの家へと入ると、リシアの声が響いてきた。ユンクを始め皆は白霊の卵に夢中だった。因みにリシアとルシルは朝早くから卵を見に来ている。カイとフィルジアは集落の復興作業を手伝いに行っている。


「皆何してんの?」

 シオンは呆れた顔で聞くと


「卵を見ているの!」

 フィーが卵の影から出てきて言った。フィーも卵は気になるらしく、昨夜も卵と一緒に寝ていた。


「シオンさんも触ってみてくださいよ」

「すごいですよ。ドクン、ドクンって脈動しているのがわかるんですから」

 ルシルとユンクもそう言ってくる。


 シオンは二人に勧められ卵を触ってみることにする。


 ドクン ドクン


 確かに脈動が感じることができた。


「これくらいだと孵化するまでもう少しなのかな?」

 シオンが聞いてみると


「霊獣がいうにはあと1週間もすれば産まれるんじゃないかって言ってます」

 ユンクは霊獣からすでに教えてもらっていたそうだ。


「それよりリィナはどうしてシオンに背負われているの?」

 ユンクがやっと聞いてきてくれた。


「外で立ったまま寝ちゃったんですよ」

 レィナがシオンに代わって答える。


「そのままってわけにもいかないから部屋にっ!?」

 シオンは部屋に寝かしてこようと、言う言葉が途中で切れてしまった。


「これで・・・・どうだー・・・」

 リィナが寝ぼけてシオンの首を絞めてきたのである。


 シオンは声が出せずにリィナの手を叩いた。


「ちょっと!リィナ!!」

 レィナも慌ててリィナを起こそうとする。


「んにゃ?・・・ここは?」

 リィナがシオンの首を絞めたまま目を覚ました。


「リィナ!早く解放してあげて!」

 レィナは早くシオンの首を解放するように急かす。


「解放って・・・・っ!シオン君!?」

 そこでシオンに背負われていることと、シオンの首を絞めていることに気が付いた。


「ごめん!?シオン君!」

 慌てて解放し、背中から降りるリィナ。


「はぁ・・・はぁ・・・だい・・だいじょうぶだから・・」

 シオンは空気を取り込みながら答えた。


「ほんとうにごめーーーん!」

 リィナはシオンに謝り続けた。


「本当に君達は面白いね」

 そんなやり取りを後ろから見ていたフレンが言ってきた。


「そうだ!朝ごはんは庭で皆で食べない?」

 ユンクが名案と言わんばかりに言ってきた。


「そうですね。それなら早く用意しましょうか」

 ルシルも手伝いを申し出る。


「それなら僕がカイさん達を呼んでくるよ」

「なら私達も」

「一緒に呼んできます」

 当たり前のようにリィナとレィナは腕に抱き付いて来る。


「リィナは寝ないでいいの?」

「眠かったけどさっきのことで目が覚めたから平気」

「まさかシオン君を殺そうとする姉を見るとは思いませんでしたね」

「イジワル言わないでよ!!」

 リィナとレィナはシオンを挟み言い合いを始めた。


「三人がラブラブなのはわかりましたから、早く呼んで来てください」

 リシアはそんな三人を外へと追い出したのであった。


「リシアちゃんはやっぱり寂しい?」

 ルシルがリシアに聞く。


「寂しくないといったら嘘になりますけど・・・。それでも兄さんはやっぱり二人が大事な存在なんだと思っているようですから」

 リシアは久々にシオンに再開してからずっと思っていたことだった。


 言動や態度や行動、リシアのことを心配してくれているのもあるけど、三人は深いところで繋がっている感じがあるのだ。


「リィナはシオンの命を助けたこともあったしね」

 フィーがクラーケンを撃退したときのリィナの行動のことをさらっと話すと


「どういうことですか!!」

 リシアがフィーに問い詰めるのであった。



-------------------------



「っ!?」

 リィナが突然身震いをした。


「リィナ?どうしたの?」

 シオンがリィナが身震いをしたので心配になって聞いた。


「なんか寒気がした気がして」

「リィナ、風邪でも引いたんじゃないですか?」

 レィナが心配する。


「でもそれはないですか」

 だが自分で言ったことをレィナはすぐに否定した。


「どういうこと?」

 シオンはレィナに理由を聞いた。


「だってリィナですから」

「んん?」

「・・・なるほど」

 リィナは首を傾げ、シオンはレィナが言わんとしていることが分かった。


「ちょっと!何でシオン君は納得したの!?」

 シオンはレィナと視線を合わせて無言を貫くのであった。


「ねぇ!二人とも!?教えてよ!?」

 リィナはカイ達を見つけるまでずっと二人に問い詰めるのであった。


 そして、カイ達を見つけてユンクの家に帰ると、リィナはリシアから質問責めにされるのだった。

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