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双子王女との恋奏冒険記  作者: 雅國
第三章 深き森に住む者(未開の森編)
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第69話 共鳴、そして

 ユンクは契約している霊獣達と共鳴(レゾナンス)して白霊の頭に触れる。


「皆!!お願い!!!」

 ユンクは霊獣達に向かって叫んだ。霊獣達もユンクの意志に同調するように力を合わせ始めて、白霊の意識と共鳴(レゾナンス)させようと努力をしている。そして、ユンクは白霊と共鳴(レゾナンス)をさせることに成功する。



-------------------------



「ユンク!!」

 シオンはお姫様抱っこで抱えていたユンクが、いきなり力なくぐったりする様子を見て呼びかけていた。


「シオン!大丈夫だよ!ユンクの精神が潜っただけ!」

 一緒に付いてきてくれたフィーがユンクの様子を教えてくれた。


「潜った?」

「うん。白霊様の精神へ・・・」

 フィーはいきなり大人しくなった白霊を見上げて言った。シオンもユンクを抱えながら白霊を見上げるのであった。そしてリィナとレィナもシオンとユンクの方へと近づいて行った。



-------------------------



「・・・ここは・・?」

 ユンクは気が付くと上も下もない真っ暗な闇の中へ浮かんでいた。今自分が落ちているのか、もしくは上へと向かっているのか、それすらも分からない場所だった。


「確か・・・皆の力を借りて・・・共鳴(レゾナンス)を・・・・・・」

 ユンクは記憶を手繰り寄せるように呟いた。


「ここは・・・もしかして白霊様の精神の中かしら・・・?」

 ユンクは周りを見渡しながら呟く。しかし、周りは何もなくただただ闇が広がっているだけであった。


「まさか・・・遅かった・・の?」

 ただ闇が広がっている。それは白霊の精神がもういなくなってしまったのではないかと考えた。


(まったく・・・ユンク。こんな所まで来てしまったのだな)

「っ!!」

 ユンクの頭の中へいきなり声が掛けられた。


「この声は・・・白霊様!?」

(そうだ・・・。もう精神とはいえ形を作ることさえ出来ないがな・・・)

「そんな!?」

 ユンクは目に涙を浮かべながら叫んだ。


(前に願いをしたであろう。我を殺せと)

「そんなことが出来るわけありません!!」

(・・・・・・・)

「出来るわけ・・・ないじゃないですか・・・・・・・・」

 ユンクは言葉にすることが出来ずに泣き出してしまった。


(お前は昔から泣き虫であったな・・・)

「はく・・れいさま・・・・」

 ユンクは闇の中、声が響いて来る上を見上げて白霊の名を呼んだ。


(・・・ユンク。我はもう精神も限界が近付いている。このままでは我は闇に飲まれ、お前達の森や集落までも破壊しつくしてしまう。そして世界の脅威となる存在になってしまうかもしれぬ)

 白霊は今の自分がどのようになっていくか、何となく想像できていた。


(我はそれを決して望まぬ。だから我が友であるお前に。ユンクに我の最後を送ってほしいのだ)

「そんな・・こと・・・ぐすっ」

 ユンクはそれでも諦めることが出来なかった。


(ユンク。今お前をここに繋いでいる友人達も限界が近くなってきているようだ)

 白霊はユンクが霊獣達に無理なお願いを言って、ここにユンクを留まらせていることがわかっていた。


(それに人間の友も出来たのであろう?その者もいつまでもお前や友人達を守るのにも限界が近付いているようだ)

 人間の友とはシオン達のことだ。外ではシオンがフィーと一緒にユンクと霊獣達を瘴気から守るべくマナを操作しているのだ。その脇にはリィナとレィナもマナを分け続けている。


「ぐすっ・・・ひっく・・・」

 ユンクはぼろぼろと泣き続けていた。


(・・・・・・・そうだ。最後にお前に託したい願いがあった)

「・・・ねが・・い?」

 白霊はユンクにそう語り掛けてきた。


(そうだ。聞いてはもらえないか?)

「・・・聞きます・・、私にその願いを託してください!!」

 ユンクは目に涙を溜めながら叫んだ。


(我の中に卵が眠っておる)

「たま・・・ご?」

(そうだ。我の子供だ)

「・・・・・・」

 ユンクは言葉が出なかった。その後の願いがわかってしまったから。


(今の我の中にあり続けると我の子供までこの瘴気とやらに毒されてしまう。そうなる前に我を殺し、子供を助けてほしいのだ)

 白霊はユンクに我が子を託そうとして来た。


(今から我を殺す為の方法と卵の位置をお前に教える。その方法で我を殺し、子供に未来を与えてやってくれ)

「・・・・・・わかりました。私は貴方を殺し、貴方の子供の未来を守ります!!」

 ユンクは悲しみが消えたわけではない。それでも白霊という初めての友達の最後の願いを叶えると心に強く想った。


(いい心の輝きだ、ユンク。・・・もう時間がない。一度しか言わぬから心して聞け)

「わかりました!!」


 こうしてユンクは白霊から言葉を聞いた。そして、友である白霊を殺し、その白霊の子供の未来を守るために白霊の精神から抜け出すのであった。



-------------------------



「・・・・・・ん」

「ユンク!大丈夫か!?」

 シオンはユンクをお姫様抱っこで抱え続けて、ユンクと霊獣達を瘴気から守るようにマナを操作し続けていた。傍らにはフィーが心を覗きシオンに指示を出し、リィナとレィナはシオンの中の二人に染まったマナが足りなくならないように意識を集中してマナをシオンに送り続けていた。


「シオン・・・」

 ユンクはシオンに抱き付き、泣き始めてしまった。


「ユンク?」

「何があったのですか?」

 レィナ達も心配になりユンクに尋ねた。


「・・・皆にお願いがあります」

 ユンクは白霊から託された願いをシオン達に伝えるのであった。



-------------------------



「・・・あまり気が進まないね」

「そうですね・・・。でもやるしかないです」

 リィナとレィナはまだ大人しくしている白霊を見上げた。その時


 ビキ!ピキピキ・・・バキン!!!


 白霊を包んでいた氷が砕け始めた。


「ユンクは決断したんだもんね」

「そうです。そしてその願いには私達の力が必要なんですから」

 二人は目を閉じ集中してマナを高めさせる。ユンクのために、友達のために。


 さっきまでマナは枯渇しそうだったのに、何処からか流れてくる。


「シオン君が昨日言っていた強くなるって方法ってさ・・・」

「リィナも思いつきましたか・・・」

 二人は更に集中して自分のマナが何処から来ているのか、自分自身で探し始める。そしてそれは自分の中ですぐに見つかった。


「シオン君の無茶と似ているんだね」

「そうですね。でも今はその無茶が必要な時です」

 二人の纏うマナはいつも以上に高まっていく。


 そして白霊を覆っていた氷が完全に崩れると同時に二人は目を開ける。


 その目には輝きが灯っていた。リィナの右目とレィナの左目が強い輝きを放っていた。


「ユンクの願いを!友達の願いを叶えるため!」

「私達が道を切り開きます!」


 二人は白霊に向かって走り出した。



-------------------------



「リィナとレィナは気付いたか・・・」

 シオンは二人のマナが高まっていく様子を見てそう呟いた。実際に目を開けた時の輝きは最初の頃に見た輝きより強く見えた。


「シオン、二人の目が光っているように見えるのだけれど・・・」

 初めて見たユンクはかなり驚いているようだ。シオンは笑って誤魔化した。


「シオン、本当にこんなことまで頼んでしまってごめんなさい」

 ユンクは申し訳なさそうに謝ってきた。


「気にしないでいいんだよ。僕達は友達でしょ?」

「私も友達だよ!」

 シオンの後に続きフィーも言ってきた。


「・・・そうね。私達、友達だもんね」

 ユンクも笑って答えた。


 そんな会話をしている最中にリィナとレィナは白霊に向かって飛び出していた。


「皆!最後までよろしくね!」

 ユンクは傍らに控えている大事な友達の霊獣達にも声を掛けた。


 シオンとユンクの後方では、カイとルシルが魔物の討伐は終息していっているのでこっちにフォローに入れる位置に立っている。


 ユンクの目は今、自信であふれていた。


 ユンクは初めての友人、白霊の最後の願いを叶えるために、今の自分で出来る最大のことをやろうと決めた。


 それにユンクは昔のように一人ではない。


 これは白霊が最初にくれた種が実となり、出来た物だ。その想いを抱えて、今の友人達と一緒に動き出すのであった。

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