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双子王女との恋奏冒険記  作者: 雅國
第三章 深き森に住む者(未開の森編)
64/199

第64話 回復と嫉妬

一部誤字等あったため修正しました。

「・・・ん?」

リシアはまだ薄暗い部屋の中で目を覚ました。


「私・・・どうしたんだっけ?」

リシアは寝ながら何が起きたかを思い出そうとする。


「確か・・・瘴魔を倒して・・・!!」

リシアは思い出して、飛び起き自らの左肩を見た。


「少し黒いけど・・・治ってる?」

リシアは腕を動かしながら確認する。


「服も着替えられてるし・・・あ」

そこで初めてシオンがベッドに寄り掛かるようにして寝ていることに気付いた。


「兄さん・・・」

大好きな人が隣にいてくれている。それだけでリシアは安心感を覚えた。


「きっとレィナさんも治療してくれたんだよね」

リシアは瘴魔の毒を受けたことを考えると、シオンだけでは治せないと考えた。


「兄さん、ありがとう」

リシアはそう言いながらシオンの髪を撫でた。


「ん?りし・・・あ?」

リシアに髪を撫でられてシオンが目を覚ました。


「ごめんなさい。起こしちゃった?」

「リシア!!」

突然シオンがリシアを抱きしめてきた。


「よかった!目を覚まして本当に良かった!!」

シオンは大丈夫とわかっていても、目を覚まさない限り不安だったのだ。


「に、兄さん!苦しいって!」

リシアはシオンに抱きしめられている喜びもあるが、さすがに苦しくなって声を上げた。


「ご、ごめん!嬉しくってつい」

「もう、兄さんったら」

それでも軽く抱擁を続けるシオンにリシアは大事にされているんだと、心の底から思った。


「私ってどれくらい眠っていたの?」

「まだ一晩だよ。フィルジアさんがここまで大急ぎで運んでくれたんだ」

シオンはリシアが倒れた後のことを話す。




「瘴気と毒が相なって危なかったけど、レィナと一緒に何とか治療できたんだよ」

「やっぱりそうだったんだ」

リシアは倒れる寸前に自分のマナが侵食される感じがしたのだ。


「やっぱりってどういうこと?」

「その毒を食らった時、一瞬で気絶しちゃったけど、マナを侵食される感じがしたの」

「マナが侵食・・・」

シオンはその感覚は分からなかったが、侵食という言葉が気になった。


「今は難しいことを考えるのやめようよ。それより兄さん。そんな恰好で寝ていたら身体痛くなるから一緒に寝よう?」

まだ外は薄暗い、もう少し寝ている猶予はあった。


「・・・そうだね、お邪魔させてもらうね」

シオンは少し迷ったが、兄妹だしいいかと思い、リシアのベッドの隣に入る。


「えへへ」

リシアは入ってきたシオンに抱き付いた。


「今日はやけに甘えてくるね」

「いつもはリィナさんとレィナさんがいるから遠慮してるんだよ」

「そうだったんだ」

シオンもリシアが何となく気を使っているのはわかったが、反動でここまで甘えてくるのは予想外だった。


「もう一つ気になっていたことがあるんだけど、聞いていい?」

シオンに抱き付きながらリシアは言ってきた。


「なに?」

シオンもできるなら答えようとリシアの質問を待った。


「私ってどうやって着替えさせられたのかなって」

「っ!!」

シオンは質問を聞いた時にドキっとしてしまった。


「その反応するってことは、兄さんも私を着替えさせてくれたってことかな?」

リシアは顔を赤くしながらより一層強く抱きしめてくる。


「それは・・・その・・・」

シオンは答えられないでいるとリシアは一旦少し離れて、布団の中でもぞもぞと動き出した。


「リシア・・・何やっているの?」

シオンは嫌な予感を抱きつつ聞いてみる。


「こうするためっ!」

リシアは思い切ってまたシオンに抱き付いてくる。しかし、先ほどと抱き付いてくる感触と違っていた。


「・・・もしかしてリシア」

「特別サービスだよ」

リシアは少し布団も捲り、シオンに中を覗かせた。


「っ!」

シオンが思った通りリシアはパンツ以外を全て脱いでいる状態だった。一瞬とはいえ胸の先も見えてしまった。


「恥ずかしいけど、こうした方が兄さんを近くで感じられる気がして」

そう言ってまた抱き付いてくる。だが、それ以上のことはしてこなかった。



そのまま時間が少し経つと、リシアは眠りに就いた。


「はぁ、風邪引かなければいいけど」

裸のまま眠るリシアにシオンはため息をついた。



--------------------------



「シオン君」

「起きてますか?」

リィナとレィナは陽が昇っても起きてこないシオンを見に、リシアの部屋までやってきていた。


「まだ寝てそうか?」

フィルジアが二人に声を掛ける。


「うん、反応はないみたいだから寝ているんじゃないかな?」

「なら起こしてやってくれ。そろそろ朝食も用意できるだろうからな」

「わかりました」

二人は部屋の中に入った。


「やっぱり一緒に寝ているね」

「まぁ、今回だけは見逃しますけど」

二人は一緒のベッドで寝ているシオンとリシアを見て言った。


「本当に仲がいいよね」

「そうですね」

仲良く一緒に寝る姿を見て、リィナとレィナは嫉妬も覚えたが、微笑ましくもあり複雑な気持ちだった。


「シオン君、起きて」

「朝ですよ」

「う、うん?」

先に動いたのはリシアだった。


「リシアちゃん、目を覚ましたの?」

「ん?・・・リィナさん?レィナさん?おはよーございまふ」

「「っ!!」」

リシアは眠そうな顔をしながら、上半身を起こし二人に挨拶をした。


「・・・陽が昇る前に・・一回目を覚ましましたよ」

まだ眠いのか、うとうとしている。


「り、リシアちゃん・・・」

「・・・どういう状況なのですか?」

二人は頬を引き攣らせながらリシアに聞いた。


「どうゆう状況って・・・・・・・あ!」

リシアは裸で寝ていることを思い出した。


「ちが!変なことはしていないっていうかっ!その!」

身体を布団で隠しながら狼狽えていると


「リシア?起きたのか?」

シオンも目を覚ましたようだ。


「「・・・シオン君」」

二人は目が笑っていない笑顔でシオンを見る。


「あ、おはよう。ふたり・・と・・も?」

シオンも二人の様子がおかしいことに気付いた。


「兄さん!ごめん!!」

隣で身体を隠しながらリシアが謝ってきた。裸のリシアが


「二人共!違う!何もやってないから!!」

シオンは慌てて二人に弁明をする。


「何が違うのかな?」

「さぁ?私にはわからないですね」

二人は笑顔のままシオンの方へと近寄って来る。


そして、シオンの目の前に来ると二人は一気にパンツ以外を脱いだ。


「なっ!なんで!!」

目の前に現れた綺麗な胸や身体に視線を奪われたシオンはパニックになっていた。


「私たちも一緒に寝たい!」

「そうです!一晩我慢したんですよ!!」

二人は裸のまま、シオンに抱き付いてきた。


「だからって何で脱ぐの!?」

「リシアちゃんは裸で一緒に寝ているのに!」

「私たちはいつも服を着て寝ているじゃないですか!!」

「「それがずるい(です)!!」

どうやら勢いが付き過ぎた嫉妬のようだった。


「・・・・・・・」

リシアはベッドからそんな騒ぎを無言で見ているのだった。



--------------------------



「「ごめんなさい!!」」

二人は正気を取り戻し、真っ赤になりながら謝ってきた。


「シオン君もできたら忘れて!」

「夢だとでも思ってください!」

二人は堂々とシオンの前で裸になったのが恥ずかしいようだった。


「兄さんも大変だね」

「半分はリシアのせいだからな」

小声で言ってきたリシアにシオンは突っ込んだ。


こうして朝から大騒ぎをしている4人だった。




着替えてから、小屋のリビングに集まって4人で朝食を食べていた。カイやフィルジア、ルシルは先に食べ終わったので、集落の修復作業を手伝いに行っている。

「そういえばフレンさんは目を覚ましたの?」

シオンは食べながら、二人に聞いた。


「フレンさんは今朝目を覚ましたよ」

「ただ、身体を全体的に瘴気に侵されていたから、動くのはまだ辛いみたいです」

「そういえばフィーはどうしたの?」

昨日はリィナとレィナに付いて行ったはずだ。


「フィーちゃんはフレンさんの状態を見てくれているよ」

「フィーちゃんは精神状態もわかるから、傍にいたいって言ってました」

「珍しいね」

フィーはシオンに特に懐いている傾向がある。なのにフレンを気にしているってのが気になった。



--------------------------



「フレン、身体は大丈夫?」

「ああ、これくらいなら何ともないさ」

フレンは体を起こし、朝食を食べていた。


「ユンクには本当に心配かけてしまったな」

「うぅ・・・フレン・・ぐすっ」

ユンクはフレンが起きてから、優しい声を掛けられる度に何度も泣いてしまっていた。


「ねぇ、フレン。もう繋がっている感じはしない?」

「今のところはしないな。フィーは何か気になっているのかい?」

フレンは目を覚ました後に、リィナ、レィナ、フィーとは自己紹介を済ませてある。


「うん、少し気になるところがある感じ」

「わかった。妖精族の君がいうことだ。何か違和感とか感じたらすぐに言うよ」

「うん!」

フィーは元気よく頷いた。


「フレン、ご飯食べ終わったら、おさの家に行くからね」

「わかってるよ」

フレンはユンクに心配されながら、朝食を食べるのであった。

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