第55話 遺跡の門番2
「やりましたね」
そう言いながらユンクはルシルの元へと戻ってきて、白い光を霧散させた。
「あなたのその力があれば一人で大丈夫なんじゃ」
ルシルは思ったことを言った。
「それはできません」
だがユンクは首を横に振る。
「あれだけ強ければ・・・」
「あれは霊獣が強いのであって、私が強いわけではありません」
ルシルの言葉を切り、ユンクは説明を始める。
「あれは降霊と言われる技法で霊獣の力を私に宿すものです。一度でも攻撃を食らえば降霊は解けてしまいますし、一度攻撃を食らって失った降霊で呼んだ霊獣は数日間の間、降霊できなくなります。今私が降霊できる霊獣は全部で5体。さっきので1体失ってしまいましたから」
どうやら霊獣を使った降霊という術は制約のある強化魔法のような感じだった。
「そうなのね。ごめんなさい。あの時守れなくて」
ルシルは最初ユンクに見惚れてゴーレムの攻撃を防ぐ魔法を使えなかったことを悔やんだ。
「いいんです。他の霊獣たちも強いですから。後は私が気を付けるだけです」
ユンクはそう言って笑った。
「フィー、大丈夫?」
シオンはフィーを気にしながら戦闘をしていた。
「うん、なんとか」
フィーもいつもの元気はないが、シオンに捕まっているだけの力はあるようだ。
「それよりフィー。さっき言っていた音って?」
「うん、まだしてるよ」
「それはこのゴーレムから?」
「うーん・・・してはいるけど・・・、これは響いているっていうか」
どうやらフィーはうまく言葉にできないようだ。
「響いてるってことは、他の音がこのゴーレムからも聞こえているって感じ?」
「うん、そんな感じ」
(大元の音が共鳴してこのゴーレムから出ているってことか)
「フィー、その音ってあの大きなゴーレムからか?」
「ううん、あれも響いているって感じ」
(ってことは他に何かいるってことか)
「とりあえず、あれ倒すからしっかり捕まってて」
「うん」
シオンは知りたいことが少し知ることが出来たので、さっさと倒すことにした。
攻撃をかわしている最中に宝石は見つけてある。
フィーを連れているため、遠距離から攻めることにする。
「そこ!」
シオンはマナを圧縮して弾丸のように打ち出し、核がある場所に打ち込んだ。そして、精霊魔法で火と風に変換する。
ドゴン!
少し埋まっていた核だが、爆発の精霊魔法により周辺もろとも核を破壊した。ゴーレムもすぐに崩れ落ちてしまった。
「さすがシオンだね!」
フィーはシオンを褒め称えたのだった。
「オラオラー!!」
カイは他の人より大型を相手にしているのに引けを取るどころか、強化魔法をどんどん上乗せして、威力・速度共に上がっていった。
ゴーレムは最初表面が傷付くぐらいだったが、今ではカイの高すぎる攻撃力に切断されることも出てきた。
しかし、核を破壊しない限り次々再生していく。
「ったく!いい加減にしやがれ!!」
カイは身体強化を重ねていき、ゴーレムの再生速度を上まった速度で切り刻んでいく。
「あれかっ!!」
階は内部から摘出した核となっている宝石を見つける。
カイは再生して核を埋め込もうとする瓦礫をふっ飛ばしながら一気に接近する。
「いい加減に・・・くたばりやがれ!!」
カイは核を思いっきり斬り付けた。
あまりの速度に核の宝石は真っ二つに切断されて効力を失う。ゴーレムも再生をやめて、ただの瓦礫となった。
「弱いっての!」
そう言ってカイが他の人の方を振り返ると、向こうもすべて片付け終わったようだ。
「さすが皆さん!お強いですね!」
ユンクはそう言って皆を褒めた。
「私は何もやることなかったですよ」
リシアは周りを警戒していてくれただけでも感謝物なのだが、本人は戦えなくて不服らしい。
「普通にユンクも強いと思いますよ」
ルシルはユンクの戦いを見ていたので、なんともいえない気持ちだった。
「リシアだって周りを警戒とかしてくれるから戦いに集中できるんだから」
「まぁ、そうなんでしょうけど」
「でも、これで中に入れるようになったね」
リィナが大きなゴーレムがいた後ろを指をさして言った。
そこには大きな入口が口を開けていた。
「そうですね、皆さんのおかげで入ることが出来ます」
ユンクは嬉しそうにそう言った。
「でも注意した方がいいかもしれないよ」
シオンはさっきフィーが言っていたことを皆に説明した。
「音・・・ですか」
「うん!今はしていないけど、昨日の魔物が来た時とか、さっきもその音してたよ!」
ユンクの呟きにフィーは全身を使って説明をしている。
「何かあるってのは確かのようですね」
レィナもそこは同意のようだ。
「しかし、音で操ることなんかできるのか?」
フィルジアはそこに疑問を持った。
「確かに瘴魔みたいに近くにいる魔物を統制しているわけではなさそうだけど・・・」
シオンはそこで言葉が詰まってしまう。
(瘴魔か・・・。音を使った瘴魔なら遠くから音で操れたりするのか?もしくは別の何かが・・・)
「何かあったらぶっ潰せばいいだけだろ!」
シオンが考え込んでいると、カイは豪快な提案をしてきた。
「そうだよね!ゴーレムだって何とかできたし」
リィナの頭も少し残念な方だった。
「音で操る・・・ですか」
ユンクは何か引っかかったような顔をした。
「何かあるのですか?」
シオンがユンクに聞く。
「ううん、何でもないわ」
ユンクは首を横に振り否定した。
「気を付けながら中に入るしかなさそうですね」
ルシルはそう結論付ける。
「まぁ、何かあるという心構えができただけ良しとしよう」
フィルジアはそう言って歩き出す。ルシルとカイもそれに続く。
「フィー、また音が聞こえたり、何かに気付いたら教えてね」
「うん!」
シオン達もフィルジア達に続いて入っていくのだった。
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「あれ、ベッフェル様はいないのですか?」
「あいつはどっかへ飛んで行ったぞ」
ベッフェルの実験施設でアミラとギリアムが話していた。
「どっかってどこよ」
「そんなもん私が知るか!」
二人は反りが合わない様で、すぐに口論に発達してしまうのだ。
「ふん!あらかたどっかに実験とか何かをやりに行ったのだろう」
「私も付いて行きたかったのに・・・」
アミラは少し残念そうだ。
「あの子はちゃんと見つけているでしょうか」
ベッフェルは実験施設から南下して未開の森の上空近くまで来ていた。
「いい感じに魔物も増えていますね」
森の中から魔物特有の気配をベッフェルが感じていた。
「ん?この気配は・・・」
ベッフェルは何かに気が付いた。
「またあの子達ですかねぇ・・・。あの子だけでは少し分が悪いでしょうか・・・」
ベッフェルが少し考え込んだ。
「様子見と行きましょうか」
そのままベッフェルは大きな遺跡がある方へと姿を消した。




