第54話 遺跡の門番
シオン達はユンクの案内で神殿の遺跡の入口に到着した。
「ここが入口です」
ユンクは足を止め、壁の前に立った。
「ここが入口なの?何もないようだけど」
リィナが辺りを見渡して聞いた。
シオン達の目の前には確かに遺跡はある。大半が草や蔓に覆われ大きさがわかりづらいが、かなり大きい。
だが、扉のような入口は無く、穴らしきものも開いていない。
「ええ、本来ならあるはずの入口なのですがっ!」
ゴゴゴゴゴゴ!!!
ユンクが何か話している時に壁や周りの柱が動き出した。
「なに・・・この音・・・頭が」
「フィー、大丈夫?」
フィーは頭が痛そうにしていた。
「門番ってところか」
カイは武器を構えつつ言った。
「そうです。魔物が多くなり始めたころからここに居座るようになりました。中に誰も入れないようするように」
そう話している内に壁や柱だった石が大きな人の形をし始めた。数は10mほどが1体とその半分ぐらいのが4体だ。
構成された場所も悪かった。シオン達の目の前に大きい方が、後ろを囲むように小さい方が形成されたのだ。
「これってゴーレム?」
ゴーレムは遺跡とかで良く見る魔道兵器の一種だ。
「ユンク!こいつらぶっ壊していいのか?」
カイはユンクに聞く。
「はい、建物の方に被害が出ないように注意してもらえれば」
要は建物を破壊しなければこのゴーレムを倒していいということだ。
「オレがあのデカ物をやるからお前らは他をやれ!」
カイは勝手に指示を出し始めた。
「カイさんが戦うのなら他のゴーレムをカイさんに近づけない様にしないとだね」
シオンは状況を分析して言う。
「悪いな、シオン。あいつがバカで」
「誰がバカだ!」
「あなたでしょう?」
フィルジアとルシルがカイの代わりに謝ってきた。
「僕は1人で1体引き受けるよ」
シオンはそう提案する。
「それなら俺も1体引き受けよう」
フィルジアもそう提案した。
「私たちは」
「二人で1体引き受けます」
リィナとレィナはそう言って1体のゴーレムと向き合う。
「じゃあ、残り物は私達で」
「ルシルさん、よろしくお願いします」
ルシルとユンクは最後の1体を引き受けることになった。
「では、私は危ないところの援護を」
あまりに一体に集中してしまうと危ないので、リシアは広く見て危なくなったら援護する位置に立つ。
フィルジアは弓を構えてゴーレムの足の関節を狙って射る。
だが、石で出来たゴーレムに矢は弾かれてしまう。
「普通の矢では無理か」
フィルジアは突進しようとしているゴーレムに対し弓を持ったまま近付いた。
ゴーレムは腕をフィルジアに向かって振り下ろすが地面を叩きつけるだけに終わる。
寸前のところでフィルジアは跳躍して避けていた。
そのままゴーレムの目となる部分に宝石のようなものを見つけ、そこを空中で矢を射る。
ゴゥアーー!
矢は弾かれてしまったが、ゴーレムは少し苦しそうな声を出した。
「あそこが弱点か」
着地したフィルジアはそれに気付いた。
ゴーレムは着地したフィルジアに向かって再び拳を振り下ろす。
「芸がないな」
そう言ってフィルジアは大きく後退して、矢に風を纏わせ始めた。
「くらえ」
フィルジアは先ほどの目の宝石を狙って風を纏った超高速の矢を射った。
矢は吸い込まれる様にゴーレムの目の宝石に突き刺さり破壊した。
するとゴーレムは元の瓦礫に戻るのであった。
リィナはゴーレムの足元で短剣で斬り付ける。
「やっぱり石だから堅いや」
リィナは薄くしか傷を付けることしか出来ず一旦下がる。
それを追撃しようとゴーレムは腕を振り下ろそうとするが
「させません」
レィナによる援護射撃の氷の矢が腕を弾き飛ばす。
「さすが!」
リィナはレィナを褒めつつ、短剣に炎を密集させた。
森の中だと火属性は危なくて使えなかったが、ここなら森が開けているため火属性の魔法は使える。
「やぁ!」
周りに広がらないように注意をしつつ、短剣をゴーレムに向かって離れた場所から切り上げる。
短剣から炎の斬撃が飛び出し、ゴーレムの胴体から頭に掛けて炎の斬撃を与えた。
しかし、表面を黒く焦がすだけに終わってしまう。
「やっぱただの石だから攻撃が通りづらい」
「そうですね。さっきの腕も少しは欠けましたが、すぐに元通りになってしまいます」
そう話している時、フィルジアのゴーレムが目の宝石に矢を当てて怯んだところをレィナが目撃する。
「なるほど・・・核ですか」
レィナはそう言って、目の前でこちらに殴りかかろうとしているゴーレムに注視する。
ゴーレムの拳を二人は避けて、ゴーレムを挟むような立ち位置をとる。
「リィナ!ゴーレムのどこかに核のようなものがあるはずです!」
「じゃあ、それを破壊すれば!」
「恐らくは!」
二人は叫びながらゴーレムの攻撃を避け続ける。
隙をみてレィナはフィルジアのゴーレムと同じ目の位置までゴーレムの体を踏み台にしながら跳躍した。
「っ!」
レィナはフィルジアの戦っていたゴーレムと同じ目に核があると思ったがそこにはなかった。
ゴーレムは目の前に来たレィナに向かって腕で振り払おうとする。
「レィナ!」
リィナは風の砲弾をレィナに向かって放った。
レィナはその砲弾を受けて少し衝撃が走ったが、ゴーレムの頭より高い位置に飛ばされていた。
レィナは衝撃による苦痛に耐えながらゴーレムを見下ろすと、ゴーレムの首の後ろに宝石のようなものがくっ付いているのが見えた。
「そこ!!」
レィナは杖の先端に氷の槍をゴーレムに届くぐらい大きなものを造形して、宝石目掛けて振り下ろした。
ガキン!!・・・・パリン
宝石は大きな音を立ててひびが入り、砕け散った。
レィナは音を立てて崩れるゴーレムの脇に風の精霊魔法で落下速度を軽減して着地した。
「ふぅ」
「レィナ!やったね!」
「リィナもありがとうございます」
二人はお互いに無事を確認し喜び合った。
「ユンク、あなた自身は戦えるのですか?」
ルシルはユンク自身が戦っている所を見たことが無い。
「ええ、舞巫女ですから」
ルシルはその意味は分からなかったが、ユンク自身も戦えるのはわかった。
話している間にゴーレムは近くまで突進をしてきている。
「ルシルさんは詠唱を!」
ユンクは突進するゴーレムに向かい走り出した。
「え!?」
ルシルは一旦避けるものだと考えていたので、驚いていた。
「来て」
ユンクはそう呟くと、ユンクの体が赤色に光りだした。
「はっ!」
そのままユンクはゴーレムの顔面に飛び、拳で殴りつけた。
ゴーレムは突進していた勢いもあったのに後ろへ仰け反る。
「まだいきますよ!」
ユンクはその後、舞い踊るように拳や蹴りを入れていく。だが
ブオォン!
踊りを邪魔するかのようにゴーレムの腕に弾き飛ばされてしまう。
ユンクは飛ばされながらも体勢を整え着地する。
「やられてしまいましたか」
ユンクを纏って赤い光は消えてしまった。
「すごい・・・って、魔法魔法」
ルシルはユンクに見惚れていたが戦いの最中だと思いだし、詠唱を始める。
ゴーレムはユンクに近づいて追撃をしようとしていたが
ドンドンドン!!!
3回連続で炎球がゴーレムの胴体や足に当たった。
ユンクはその隙にまた集中し始める。
「来て」
またユンクは同じ様に呟く。すると今度は白い光を纏いだした。
ユンクは空を駆けるように飛びゴーレムにすれ違いざまに腕を振り払うような行動をする。
ゴーレムには触れていないのに、ユンクを纏う白い光が伸びてゴーレムを傷を付けた。
「なんですか?・・・あれ」
ルシルが見ている中、ユンクはゴーレムの周りを飛び続けて攻撃をしていた。
「っ!見つけた!」
ユンクはゴーレムの心臓辺りの石を削った間から宝石を見つけた。
ユンクは一旦下がりルシルの方へ向かった。
「ルシルさん!あのゴーレムの心臓部辺りをふっ飛ばしていただけませんか!?」
「わ、わかりました」
ルシルはユンクが飛んできたので少し反応が遅れてしまった。
「私は引き続き牽制しておきますので」
そう言って白い光を纏ったままユンクはゴーレムの元へ戻っていった。
「どうなっているのかしら・・・・っは!魔法魔法」
ルシルは近くに来たユンクをみても分からなかった。
「ユンク!」
ルシルの声を聞き、ユンクはゴーレムから離れた。
「クリムゾンランス!!」
ルシルの発動した魔法はゴーレムの心臓部に刺さり、核としている宝石は砕け散り、ゴーレムは崩れるのであった。




