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双子王女との恋奏冒険記  作者: 雅國
第三章 深き森に住む者(未開の森編)
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第53話 兄妹で鍛錬

 翌朝、まだ太陽も昇っていない薄暗い時間。


 シオンはリィナとレィナの|捕縛(抱き付き)から抜け出し、朝の鍛練を集落の外の広場で行っていた。


(大分マナは回復したけど、あれはまだ使えないか)


 シオンは無理をしないとリィナとレィナに約束したが、いざという時には使う覚悟でいた。


 鍛練をしていると、誰かが近付いて来る気配がした。シオンがそちらを向くと


「気配隠して来たのに、やっぱり気付かれちゃうか」

 そこには旅装束を着たリシアがいた。


「さすが兄さんだね」

 そう言って微笑んだ。


「おはよう、リシア」

「うん、おはよう。ねぇ、私と模擬戦してくれない?木剣とか持ってきたからさ」

 そう言ってリシアはシオンに木剣を渡し、自分は木短剣を手に持った。


「急にどうしたの?」

 リシアとは里にいるときに一緒に鍛練はしたが、模擬戦はしたことがなかったのだ。


「今の私は兄さんにどれくらい近付けたか知りたいの」

 リシアは真剣な目でシオンの目を見てきた。

 その瞳は本気の目だった。


「わかった。やろうか」

「ありがと、兄さん」

 そう言って二人は少し距離を置いた。



「リシア!いつでもいいよ」

 シオンは最初は様子見のつもりで構えた。


「兄さん!甘く見ていると私、勝っちゃうからね」

 リシアはそう言うと身体強化をして、急接近していた。


 リシアは右手に逆手で構えた木短剣をシオンの胴体目掛けて横薙ぎする。


「っ!」

 シオンはリシアの速度に驚きつつ、見切ってギリギリで避ける。


 リシアは木短剣を振るった勢いを利用し、回し蹴りを放つ。


 シオンは避ける隙がなく、腕で防御する。しかし、勢いの割には威力が低いと感じ、顔を上げる。そこにはリシアのスカートの中身が広がっていた。


 リシアは回し蹴りが当たった瞬間に上に跳んだのだ。軸足だった方を高く振り上げて、そのままシオンの上から振り下ろす。踵落としだ。


 シオンは少女が出すとは思えない威力の蹴りを身体強化をして何とか耐える。


 そして、力を込めてリシアの足を弾き飛ばす。リシアは弾き飛ばす力を利用し、後方へ宙返りをしながら離れる。


 シオンは着地した時を狙おうとするが、宙返りをしているリシアの両腕から水球がシオン目掛けて飛んできた。


「くっ!」

 シオンは水球を木剣で迎撃する。その間にリシアは着地して、シオン目掛けて斬りかかる。


 シオンが気付いたときにはリシアは目の前にいた。咄嗟に風の精霊魔法で風を体に纏い、急加速してリシアの攻撃を避ける。


 リシアはシオン程ではないが、同じ様に風を纏いシオンに追撃をする。


 シオンはそれを読んでいた。


 リシアが斬りかかってきた攻撃をギリギリで避け、リシアの腕を絡め取り、勢いを利用して片手でリシアを地面に叩き付けた。もちろん怪我をしないように加減はしてある。


「リシア、少し攻撃に集中し過ぎてるよ。もう少し考えて動いた方がいいかもね」

 シオンはリシアが攻撃に偏り過ぎと感じたのだ。


「うぅ~」

 リシアは顔を赤くして少し反省しているように見えた。


「兄さん・・・いつまで胸触っているの?」

 その言葉でシオンは叩きつけた方の自分の腕をの先を見る。


 決して大きい訳ではないが、鷲掴みするような形でリシアの胸を思いっきり掴んでいた。


「あ!ごめん!」

 シオンはすぐに手を離した。リシアが赤くなっていたのはシオンに胸を掴まれていたからだった。


「もう、兄さんったら」

 リシアは怒るわけでもなく、顔を赤いままだが笑って許してくれた。


「それと、リシア。一つ気になったことがあるんだけど」

「なんです?」

「下着・・・というかパンツ穿き忘れていたりしてない?」

 シオンは少し言いづらそうに聞いた。


「そんなわけないじゃないで・・す・・・・か・・・・・」

 リシアはスカートの上からお尻を触り確認していると固まってしまった。


「え?うそ!?え?え?」

 リシアはシオンが見えない位置でスカートの中に手を入れて確かめる。その際、お尻が少し見えていたが気が付かない振りをした。


「・・・・・・」


 リシアは顔を赤くしたまま固まって動かなくなった。

 シオンは嫌な予感をしてどうしようかと考える。


「・・・気付いたということは見たのですよね?兄さん?」

 リシアはシオンに問いだした。


「えっと・・・踵落としの時に・・・ちょっと・・・ね?」

 シオンはなぜか疑問形になりながら答える。


「~~~~っ!!!」

 リシアは最初の連撃のことを思い出した。シオンの目の前で回し蹴りを放った後、スカートの中を見られても気にしないで思いっきり踵落としをしたことを。


 リシアは顔を真っ赤にして俯きプルプルと震えだした。


「リ、リシア?」

 シオンは震えだしたリシアが心配になり声を掛けた。


「兄さんの・・・エッチーーー!!」

 リシアは叫びながら思いっきり木短剣で叩こうとして来た。


「ちょっと!危ないって!!」

 シオンはなだめようとするがリシアは聞く耳を持たなかった。


「ばか!ばかぁ!!」

「お!落ち着いてって!!」

 リシアはシオンを叩こうとする。シオンはそれから逃れようと走り出す。

 こうして太陽が昇り始めた時間から兄妹の追いかけっこが始まるのだった。



--------------------------



「何やってんだ?あいつら」

「まぁ、仲が良さそうでいいのではないか?」

 別の場所で鍛錬していたカイとフィルジアが遠くから二人の様子を見ていた。



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「二人とも、大丈夫?」

 朝食を皆で取るためおさの家を借り、食べ始めようとする時に机にうつ伏せで倒れている二人にユンクが声を掛けた。


「だいじょうぶ・・・です」 

「そうです・・・ちょっと疲れただけです・・・から」

 シオンとリシアはそう答えた。因みにリシアはここに集まる前に下着を穿いてきている。


「ならいいけど」

 ユンクは少し心配しつつ朝食を食べ始めた。


「朝からあれだけ走っていればそうなるわな」

「自業自得だ」

 原因を知っているカイとフィルジアはそれが当然と言う顔をして食べ始めていた。


「「・・・・・・・」」

 リィナとレィナはシオンとリシアの間に何かあったのではと訝し気な目で、二人を見ていた。



--------------------------



 朝食を食べ終わり、皆は神殿の遺跡に向かう準備を済ませ集落の入り口に集合していた。


「ユンク、道案内は頼むぞ」

「はい、任せてください」

 長のラングに見送られてシオン達はユンクの案内で遺跡に向かうのだった。

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