第52話 戦闘後の再会
シオン達の目の前でカイ達が魔物を殲滅していった。
シオンはその中に義妹のリシアがいることが信じられずにいた。
「・・・・・・・音が消えた?」
そんな状況の中、フィーはさっきから鳴っていた音が消えたことが気になっていた。
「あらかた片付いたろ」
カイが最後と思われる魔物を切り捨てる。
「ああ、大丈夫だと思うぞ」
フィルジアは周りを見渡しながら言った。
「お、シオン達じゃないか」
「え!」
フィルジアがシオン達に気が付いた。
フィルジアの声にリシアが反応する。
「兄さん!」
リシアはシオンを見つけると身体強化まで使って、猛スピードで突っ込んで来た。
「え!ちょっ!リシア!?」
シオンは避けるわけにもいかないので、リシアのタックルを受け止め、リシアを抱き止めながら後ろに倒れた。
「なにやってんだ?あれ」
カイがシオンの方に歩きながら言った。
「リシアはシオンを前にするといつも大体あんな感じだ」
フィルジアは昔を思い出しながら答える。
「いてて・・・リシア、抱きつくならもう少し力抑えて」
「あ!ごめんなさい」
リシアはシオンから離れ、起き上がった。
「でもどうしてリシアがここに?」
シオンは起き上がりながら聞く。
因みにこの時のリィナとレィナは黙ってはいたが、顔は明らかに嫉妬して怒っている顔だった。
「えっとですね、話すといろいろあるんですが」
そう言ってリシアは旅に出ることにした経緯を説明する。
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「『月の雫』ですか」
一緒に話を聞いていたレィナが、月のマナに変化させる指輪と聞き、興味を示した。
「でも、これは魔人みたいに強い瘴気を持っている相手では気休め程度らしいです。精々瘴魔を倒せるぐらいですね」
リシアはそう説明する。
「こっちはそのおかげで助かったけどな」
カイが話を付け足した。
「何かあったんですか?」
シオンが気になって聞いてみた。
「ここまで来る途中に瘴魔と何回か会ってな。オレらが何とか隙を作って、リシアが止めを刺すって戦い方してたからよ」
「よく無事でしたね。リシアも大丈夫だった?」
「うん。三人共みんなすごく強くて逆に私が足引っ張らないか心配なくらいでした」
リシアは笑いながらそう言った。
「でもリシアちゃんがいなかったら瘴魔は倒せなかったのだから誇っていいわよ?」
「そう言ってもらえると助かります」
ルシルも話に加わった。
「シオン、安心しろ。リシアを危険な目に遭わせたりはしていないからな」
フィルジアがそう言うのならそうなのだろう。
「あなたが姫ちゃん?」
リシアがフィーに対して話しかけてきた。
「「「姫ちゃん?」」」
シオンとリィナとレィナが首を傾げる。
「うん、私にこの『月の雫』をくれた妖精のお爺さん、確かダリアさんだったかな?その人が兄さんと一緒にいる姫様って話を聞いててね。妖精ってこの子しかいないからその姫様だと思ったんだけど」
「フィーちゃんってお姫様なの?」
リィナがフィーに聞く。
「ん~・・・そう呼ばれてもいたけどフィーはフィーだよ」
どうやら話は本当のようだ。
「フィーちゃんもお姫様だったんですね」
レィナは自分達も王女ということもあり親近感が湧いた。
「妖精ってそこにいるのか?」
「何も見えませんが」
カイとルシルはフィーの姿が視えない様だった。
「フィーちゃん、姿現して挨拶したら?」
「うん!」
リィナに言われてフィーは実体化した。
「初めまして!フィーです!」
「おう!よろしくな!思ってたより結構小っちゃいんだな」
「・・・可愛いです」
カイは挨拶をしたが、ルシルはぼーっとフィーの可愛さに見惚れていた。
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暫くの間、その場で皆と話していると
「あなた達は知り合いだったの?」
ユンクがいつの間にか近くに来ていた。
「はい、王都で一緒に戦ったことがあるんです」
「そうだったのですね」
ユンクが手をぽんっと叩き微笑んだ。
「皆さん、時間があれば長の家まで集まってもらってもいいですか?少しお話ししたいことがありまして」
ユンクはそう切り出すのだった。
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「長、皆さんほどの実力があれば問題ないかと思いますが」
「しかしな・・・」
長であるラングは少し渋い顔をしていた。
「よその者達にそこまで協力させるわけには・・・」
どうやら何か事情があるようだ。
「しかし、このままではジリ貧です。今回の襲撃も集落の者達だけでは防ぎきれませんでした。それに早くしないと」
ユンクは何かに焦っている顔だった。
「・・・わかった。皆さえ良ければ手をお借りしたい」
ラングはユンクに押されて許可を下した。
シオン達もカイ達も人助けなら手を貸すことに迷いは無かったので頷く。
「カイといったか。そなたらは太陽の神殿の遺跡に用があると聞いたが」
ラングは話す時にカイ達の目的を聞いてきた。
「そうだ。そこにある太陽のマナ関連の古代具に用がある」
カイは隠すことなく正直に要件を言う。
「確かに太陽の神殿の遺跡は儂らの神聖な場所の一つじゃ。そのような物があるかは分らんがいくつか古い道具はある。しかし今はその神殿には近づけぬ。それがそなたらを案内せんかった理由じゃ」
ラングは一旦言葉を切った。
「その神殿の遺跡に一月前ほど前から、どうやっても討伐ができぬ魔物が居座るようになったのじゃ」
「それって・・・」
シオンはすぐにその正体に気付いた。
「儂もクラークの手紙を読むまではその魔物の正体に気付かんかった。奴がこの遺跡に住むようになってから集団で魔物が集落を襲うようになった。数もどんどん数を増しておる」
悔しそうにラングが顔を俯かせた。
「リィナ殿、レィナ殿、どうかお二人の力を貸してほしい」
ラングは腰を曲げて頼み込んできた。
「私からもお願いします」
ユンクも腰を曲げて頼み込んできた。
「もちろん他の者達の力も貸してほしい。これ以上は集落からの戦力の増強は難しいのじゃ」
そういって皆を見渡した。
「そんなこと言われるまでもないぜ!」
「もちろん力をお貸しします」
カイとシオンは代表として答える。周りの皆も頷いている。
「恩に着る」
「ありがとうございます」
二人はまた深くお辞儀をした。
「今日はもう日が暮れる。カイ殿たちは今貸している空き家で休んでおくれ。シオン達は・・・孫の家に泊まるのはどうじゃ?集落には空き家は一つしかないのでな」
「私は構わないわよ。あの人の部屋も空いているし」
シオンはユンクの言うあの人という言葉が気になったが、あえて聞かずに返事をする。
「それではユンク、お願いしてもいい?」
「ええ」
シオン達はユンクの家に泊まることになった。
「兄さん、また明日ね」
「またな」
途中でカイ達と別れ、シオン達はユンクに付いて行く。
「こっちよ」
たどり着いたのは一人で住むには少し大きな家だった。ユンクに続いてシオン達は家の中に入る。
「シオンはこっちの部屋使っていいわ。リィナとレィナは私の部屋でいい?」
やはり普通に男女で部屋を分けてくる。まぁ、当然といえば当然だが。
「私たちはシオン君と同じ部屋でもいいけど」
「いつも一緒に寝ていますし」
「えぇ!そうなの!!」
二人でそう言うと、別の意味で捉えたのか、ユンクは顔を真っ赤にして驚いた。
「ユンク、文字通り一緒に寝ているだけだからね」
シオンは念のため補足する。
「え、ええ。わかっているわ」
ユンクは顔を赤くしたままシオンの言葉に同意した。
「じゃあ、こっちの部屋に布団敷く?」
「そうだね。いつも通りシオン君と一緒の方が落ち着くし」
「私もできればシオン君と一緒の方がいいです」
「そ・・・そう」
二人の迷いのない言葉にユンクは少し引き気味だ。
「それより夕飯は食べない?私が作るわよ」
ユンクは話を変えようと夕飯の話に持っていく。
「それなら材料はこれを使ってください」
シオンはアルマポールトの市場で買った新鮮な海の魚と新鮮な野菜を異空間袋から出した。
「あ!海の魚じゃない!ここではあまり食べれないから嬉しいわ!私もこの森で取れる木の実とかも使って調理しちゃうわね!」
そういって台所に材料を持って、いそいそと入っていった。
「何か私達した?」
「いつも通りだとは思うのですが」
二人は確かに平常運転だったが、他の人達からすればシオンと関連することに対しては、ずれている。
「そう言えばフィー、魔物が出る前に何か言っていなかった?」
シオンはフィーの言葉が気になり聞いてみた。
「う、うん。何か音みたいなのが聞こえて、頭がわー!ってなる感じの音で・・・」
フィーは何かを伝えようとするが上手く言葉にできないでいた。
「フィー、もしその音がまた聞こえたら、どんな時でも教えてほしい。眠っている時でも構わないから」
シオンはその音に何かあると見て、フィーにお願いする。
「う、うん!わかった!聞こえたら絶対に伝える!」
フィーは気合を入れて頷いた。
その後、夕飯が出来て皆で机まで運び食べた。
森と海の食材を使った料理はとてもおいしく、シオンはレシピを後で教えてもらおうと決意するのだった。
「二人とも本当にシオンと寝るの?」
寝間着姿になったリィナとレィナにユンクは聞いた。
「うん」
「いつものことですし」
「でも・・・」
二人の寝間着はいつものワンピースの恰好だが、少し成長したのか際どかった裾の部分がさらに際どくなっており、少しでも屈んだりすれば下着が見えてしまいそうなほどだった。
「まぁ、寝るだけだから」
シオンはそこには気が付かないようにしてユンクに安心するように言う。
「下着を見られるっていっても少しだけだし」
「裸を見られるよりは恥ずかしくないですから」
「は!はだか!!」
リィナとレィナの言葉にユンクは再び顔を赤くした。
「し、シオン君は二人の裸見たことあるの!?」
「えっと・・・」
話がずれてきているような気がするが、そこに突っ込めなかった。
「見られたと言えば見られたよね」
「そうですね。事故でしたが」
「そ、そうなんだ」
ユンクは倒れそうなほど顔を真っ赤にしている。しかし、その瞳は少し悲しそうにも一瞬だけ見えた。
「じゃあ、ユンク。おやすみ」
「え、ええ。おやすみ」
「「おやすみなさい」」
こうして部屋を分かれて、眠りに就くのだった。
「はぁ・・・。いいなぁ。リィナもレィナも大事な人が傍にいて・・・」
ユンクは布団の中で独り言を漏らす。
「生きているよね?・・・会いたいよ・・・フレン」
ユンクはその日は涙を流しながら眠りに就いた。




