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双子王女との恋奏冒険記  作者: 雅國
第二章 港に蠢く影(アルマポールト編)
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第42話 月の雫

 精霊の森の中にある精霊の里、そこより深くの森には複数の小川が流れている。


 その源泉は森の奥にある小山の中腹から溢れでていた。


 その小山から流れた川は一部滝になり各小川へと流れる。


 そんな滝の一つ、そこは人が歩み寄る場所ではなく、どこかしら神聖な空気が流れていた。


 滝は小規模だが音を立てて、下にいる金色の髪をした少女に当たり、そのまま川へと流れていく。


 少女は小ぶりな胸や引き締まったお腹に小ぶりなお尻とすべてをさらけ出していた。


 少女は一糸纏わぬ姿で水の上に静かに佇み瞑想していた。


 暫くそのままでいると、水滴のような水の粒が下に落ちずに少女の周りを漂い始めた。


 その姿は清き水の精霊といってもいいぐらい、綺麗な姿だった。


 また少し経つと水滴は本来ある場所に落ちていった。


 少女は水の上を歩き、服やタオルがある場所に歩いて行った。


「ふぅ」

 身体を拭きながら少女、リシアは息を吐いた。


「だいぶ良くなってきたかな」

 自分の中に流れるマナに集中すると、以前よりマナが多くあるのがわかる。


「これなら兄さんにも少しは届くかな」

 シオンの義妹のリシアは兄のことが好きで隣に立ちたいと今もまだ願っていた。


「ん?」

 リシアは体を拭き終わり、下着を取ろうとした時にシオンの剣の傍に何かいるのに気付いた。


「お嬢さん、その・・・なんだ・・・覗いていたわけではなくての・・」

 それはリシアも滅多に会うことが無い妖精族だった。それも老妖精だ。


「えーと・・・何か用でしょうか?」

 リシアは妖精族に裸を見られても動揺はせずに着替えを再開しながら聞いた。


「・・・この剣はお主のかの?」

 老妖精はシオンの剣を指さし聞いてきた。


「今は私のとしてますが、以前は兄の剣です」

「兄とな?」

「はい、名前はシオンっていうのですけど」

「・・・やはりそうか」

 老妖精はそう呟いた。


「もしかして兄さんを知っているのですか!?」

 リシアはまさかこの老妖精がシオンを知っているとは思わなかった。


「まぁ・・・の。シオンという少年と同じマナを感じてここに来てみたのじゃが」

 この老妖精はシオンの剣に宿るシオンのマナに反応して来たようだった。


「それで!兄さんはどこに!?」

「それより、早く服を最後まで着たらどうじゃ?風を引くぞい」

「・・・そうですね」

 リシアは少し頬を赤く染め、まだ下着しか身に着けていないのを思い出し、そそくさと着替えるのであった。



「シオンとは少し話しただけじゃが、儂らの姫となにやら良くないものを調べていたようじゃが」

「良くないもの?姫?」

 リシアは時より謎の単語に首を傾げた。


「姫とは我らが妖精族の姫のことじゃ、お主は知っているか知らんが、この山と森に我らの仲間が一部住んでおるのじゃが・・・」

「確かに何回か妖精族とはあったことはありますけど」


「姫様はシオンのことが気に入っておったように見えての、そのままにしてきたのじゃ」

「な、なるほど」

 リシアは姫の扱いが軽いなと思った。


「で、儂がシオンと会ったのはアルマポールトの港じゃ」

「ってことは兄さんは別の大陸に?」

 リシアは港で会ったのなら、他の大陸にいったのではと考えた。

「いや、なにか良くないものを調べていたようじゃ」

「その良くないものってなんですか?」

「そなたらの言葉じゃと・・・瘴気じゃったかな?」

「瘴気・・・」

 リシアはその言葉を聞き、シオンの剣を見た。


「その剣にシオンのマナがあるってことは、その瘴気の対策と考えていいのかの?」

「はい・・・兄さんが旅立つ時にこの剣をマナを込めて、それを私が受け取りました」

「なるほどの」

 暫く無言が続いた。


「そのマナを使ったらどうなるのじゃ?」

「恐らくただの精霊石が嵌まった剣になり、瘴気に立ち向かえなくなるかと」

 リシアはシオンの言葉を思い出し答えた。


「・・・じゃからその精霊石のマナじゃが、ほとんど減っておらぬのじゃな?」

「・・・はい」

 リシアはシオンから受け取った剣で素振りはするが、マナを通して精霊術を使っていない。

 いつ来るか分からない瘴気の魔物、瘴魔に立ち向かえなくなるのが怖いのだ。


 すると話している二人の目の前に聞かりの粒子が収束し始めた。


「やっぱり貴方だったのね。ダリア」

「アレティア様か、久しいの」

 目の前に現れたのは大樹の大精霊アレティアだった。


「え?アレティア様?」

「久しぶりね、リシア」

 アレティアはにっこりとリシアに微笑んだ。


「それよりダリア。貴方、さっき変なこと考えてなかった?私の感がそう言っていたのだけれど」

 アレティアは老妖精ダリアに問い詰める。


「この娘のシオンを想う力を見たらあれを預けてもいいと思ったのじゃ」

「あれって?」

 リシアはダリアが何を言っているのか判らなかった。


「まさかあの指輪?」

 アレティアは何か心当たりがあるようだ。


「ふむ。ちょっとここで待っていて貰ってもよいか?」

「は、はい」

「では、取ってくるとしよう」

 ダリアは滝の上の方に飛んでいった。


「アレティア様、指輪って?」

 リシアは取ってきてくれる間に何か知っていそうなアレティアに聞くことにした。


「この地の妖精族に伝わる指輪『月の雫』、邪を振り払う力があると伝えられているけど、私も見たことがないからそれ以上のことはわからないわ」


「邪を振り払うって前に兄さんが持ってきた聖石のような物ですか?」

「恐らくはね」


 そんな話をしているとダリアが帰って来た。

「待たせたの」

 そして、ダリアの大きさの半分より少し小さい指輪をリシアに差し出した。


「これは月の雫と呼ばれる指輪じゃ、この指輪を通したマナを月のマナに変化させる。瘴気の魔物程度なら攻撃が通るようになるはずじゃ」

 説明しながらリシアに渡す。


 リシアは持った瞬間、不思議な感覚を覚えた。


「じゃが、それは誰でも使える物ではない。まずは精霊魔法を使えんと意味がない。後、それは付ける者の心で効力が変わる」

「心・・・ですか?」


「そうじゃ。儂ら妖精族は人の気持ちや心を感じ取ることができる。お主の兄を想う気持ち、その気持ちは月の雫を取り付けるに十分だと判断した。後は指輪に意志があるとも言われておる」

「意志・・・ですか」

 リシアは少し緊張しながら、月の雫を左手の中指にはめてみる。

 付けた時は少しブカブカだったが、指輪は小さくなりリシアの指にぴったりのサイズになった。


「月の雫もお主を認めたようじゃな」

 リシアの指のサイズにあったのがその印らしい。


「リシアはどうするの?」

「・・・どうするとは?」

 リシアはアレティアの質問の意図が判らなかった。


「あなた、シオンを追いかけたいって顔に書いてあるわよ?」

「え?」

 いきなり図星を言われたリシアは驚いた。


「族長や母親にでも聞いてみたら?」

 アレティアの言葉にリシアの気持ちは揺れるのであった。



--------------------------



 クラークにわかり次第連絡すると言われてから1週間ほどが経過したある日の朝のことだった。


「今日はどうしましょうか?」

 レィナが声を掛けてくる。

「調べるのはもう限界があるから、クラークさん待ちになるのかな?」

「それなら、また市場とかに遊びにいこうよ!」

「私も行きたいです!」

 他の人の目に見えないのでシオン達三人の周りを飛び回るフィー。

 するとそこへ


「シオン殿はいらっしゃいますか?」

 シオン達は宿屋から出るために移動していたら、宿屋の入り口の方からそんな声が響いた。


「僕がシオンですが」

 シオンは訪問してきた男に名乗り出た。


「おお!シオン殿!」

 その男はギルドで酒を飲んでいた冒険者の一人だった。


「今すぐに貿易の会頭のギリアムの自宅に来て貰いたい」

「え?ギルドではなくギリアムの自宅ですか?」

「はい、先日にシオン殿が見つけた密輸現場を押さえましてな。その場にギリアムもいたのだ」

 どうやらギリアムが密輸現場に直接来ていたようだ。


「なるほど、わかりました。すぐに支度してきます」

「お願いします」

 シオン達は部屋に行き、武器とかを出して戻った。

 他の人の目の前で異空間袋より長い得物を出すわけにはいかないから、部屋に戻った次第だ。



「お待たせしました」

「では、案内する」

 シオン達はギリアム邸へ向かうのだった。

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