第41話 もう一つの動き
シオン達は海で水上歩行もとい水上滑走で陽が落ちる前まで、競争や鬼ごっこ等で遊んでいた。
遊んでいる内に結構複雑な動きも出来るようになっていた。
そして、水着からいつもの服に着替えて、夕食を市場で食べてから冒険者の拠点へ向かった。
「「「こんばんは」」」
三人で挨拶をしたながら冒険者の拠点に入った。
「おう、シオン達か。また報告かい?」
ギルドの職員であるおじさんが声を掛けてきた。
「はい、クラークさんはいますか?」
「確か奥でなんかいろいろやってたぜ」
おじさんは受付カウンターの奥を指した。
「呼んで頂いても?」
「おう、ちょっと待ってな」
おじさんは奥に入って行った。
「何か進展でもあったのでしょうか?」
「それとも何か問題が起きたとか?」
「例え何かあったら手伝う形でいこう。こっちの報告するために来たようなものだしね」
話しながらおじさんが戻ってくるのを待っていた。
「またせたな、ギルド長室に来てくれだとよ」
「わかりました」
シオン達はギルド長室へ向かった。
シオンはノックして声を掛ける。
「シオンです」
「入ってください」
部屋に入ってくるようにとクラークから返事があった。
「失礼します」
「「失礼します」」
三人は部屋の中に入った。
クラークの机の上には資料らしき紙が積まれていた。
「ごめんな。今日集めた資料が多くてあまり手を離せないんだ」
クラークはシオン達が入ってきたにも関わらず、手を動かし続ける。
「で、何か用かな?」
「いえ、今日発見したものが有りまして、その報告をしようかと」
「何があったんだい?」
クラークは一旦手を止めて聞く体勢に入った。
「倉庫区画に近い桟橋に数日間に一回ですが、深夜に船から荷物が運び込まれているようです。それと、倉庫区画の方にも瘴気で隔離された倉庫がありました。こちらは普通の人には見えないようになっていましたが」
「・・・・・・・」
シオンの報告を聞き、クラークは考え込んだ。
「・・・わかった。倉庫の方は瘴気が絡んでいるのなら手を出さないほうがいいだろう。密輸の現場に関しては張り込みか何かで調べてみよう」
クラークはそう判断した。
「こちらで何か手伝うことはありますか?」
さすがに任せっきりには出来ないので何か手伝うことはないか聞いてみる。
「そうだなぁ・・・こちらとしては君達は魔人や瘴魔に対抗できる戦力だから無理はしてほしくはないんだけど・・・」
クラークはまた考え込んでしまった。
「いや、今は君達には休んで、万全の形にして貰いたい。今回は魔人が絡んでくると思うからね」
「わかりました」
シオン達は冒険者の拠点を後にし宿屋に帰るのだった。
それから数日は連絡はなく、日々特訓したり海で遊んだりするシオン達であった。
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「フィルジア、こっちで合っているのか?」
「ああ、このまま行けば到着する」
「すごい森ですね」
カイとフィルジア、ルシルの三人は精霊の森を歩いていた。
カイ達は王都アルマブルクでシオン達と瘴魔の翼竜とた戦った後、瘴魔と戦う術はないか模索していた。
そこでフィルジアが精霊の里ならばその手の文献がある、最悪大精霊アレティアに聞こうと考えた。
三人は仕事に目処がたったため、精霊の里に向かうべく、フィルジアの案内で森を歩いているのだった。
「もう見えてくるぞ」
フィルジアがそう言った。
フィルジアの後ろを歩いていた二人はは先を見ると、木で出来た家が見え始めた。
「本当に森の中に村があるんだな」
「フィルジア、さっき何か結界みたいの通った?」
ルシルは里の結界の存在に気付いていたようだ。
「ああ、この結界を抜けないと入れないようになっているからな」
話している間に里の入り口までやって来ていた。
「止まれ!!」
里の入り口付近にいた警備隊隊長のリカードが制止するように言った。
「おまえ、リカードか?」
フィルジアがリカードの顔をみて名前を呟いた。
「まさか・・・フィルジアなのか?」
リカードはまさかの来客に驚きを見せた。
「おう、そうだ。元気だったか」
フィルジアとリカードはかつての同僚だ。それなりに仲の良い二人なのだ。
「里を飛び出してからろくに帰ってこないから心配したぞ」
「すまんな。この二人と冒険者として旅していたからな」
「・・・人間か?」
「一応な」
「一応ってなんだよ!」
カイがフィルジアに突っ掛かった。
「私は人間族ですよ」
「なに自分だけ人間だって言ってるんだ!オレも人間だ!」
ルシルは自分は人間族だと言い張るのでカイはまた突っ掛かった。
「楽しい仲間だな」
「そうだろう」
リカードはカイとルシルの人柄を理解するのに十分なやり取りだった。
「改めまして、ルシルといいます」
「オレはカイだ」
「この里の警備隊隊長をしているリカードだ。よろしくな」
お互いの挨拶を済ませた。
「で、フィルジア、いきなり帰ってきてどうした」
「ちょっと族長に聞きたいことがあってな。今いらっしゃるか?」
「ああ、家の方にいるぞ」
「わかった。ありがとな」
「おう、今日は里の方にいるんだろ?それなら飲もうぜ」
「おう、また後でな」
フィルジアはリカードと飲む約束をして族長宅へと向かうのだった。
「おもしれー村だな」
移動中カイが話しかけてきた。
「そうか?」
フィルジアにとっては当たり前なので特に気にならなかった。
「そうですよ。一本の木を柱にして家を建てるなんて素敵です」
ルシルにも好感触のようだ。
「そういってもらうと嬉しいものだな」
話している内に族長の家に到着した。
「ここだ」
「入ってよいぞ」
ノックしようとしたが、ノックする前に中から声が掛かった。
フィルジアはさすがだと思いながら、背後の二人は素直に驚いていた。
「久しぶりじゃな、フィルジアよ」
「ご無沙汰しています。族長」
「で、そっちの二人は誰じゃ?」
族長はフィルジアの背後にいる二人に声を掛けた。
「オレはカイだ」
「私はルシルといいます」
「カイとルシルじゃな。で何か用があるのか?この里までお主が帰ってくるのは何か理由があるのじゃろう?」
フィルジアの顔を見ながら問いかけてきた。
「は、実は王都アルマブルクでシオンの奴と会いまして。訳があって共に瘴魔と呼ばれるものに変質した翼竜と戦うことになったのです」
王都で起こったことを短めに説明する。
「となると、お主らは瘴魔、瘴気に侵された生物を倒す力が欲しい、ということかの?」
「おっしゃる通りです」
「ふむ・・・・」
族長は目をつむり考え込んだ。
「お主ら聖石のことは聞いたことあるか?」
「聖石の伝承ぐらいなら」
「その聖石は王城の結界に使うと言っておったから、あの聖石は使えんだろうしの・・・。その聖石はアレティア様いわく二種類あるそうでな。太陽の石と月の石があるそうなのじゃ。王城に浸かったのは太陽の石、太陽の光を集め太陽のマナと同質のものを作り出すらしい」
「それは王女さんのマナの力と同じということでしょうか?」
シオンから翼竜討伐の時に聞いたマナだ。
「そうじゃ。それを武器か何かに取り付ければ効果はあると思うのじゃが・・・」
「聖石がないと・・・」
「そう言うことじゃ」
二人はがっくりと肩を落とした。
「この里も今ある手札はリシアが持っているシオンの剣だけが頼りの状態じゃしな」
「シオンの剣ってあれですか?」
フィルジアは一緒に働いている時に見たことがあった。
「あの剣には精霊石が埋め込まれておる。その精霊石にはリィナとレィナのマナに染まったシオンのマナが込められておる。それが持つ限りはその剣で瘴魔とやらにも対抗はできる」
「でも、それは」
「シオンやリィナとレィナの力が必要じゃ。使うたびに補充するのが条件じゃて」
「そうですよね」
「あの、ちょっといいですか?」
ルシルが口を挟んできた。
「その聖石が安置されている場所とかの文献かなにかってないのでしょうか?」
「ふむ・・・。儂が持って居る蔵書は古いものが多い。それにエルフの言語で書かれているものも多々あるため、探すのは困難ぞ?」
族長は奥にある本を指さしながら言ってきた。
「何かないか探させていただいてもよろしいでしょうか?」
「儂は構わんが大事に扱ってくれ」
「ありがとうございます」
「カイ、お前も探すか?」
「いや、オレは字とか見てるとイライラすっからやめとくわ」
カイはそう言って出て行った。
「族長、すみません。ああいった奴ですので」
「かまわん、見るからに頭が悪そうじゃったしな」
族長は見た目でそう判断していた。
「じゃあ、俺たちで探すとしよう」
「はい!」
フィルジアとルシルは族長の家の蔵書を一つ一つ確認していくのであった」
「儂はお前さん達が泊まる家を用意しておくぞ」
「「ありがとうございます」」
こうして、シオン達とは別に瘴魔への対抗策を探す者が現れるのであった。




