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双子王女との恋奏冒険記  作者: 雅國
第二章 港に蠢く影(アルマポールト編)
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第39話 調査

 翌日の朝、シオンとリィナとレィナは起きて顔を合わせると、昨晩の風呂場での出来事を思い出し、顔を赤くした。

 最初は気まずい雰囲気だったがシオンが

「とりあえず着替えてからご飯にしようか」

 シオンがそれとなく会話を振る。

「そうだね」「そうですね」

 三人は着替えてから、朝食を宿屋にあるレストランで取るのであった。その時には普段通りに近い空気になっているのだった。




「行ってらっしゃいませ」

 セネルに見送られシオン達は宿屋を出た。


「昨日言っていた倉庫に行くの?」

 リィナがシオンの右手を取りながら聞いてきた。

「うん。その前に港で少し聞き込みでもしようかと思っているけどね」

「別行動は・・・取らない方が良さそうですね」

 レィナがシオンの左手を取りながら聞いてくる。

「まぁ、魔人絡みのことだから一緒に行動していた方がいいかな。何かあったら困るし」

 シオンは魔人絡みのことなので、慎重に行動をしようと考えていた。

「じゃあ今日もみんな一緒だ!」

 フィーは嬉しそうに声を上げた。




「すまんがちょっとわからないな」

「こっちも噂しか聞いたことないな」

 船から荷物を下ろしていた作業員が答えた。


「そうですか、ありがとうございました」

 シオン達はお礼を言って、その場を離れた。


 シオン達は港で聞き込み調査をしている。

 ごらんの通り進捗は著しくない。


「またダメだったね」

「今ので20人目ですね」

「うーん・・・噂しか聞いていないってのが気になるんだよな~」

 シオンはそこが気になるようだ。

「ん?どういうこと?」

 リィナは首を傾げた。


「シオン君が言ったのは、噂があるのに事実を誰も知らない。ならどこから噂が流れてきたのか。ってことですよね?」

 レィナが得意気にシオンの顔を覗き込んだ。

「その通り」

 自分の言葉ですぐにその答えを導き出すのはさすがはレィナだ、とシオンは思った。


「言われて見れば確かに」

 リィナも納得したようだ。


「フィーは何か感じたりしない?」

 シオンが人の居ないところに着いてフィーに聞いた。

「うん、今のところは何も感じたりしないよ。嘘とか言ってる人もいなかったよ」

 フィーは姿が見えないようにして、怪しい人や嘘をついている人がいたら教えてもらうようにお願いしていた。


「わかった、ありがとう。この後もよろしくね」

「うん!」

 フィーは頼られるのが嬉しいようだった。


「あ!あそこの人にも聞いてくるね!」

「あ、うん。お願い」

 シオンも特に考えずにフィーの言葉にうなずいた。

 そして、フィーは船が止まっていない桟橋の方へ飛んで行った。


「ねぇ、シオン君」

「フィーちゃんが聞きに行って大丈夫なのですか?」

「・・・・・・・あ!」

 シオンはリィナとレィナに言われて気付いた。

「とりあえず追いかけよう!」

「はーい」「はい」

 シオン達はフィーを追いかけるため、飛んで行った桟橋に向かって走り出した。



--------------------------



「あのー!すみませーん!」

「む?」

 フィーは船が止まっていない桟橋の所に腰掛けている、人間ではない何かに声を掛けた。

「お前さんのような妖精がこんな老いぼれに何か用かの?」

「うん!この辺りのお船から大きな生き物を運ぶの見たことない?」

「大きな生き物・・・とな?」

「うん!」



「おーい!フィー!!」

「あ!シオン!」

 そこへシオン達がやってきた。

「おお、なんとも賑やかな」

 シオン達がやってきて目にしたのは、フィーより少し大きな老妖精の姿だった。

「え!あなたは妖精・・・ですか?」

 シオンが代表して聞いた。

「まぁ、この辺りに古くから住んでいる妖精じゃな。お主らも普通の人間ではないな?」

「ええ、まぁ」

「儂の姿が見えているということは精霊魔法でも使えるのだろう」

「は、はい。使用できます」

「そう堅くならんでいい。お主らはこの娘が言っていたことを知りたいのよな?」

「え~と・・・」

「うん!大きな生き物が入ってきたりしてないかなって」

 フィーはいつもの調子で聞く。


「ふむ・・・儂は最近この辺りにいるがの、生き物かはわからんが何日かに一回、皆が寝静まった頃にあの桟橋で船が荷下ろしや積んでいるのを何回か見たことあるの」

 老妖精が指さした先は倉庫区画に一番近い桟橋だった。

「わかりました。少し見てきますね」

「気を付けるのだぞ。最近はそこに人ならざる者の気配も感じるからの」

「・・・わかりました。ありがとうございます」

「ありがと!おじいちゃん!」

 フィーはシオンにくっつきリィナとレィナも連れてその桟橋に向かって言った。


「妖精が人間と共に歩んでいく・・・か」

 老妖精は静かに去っていった背中を見て呟いた。

「さっきの少年と少女達・・・少年はシオンといったか。我らが姫のお気に入りとなればその内また会うじゃろうな」


「じじ様!」

 そこへフィーと同じか少し大きい妖精が数人やってきた。

「フィー様の気配はありました。いま他の者にさらに詳しく調べていただいている最中です!」

 若者の妖精はそう報告してきた。


「もう捜索などせんでいい」

「・・・は?」

 若者の妖精は老妖精の言葉を理解できなかった。

 少し前に妖精の姫が人間にさらわれた。姫の後を追いここまで妖精が人間の住処に入り込んだのに、否定をされたのだから。


「いや、しかし」

「せんでいいと言っておるだろう」

 老妖精はそう言い続ける。

「フィー様は今し方見つかった。儂の権限を持ってそこは間違いない。ただしばらくの間はあの者達と共に歩ませてやりたいのだ」

 老妖精の言葉に若者は

「あの者達ってまさか人間ですか!!」


 人間は妖精をいい商売道具にしか見ていない、ペット扱いされ理不尽な目に遭わされる。それが妖精内での常識だった。


「あの者達は良い目をしておった。フィー様もシオンという少年に好意をもっていたご様子。儂はあの者達を信じ任せ、フィー様を外の世界を見せてあげたいのじゃ。もしかしたらシオンという少年達とフィー様のように儂ら妖精族と人間族が共に生きる時代がフィー様からは始まるかもしれんのじゃ」

「じじ様・・・」


 老妖精の言葉は若者達の心に響いた。そして、その場から妖精たちは立ち去っていくのだった。


「シオンとやら、フィー様をよろしく頼むぞ」

 老妖精は最後にシオンの背中に語り掛け、その場で姿を消したのだった。



--------------------------



「この桟橋だよね?」

「さっきの妖精の話ではそうだね」

「・・・・・・・」

「フィー?」

 フィーは少し落ち着かないのかさっきの妖精の方向を気にしていた。

「ん?なんでもな・・・くはないかな。さっきのおじいちゃんの声・・・聞いたことあるような気がして・・・」

 少し寂しげな表情を見せるフィー。

「戻ってみる?」

 シオンはそう聞いてみた。

「ううん、私はシオンと一緒にいたいから戻らないよ。それにまたどこかで会えるかもしれないし」

 フィーは無理やり笑顔を作るようにして言ってきた。


「・・・わかった。フィーがそうしたいのなら僕は止めない」

「うん・・・ありがと、シオン」

 フィーはやっぱりシオンが好きだと心でそう思うのだった。


「ねぇ、シオン君、あれは何ですか?」

 レィナが倉庫区画の奥を指さす。

「あれは・・・」

 シオンが視たのは普通の倉庫が立ち並ぶ風景に違和感みたいのがあったのだ。

「行ってみようか」

 シオン達はその違和感がする方向へ歩いていった。


「これは・・・瘴気?」

 シオン達が近くに行くとあからさまに何か空間が歪んでいたのだ。良く見るの黒い靄のようなものも見えた。


「ねぇ、この奥に倉庫があるね」

「そうみたいですけど・・・入れるのでしょうか?」

 二人は突然そんなことを言ってきた。


「え?この奥に倉庫あるの?」

 シオンは目にマナを集中させても黒い靄があるぐらいで倉庫が見えなかったのだ。

「え?シオン君見えないの?」

 リィナはシオンにも見えていると思ったようだ。

「これはもしかして」

 レィナがそう呟く。


「シオン君」

 レィナがシオンを呼ぶとシオンが振り向くより早くレィナがシオンの頬にキスをしてきた。

「な!」

 突然のキスに少し驚いたシオンだが

「これで見えませんか?」

 そう言われ同じようにレィナのマナに染まったマナを使いもう一度見てみると

「・・・倉庫がある」

 シオンの目にも倉庫が見えた。


「やっぱりこれは瘴気絡みのようですね」

「・・・レィナずるい」

「何か言いました?」

「なんでもない」

 リィナは少し不機嫌になった。


「ってことはこの靄は瘴気で空間を歪めているってことになるのかな」

「そうだと思いますが・・・それにあの穴」

 レィナが指さした方を見ると倉庫の屋根に穴が空いていた。

「グリフォンが逃げた後?」

「そうだと思います」

「・・・入った方がいいのか・・・」

「現状はもう少し様子をみたいですね」

 問題は近づいて中を調べたいが、この靄は瘴気絡みのもののようなので不用意に触れない方がいいと判断してのことだ。


「とりあえずこれは収穫だね。今夜ギルドに報告に行こうか、夜になれば向こうもなにか掴んでいるかもしれないし」

「わかった」「わかりました」

 シオン達は長居はしない方がいいと考え一旦港の方へ向かうのだった。



--------------------------



「この後はどうするの?」

 リィナが聞いてきた。

 時刻はまだ昼前だ。報告は夜と決めたのでそれまで時間が出来てしまった。

「とりあえず早めにお昼食べてから海で練習しよっかな」

 シオンはそんなことを言う。

「練習ですか?」

 レィナも練習に興味を持ったようだ。

「少し人がいない浅瀬でね。濡れてもいいように水着で水上歩行の練習しようかなって」

「「水上歩行?」」

 二人は首を傾げるのであった。

「僕もまだできない技術だけど里の族長のやっているところは見ているからね。魔人も空を飛んでいたし、その内、空を飛ぶ練習もしようかと考えているけど」

 シオンがそう言うと

「水の上歩けるの!!」

「空も飛べるのですか!!」 

 リィナとレィナは少し興奮気味に詰め寄ってきた。


「空を飛べるかは分からないけど、水上歩行はできるはずだよ。精霊魔法の応用で」

 シオンの言葉に

「わかった!今すぐ着替えて練習しよう!」

「そうですね!シオン君!着替えるから水着を出してください!」

 二人はそう言いつつ服のボタンを外し始めた。すでに胸の谷間だけではなくブラの一部が見えてきている。

「ちょっ!二人とも!」

 シオンは慌てて二人を抱きしめ周りから見えないようにした。


「二人とも落ち着いて!ここはまだ港だよ!それに練習はお昼を食べてからね!」

 シオンがそう言うと

「「あ!」」

 二人は抱きしめられているのもそうだが、人前で服を脱ごうとしたことに気付き顔を真っ赤にした。


「「ご、ごめんなさい!」」

 二人は服を正しながら謝ってきた。

「水の上を歩けるかと思ったら興奮しちゃって」

「すみません、私も興奮しちゃったみたいで」

 二人は顔を赤くしてうつむいてしまった。


「まぁ、いきなり脱ごうとしたのは驚いたけどね」

 シオンも少し顔を赤くしていた。

「それより市場に何か食べに行こう」

 そして、シオン達は市場へ向かって歩きだすのだった。

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