第34話 グリフォンを追って
シオン達三人は冒険者の拠点からの依頼<グリフォンの討伐、もしくは捕獲>を引き受けた。
引き受けた日はもう時間が遅かったため、シオン達は翌日に出発することにしたので、その日は宿屋に帰るのであった。
そして翌日、鍵を預ける際にセネルが声をかけてきた。
「おはようございます」
「「「おはようございます」」」
セネルは気持ちよく挨拶をしてきた。
「これからお出かけですか?」
鍵を受け取りながら、そう声をかけてくる。
「はい、冒険者の拠点から依頼があったので」
シオンが簡単に説明する。
「仕事ですか、頑張ってくださいね」
「はい、頑張ります」
リィナがガッツポーズを取りながら言った。
「それでなんですけど、暫く帰らなくなりそうなのですが」
「ああ、部屋をどうするか?ですね。先払いでお金を払って頂けるのであれば、今の部屋を継続で使用できますが」
セネルは契約に関して教えてくれた。
「それなら一週間お願いしてもいいでしょうか?一週間以内には一度戻ると思いますので」
この一週間というのは、シオンがリィナとレィナを想ってのことだ。
この町までは5日間掛かったが、途中の村で宿屋を利用しての5日間なのだ。
今回の探索では、恐らく全て野宿となるだろうから、二人の疲弊を考えて、一度一週間以内にはこの町に戻ろうと考えているのだ。
「わかりました、金額はこちらになります」
セネルが紙に金額を計算して、見せてきた。
掲示された金額をシオンが払う。
「確かに受けとりました。それでは、お気をつけて行ってらっしゃいませ」
シオン達はこうして宿屋を後にした。
シオン達は町を出る前に市場に寄っていた。
「あ!あれも買っていい?」
リィナが果物を指差し言った。
「いいよ。5個ぐらい買っておこうか」
シオン達は異空間袋の中に入れる食材を足すために、市場に寄ったのだ。
「シオン君、飲み物はどうします?」
「一応買っておこうか。魔法で出せるといっても、いざというときに使えるかもしれないから」
三人は相談しながらいろいろ買い込んでいく。
「ねぇ!シオン!あれ買って!」
フィーが買って欲しいものに飛んでいく。
姿が他の人には見えていないようだ。
フィーが買って欲しいものの上に立つ。それは
「蜂蜜・・・でしょうか?」
レィナがその商品の名前を読んだ。
フィーは前に花の蜜を食べると言っていた。蜂蜜も一応は花の蜜から作られているから、気になったのだろう。
「いいよ。買おうか」
「やったー!ありがとー!」
フィーは身体で喜びを表すようにシオン達の、周りをくるくる回る。
「本当に嬉しいんだね」
「そうみたいですね」
フィーの姿をみてほっこりするのだった。
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シオン達は食料の買い出しが終わり町を出て、東の海岸沿いを歩いていた。
「グリフォンが飛んで行ったのってこっちだったよね?」
リィナが遠くを見ながら聞いてきた。
「うん、そのはずだよ」
シオンはすぐに肯定する。
「でも、相手は空を飛ぶのですから、どこに向かったかなんて意味があるのでしょうか?」
レィナは2日前にグリフォンは飛んで行ったのだから、もうどこか遠くに行っているのではないかと考えているようだ。
「文献によると、グリフォンは縄張り意識が高い生き物らしい。知らない土地だと、落ち着ける場所を探すんじゃないかな」
シオンが考えを伝えると
「あー、なるほど」
「確かに可能性はありますね」
三人はいろいろな予測を立てながら、海岸沿いで怪しい場所を見ながら移動を続ける。
フィーはというと、意外と役に立っていた。
シオン達が行きづらい崖や空高くから見渡したりしてくれていた。
「何もいなかったよー」
フィーは崖の下から帰ってきた。
「ありがとう。フィー」
シオンの肩に座ったフィーにお礼を言った。
「フィーちゃん、お疲れ様」
「うん!えへへ」
今度はリィナの頭の上に座った。そしてそのまま、リィナとおしゃべりを始める。
「フィーちゃんもだいぶ慣れて来たみたいですね」
レィナはフィーが楽しそうにリィナと話す姿を見て、シオンに言った。
「そうだね。仲のいい姉妹みたいに見えるかも」
「確かに」
シオンもレィナもおしゃべりしている二人は姉妹のように見えた。
「この辺りで一旦休憩にしようか」
シオンが皆に言った。
朝から出発して5時間ぐらい探したのでだいぶ疲れてきた。
それに丁度、海の眺めのいい場所に木陰を見つけたのだ。
「ここは気持ちがいいですね」
レィナは草の上に腰を落として海を眺めていた。
「少しそこらへん見に行ってもいい?」
フィーは少しそこらへを見に来たいのか、うずうずしていた。
「いいけど、あまり遠くに行かないようにね」
「はーい!」
フィーはキラキラと軌跡を残しながら花が咲いている方へ飛んで行った。
シオンは異空間袋から調理器具を取り出し昼食を作ろうとする。
そして、フライパン当などの器具を出し、土を精霊魔法で持ち上げて釜戸替わりになる物を作る。
そして材料を出そうとして、顔をあげるとリィナの顔が目の前にあった。
「・・・リィナ?どうしたの?」
「・・・シオン君の料理している所を見させてもらおうかと思って」
リィナは自分で料理を作れないので、覚えようとしてるようだった。
王都から旅を始めてわかったことだが、シオン以外は料理ができない。洗濯はシオンとレィナが出来るが基本レィナが担当だ。リィナが出来るのは・・・・特になかったりする。
寮生活している時の洗濯はシオンの衣服も含め、レィナがやっていたのだ。旅が始まってもその位置は動いていない。
寮で一回シオンが洗濯を代わりにやろうかとレィナに言ったところ
「シオン君は私たちの脱いだ下着を洗いたいのですか」
と言われ、シオンは洗濯するのを断念するしかなかったのだ。
「・・・まぁ、見ていてもいいけど近付き過ぎないようにね」
「わかった」
そう言ってリィナに見られながら調理を開始するのであった。
料理が出来上がり、レィナとフィーを呼び昼食を食べることになった。
メニューは市場で買ったパンと魚介系のスープとサラダだ。
フィーにはパンを小さく千切ったのと蜂蜜をお皿に置いてあげる。
「ん!おいしいですね!」
レィナはスープを口に運び絶賛する。
「うん、目の前で見ていたけど、こんなに簡単にスープって出来るんだ」
リィナはこれなら自分でできるかもと思ったらしい。
まぁ、シオンもすこしわかりやすく作ったのだ。
「それはよかった」
自分が作ったものをほめられるのはやはり何度言われても嬉しいものだ。
「シオン!この蜂蜜もすごくおいしい!」
フィーもおいしそうにパンと蜂蜜を食べていた。
昼食を食べ、少し休憩をしているとフィーが先ほど見ていた花の辺りから何やら小さな妖精らしきものが顔を出してきた。
最初に気が付いたのはシオンだった。
「ねぇ、フィー。あれって妖精かな?」
シオンは顔を少ししか出していないものが妖精かどうか聞いた。
「ん?・・・あ!ちょっと挨拶してくる!」
そう言ってフィーが飛んで行った。
なにやら話しているようだがシオン達の位置からは聞こえない。
暫くするとフィーと一緒にその妖精らしきものも一緒に付いてきた。
「この子ね、あの辺りの花の妖精みたいだよ」
フィーが紹介する。
花の妖精はお辞儀をするが話すことはしない。大きさはフィーより小さいようだ。
「この子、人間の言葉が話せないみたい。私とは違う種類の妖精だと思う」
フィーは先ほど向こうでそのことについて話していたようだ。
「この辺りの花の妖精ならグリフォンのこと知らないかな?」
リィナが言ってきた。
「え?・・・うんうん」
花の妖精はフィーに何か話しかけているようだ。
「えっとね、このまま歩いていくと人間の村があるみたい。そっちの方に飛んで行ったって」
フィーは指差しながら言った。
「わかった。教えてくれてありがとう」
シオンが花の妖精にお礼を言うと、花の妖精はにっこりの笑ってお辞儀をして花の方に飛んで行った。
「ばいばーい」
フィーは花の妖精に手を振って見送っていた。
「では、最初はその村を目指す形になりますか?」
「そうだね、目的地として今日はその村を目指しながら進もうか」
休憩を終えたシオン達は海岸沿いを歩き、花の妖精が教えてくれた村を目指すのだった。
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「こんな所にいたのですか。アミラ?」
ベッフェルは廃村の家の中にいたアミラに話しかけた。
「っは!ベッフェル様・・・申し訳御座いません。グリフォンの捕獲に少し手間取っていまして」
アミラはグリフォンを見つけたはいいが、捕らえられずにいた。
「グリフォンが張っている風の障壁に苦戦しているようですね」
「は、はい。申し訳御座いません」
ベッフェルはアミラがこうなるとなんとなく予想していた。
アミラは魔人になってから日が浅い、それに元々魔法使いであったため、魔力と瘴気の扱い方が混在し、素早い切り替えが必要な攻撃が不得意なのだ。
「それなら今回は私も一緒に戦いましょう。もうひとつ瘴玉ができましたから」
ベッフェルはそう言いながら瘴玉を掌の上で転がす。
「あ、ありがとうございます」
アミラはお礼を言い、オレンジ色に染まりつつある廃村の近くにある穴蔵の方にベッフェルと一緒に歩き出すのだった。




