第33話 貿易の裏
シオン達三人は夕方まで海で遊んだ後、宿屋で身支度をしてから冒険者の拠点ギルドに足を運ぶのであった。
「「「こんばんはー」」」
三人はそう言いながら冒険者の拠点に入ると
「おお、昨日のシオン君といったかな?後はリィナさんとレィナさんだったよね」
迎えてくれたのはギルド長であるクラークさんだった。
「ギルド長さん、こんばんは」
「はい、こんばんは。それとギルド長じゃなくて名前で呼んでもらってもいいかな?ギルド長と言われ慣れていなくてね」
頭を搔きながらクラークは言ってきた。
「では、クラークさんで」
「私たちもクラークさんと呼ばせていただきますね」
「ああ、いいよ」
ここで改めて挨拶をするのであった。
「で、昨日のグリフォンの件だけど、やはり密輸で運ばれてきたようだね」
「密輸・・・ですか」
シオンが聞くと
「最近密輸が多くてね。ウチの冒険者の拠点にも密輸関連で依頼がけっこう来るのさ」
どうやら密輸は以外と多いみたいだ。
「それと最近その密輸で運び込まれた生物が消える事件もある」
「「「え?」」」
意外に早くシオン達が聞きたいことが聞けそうだった。
「ん?何かあったかな?」
「い、いえ、そんなことがあるのですね」
シオンは少しはぐらかしながら話を進めようとした。
「その昨日のグリフォンもその中の一匹らしいことがわかったんだ」
クラークが意外なことを言ってきた。
「ん?グリフォンも消えていた密輸の生物ってことですか?」
「そうなるね」
「・・・・・・・・」
シオンは少し考え込んでしまった。
「でも確かグリフォンが飛んで来たのは倉庫がたくさんある方からだったのですが」
シオンが気になった所を言うと
「名前は教えてもらえなかってけど、その密輸の関係者たちも倉庫の方を探したらしいが、生物がいる倉庫なんてなかったらしいんだ」
どうやら倉庫の方は探していたらしい。なのにグリフォン含め、生物が見つからないのは奇妙な話だった。
「そんなわけで手詰まりというわけさ」
「そうだ。クラークさん、私から質問いいですか?」
レィナがクラークに質問を始めた。
「なんだい?」
「昨日の貿易の会頭さんのことですけど、いつからギリアムって人に変わったのですか?」
さすがに前会頭のことを何故知っているかは言わなかった。
「ギリアムが会頭になったのは、だいたい三年前ぐらいだね」
「じゃあさ、密輸の話とかが出てきたのっていつぐらいなの?」
今度はリィナが質問した。
「確か・・・二年前ぐらいだね」
クラークは手元の資料らしき物をペラペラ捲りながら答えた。
「ギリアムが会頭になる前って密輸の話は出ていたのですか?」
レィナに質問が戻った。
「無くはなかったけど、今よりはかなり少なかったね」
「「「・・・・・・・」」」
三人は少し考えて黙っていると
「やっぱりギリアムが怪しいと思うよね」
クラークがそんなことを言ってきた。
「こちらでも調べたことがあるが、尻尾を掴めなくてね」
どうやら過去にギリアムのことを調べていたようだった。
「それ以来、何かと警戒されるようになってしまったんだ」
それで先日のあのやり取りという訳だと分かった。
「警戒しているということは、裏があるのではないのでしょうか?」
「そうだと踏んではいるが証拠がなくては何も言えないんだ」
クラークは残念そうな顔をした。
「そうですか・・・」
レィナも手詰まりで黙り込んでしまった。
「とりあえず、あのグリフォンはどうするのですか?」
シオンが改めて聞くと
「可哀想ではあるが討伐する方向だ。しかし、冒険者の拠点にはグリフォンを討伐できる人材はいない。そこで君達にギルドと町からの依頼として、グリフォン討伐、出来れば無力化による捕獲をお願いしたい。どうだろうか?」
クラークは今回のことを依頼として出すようだった。
「乗り掛かった船ですので、お任せください」
「おお、ありがとう!では、出来る限り早めにお願いするよ」
「わかりました」
シオン達は依頼を受け、冒険者の拠点を後にするのであった。
「勝手に引き受けてごめんね」
シオンはリィナとレィナに謝った。
「大丈夫だよ」
「私達も引き受けたいと考えていましたから」
二人は引き受けたことには異論はなかったようだ。
「フィーはどうする?探索してから討伐となると、何日か町に戻って来れなくなるけど」
フィーは今は一緒にいるが、グリフォンに襲われていたのだ。
もうグリフォンと会いたくないと思っているのかもしれないと、シオンは考えていたのだ。
「うぅ・・・どうしようかな・・・」
フィーはシオンの肩の上で少し泣きそうな顔をして悩むのであった。
「すぐに答え出さなくてもいいよ。もしあれだったら宿屋の部屋で待っててもらってもいいよ」
シオンが優しく語り掛ける。
「ううん、シオン達と一緒に行く。私はシオン達と一緒にいたい!」
フィーはシオンの前に飛んでいき、シオンの目を真っ直ぐみて言うのであった。
「わかった。改めてこれからよろしく。フィー」
シオンが握手の代わりに人差し指一本をフィーに差し出す。
「うん!よろしく!」
フィーは小さな両手でシオンの指を握ってきた。
「私達も」
「よろしくお願いします」
リィナとレィナも人差し指を出す。
「よろしく!リィナ!レィナ!」
フィーは二人の指を握った。
「よし!じゃあ、宿屋に帰ろうか」
シオン達は新たにフィーという妖精の女の子が仲間に加わるのであった。
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「くそが!!」
ギリアムは誰もいない執務室で暴言を吐いていた。
「せっかくグリフォンを仕入れたと思ったら消えやがって!!出てきたと思ったら逃げただと!!」
ギリアムは八つ当たりで机を蹴った。
「せっかくの密輸ルートもギルドに嗅ぎ付かれるわもう散々だ!!」
「何が散々なのですか?」
誰もいないはずの執務室にギリアム以外の誰かの声が響いた。
「誰だ!!」
ギリアムは声の正体を探ろうと執務室を見渡す。
「私はベッフェルというものです」
黒いローブを着た男が突如ギリアムの目の前に現れた。
「き、貴様は一体ど」
「さっきの言葉から考えるに、貴方は何か憤りがあるように見えますが」
ベッフェルがギリアムの言葉を遮って話しかけて来た。
「ふん!貴様にわかるわけないだろう!私は今不愉快なんだ!わかったら早々立ち去れ!!」
ギリアムはベッフェルの言葉には取り繕わないで、去るように命じる。
「・・・・・いい心の黒さですね。そう、暗黒といってもいいほどに」
ベッフェルはギリアムの目を見てそう呟いた。
「これを貴方に差し上げましょう」
ベッフェルは親指ほどの大きさの黒い宝玉のようなものを取り出し、ギリアムに見せた。
「・・・それは何だ」
ギリアムはその宝玉を見つめ、何かを聞いた。
「これは不思議な力を手にすることが出来る宝玉です。これを貴方に差し上げます」
ベッフェルは宝玉をギリアムに手渡そうと手を伸ばす。
「不思議な力だと?」
ギリアムはなぜかその宝玉に目を奪わた様に見つめていた。
「ええ、貴方にはそれを手にする資格がある。さぁ、受け取りなさい」
ベッフェルがそう言うと、ギリアムはその宝玉に手を伸ばした。
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「ふふふ、思ったよりすぐに瘴玉を受け取ってくれましたね」
ベッフェルは空高くからギリアムがいる執務室の窓を見ていた。
「あの感じならたやすく落ちるでしょう」
不気味な笑いをしながらベッフェルは見続ける。
「さぁて、堕ちるまでの間にアミラの様子でも見に行きましょうか。グリフォンに苦戦していなければいいですが」
ベッフェルはアミラが飛んで行った方向、東の海岸沿いに飛んで行った。




