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双子王女との恋奏冒険記  作者: 雅國
第二章 港に蠢く影(アルマポールト編)
32/199

第32話 海水浴

 妖精フィーと会った日の翌日

 シオンは港町である太陽の眩しさと王都になかった暑さの中、水着姿で砂浜に立っていた。


「熱い・・・」

「でも風は気持ちいいよ」

 シオンの呟きに、シオンの肩に乗っているフィーが答えてくれる。

「おまたせ」「おまたせしました」


 その声を聞き、シオンは振り返った。

 リィナはオレンジ色の少し露出が多いビキニ姿だった。

 レィナは珍しくリィナとは違う恰好で胸の谷間と背中が見えている薄水色のワンピースを着ていた。


「え~と・・・二人とも珍しいね、違う水着を選んでいるなんて」

 シオンは普段の恰好もだが下着もお揃いで着ることが多い二人にしては珍しいと感じたのだ。

「「むぅ~・・・」」

 リィナとレィナは望んだ言葉ではなかったため膨れっ面になっている。


「うそうそ!二人ともすごく可愛いよ!」

 シオンは慌てて褒めた。

「「えへへ」」

 二人は頬を染めて微笑んだ。



「じゃあ、二人とも行こう!」

 リィナは海へ向かって走れ出した。

「あ!リィナ!準備運動しないと!」

 レィナはそんなリィナに声を掛けながら海へ続く。

「シオン君!早く~!」

「リィナ!準備運動しないとだめですよ!」

 二人はいつもよりテンションが高いのはすぐに分かった。

「今行くよ!」

 シオンもそう言って、肩にフィーを乗せたまま二人の傍に行くのだった。



--------------------------



少しだけ時間を遡る。

「海にいって泳ぎたい!」

「私も行きたいです!」

 シオンは今日はどうするかと朝食を食べた後に、二人に聞くとこの答えが返ってきた。

「え?海?」

「うん!」「はい!」

 二人はシオンの目を見てしっかりと頷いてきた。

「まぁ・・・今日の夜にギルド行くからそれまでだったらいいんじゃないかな?」

 その答えに

「「やった~!!」」

 二人は手を合わせて喜んだ。


 シオンはそこまで海で泳ぎたかったのかと、考えていたのだが

「これでシオン君に!」

「水着姿を見せれますね!」

 どうやら、泳ぎたいのは口実でシオンに水着姿を見せるのが目的だったらしい。


「・・・ま、いっか」

 シオンはそんなことを言ったが、内心は好きな女の子の水着姿が楽しみで嬉しかったのだった。



--------------------------



 そんなことがあり、今シオン達三人とフィーを入れて四人でアルマポールトの港の脇にあるビーチに遊びに来ていた。


「リィナ!海入る前にシオン君にやってもらうことあるでしょ!」

 準備運動を終え、海に走り出そうとしたリィナにレィナがストップをかけた。

「ああ!そうだった!」

 リィナは思い出したように、レィナと一緒にシオンの目の前にやって来た。


「え~と・・・僕にやってもらうことって?」

 シオンは何も聞いていないので、分からなかった。

「それはね!」

「あの、これを塗って欲しいのです」

 レィナはそう言いながら、何かの液体が入ったビンを取り出した。

「これは?」

 シオンは中身がわからないので聞いてみる。

「更衣室にいた人がね、肌を焼かないようにするための液体なんだってくれたの」

「私達もそこまで考えが無かったので、これを塗ろうとしたら」

「好きな人がいるなら塗って貰いなさいって言われたの」

 好きな人というのはシオンのことだろう。


「で、塗って貰えないでしょうか?」

 二人にそんな風にお願いされたら断るわけにもいかず

「分かった。塗らせてもらうよ」

 そう言うのだった。



「で、こんな状態で塗るの?」

 最初はリィナからということで、砂浜の上に敷いたタオルの上にうつ伏せになっている。上の水着の紐を外した状態で。

「うん、前は自分で塗ってあるから、背中とか太ももの後ろの方とかお願い」

 リィナはシオンにそうお願いする。

 シオンは肌色の面積が多いので、少しクラっときたが少し照れつつ、ビンの液体をリィナの背中に垂らした。


「きゃ!」

「ど、どうしたの?!」

 突然悲鳴を上げたので、シオンは驚いた。


「ん、ちょっと冷たくて驚いただけだから、平気だよ。お願いします」

 リィナは頬を染めて言った。

 シオンはリィナの背中に手を這わせる。

「ん・・・」

 リィナは少し艶のある声を出した。

 シオンは柔らかい肌の感触に理性を頑張って耐えていた。



 背中を一通り塗り終わり、太ももの方にいく。

 太ももは凄く柔らかくてずっと触っていたいと思うほどだったが、シオンは我慢をして、丁寧に液体を塗っていく。

 全て塗り終わったらシオンは精神的にかなり疲弊していた。



「シオン君、ありがと!」

 リィナは上の水着を着けながら、かなり嬉しそうにして言った。

「次は私ですね」

 そう言いながら、レィナはワンピースの水着の首の後ろの紐を解き、うつ伏せに寝た。

「シオン君、私も前は自分で塗ってあるので、リィナと同じように背中と太ももとかの足の方をお願いします」

 そして、シオンは二人に日焼け止めの液体を塗るだけで疲れてしまっていた。



「シオン君、ありがとうございます」

 日焼け止めを塗ってくれたシオンにレィナがお礼を言う。

「あ!そうだ!シオン君にも塗ってあげるよ」

 リィナがそんなことをを言ってきた。

「いや、僕は大丈夫だから」

 シオンは嫌な予感しかしなかったので、遠慮しようとした。

「そうですね。私達で塗ってあげますよ」

 シオンの言葉を聞いていないのか、リィナとレィナは手の上に日焼け止めの液体を出した。

「さぁ!シオン君!」

「お覚悟を!」


 二人のそんな言葉と共に水着姿の二人に抱きつかれるような形で身体中に塗られるのであった。

 塗られている最中は二人とも胸とか当たっても気にしていなかったので、シオンは理性を保つのがやっとだった。


 因みに、シオンの肩に座っていてフィーはというと

「シオン!頑張ってください!」

 と隣で応援しているのであった。



 三人は海に入っていく。

 フィーも三人の近くを飛んで付いてきていた。

「きゃ!冷たいね」

「ても、気持ちいいですね」

「二人ってどれくらい泳げるの?」

 シオンが、気になり聞いてみると

「うーん、少し泳げるぐらいなのかな」

「そうですね。あまり泳ぐ経験がないので、一応泳げるという感じでしょうか」

 二人の言葉を聞き

「じゃあ、あまり深いところはいかないほうがいいね」

 シオンが深いところに行かないように決める。


「シオン君はどれくらい泳げるの?」

 リィナもシオンに聞いてきた。

「里の近くにある小さな湖では泳いでたから、足が着かない場所でも普通に泳げるよ」

「じゃあ、私達が溺れたら助けてくださいね」

「まず、溺れないように気を付けてね」

 シオンは二人が溺れること前提に話している気がしてならなかった。

「私も助ける!」

 フィーも助けてくれるそうだ。

「そうだね。じゃあ、いざとなったらフィーに頼もうかな」

「まかせて!」

 フィーは元気よく答えるのだった。



「シオン君、少し精霊魔法のことで聞きたいことがあるのですけど」

 レィナが手で水を掬いながら、遠慮がちに聞いてきた。

「ん?なに?」

「精霊魔法ってマナを火とか水に変化させているんですよね?」

「そうだね」

「元々ある水、例えば海とか地面とかを精霊魔法で操作出来ないのですか?」


 レィナが言ったことは普段使っている精霊魔法はそこには無い火とか水をマナで自分で創り出し、それを操る。

 元々そこにあるものを操っているわけではないのだ。


「一応できるよ。マナを制御する要領で、海の水にマナを変化させずそのまま流してみて」

 シオンがそう言うと、レィナだけではなくリィナも一緒にやっている。


「自分のマナはどうなっているか分かる?」

 シオンはそんな質問をする。

「ん~・・・。変化している訳ではないですが、海の水に溶け込んでいる感じがします」

「私もそんな感じ!」

「その状態になったらいつもみたいにそのマナを変化させないで形をイメージしてごらん」

 シオンがそう言うと、海の水が球の形になって浮かび上がった。

「わぁ!レィナ!すごいすごい!」

 フィーは水の球の周りをすごいと言いながら飛んでいる。


「ねぇ、シオン君・・・私も海の水で球は出来たんだけど・・・なんか熱い」

 どうやらリィナが造った水の球は熱くなっているようだ。

「それはリィナが水に溶け込んだマナを火に変えちゃったんじゃないかな」

 どうやらリィナは海水の中に通したマナを無意識に火のマナに変えてしまったようだ。

「なるほど、けっこう難しいね」

 レィナは苦戦しながらもう一回試そうとしている。



「・・・シオン君、私のも海水の割にはしょっぱくない気がします」

「それはマナが水になっている可能性があるね」

「うぅぅ・・・」

 レィナは少し暗くなった。

「でも、まだ頑張ります!」

「そうです!リィナ!レィナ!頑張ってください!!」

 そんな二人をフィーは応援しているのであった。



「う~・・・疲れた~」

 リィナは砂浜の近くにある水着でも利用できる休憩所の椅子に座りこんだ。

「けっこう神経使いますね」

 レィナの顔にも疲れが見えた。

「そこの売店で何か冷たい飲み物でも買ってこようか?」

 シオンは近くにあった売店を見ながら言った。

「おねが~い」「お願いします」

「わかった。どういう飲み物がいい?」

「さっぱりしたのがいい~」

「私も同じのお願いします」

「了解っと」

 シオンはそういって売店の方に買いに行った。



 売店でレモンと蜂蜜の飲み物を三個買って二人の場所に戻ると

「嬢ちゃん達二人ならオレ達と遊ぼうぜ!」

「そうだな。向こうに面白いもんもあるしよ」

 リィナとレィナに言い寄っている男が二人いた。

「私達には連れがいるので」

「けっこうです!」

 リィナとレィナはきっぱり断っているようだ。

「そんなこと言わずにいこーぜ!」

「そうだ、いこうぜ」

 それでも男二人はしつこく誘っている。

 流石のシオンも見かねて近づいて行った。



「二人とも買ってきたよ」

 何事もないようにシオンはリィナとレィナに話しかける。

「あ!?なんだ!」

「俺たちが先に見つけたんだぞ!!」

 男二人は先に見つけたとかよくわからないことを言っている。



「「おかえりなさい」」

 リィナとレィナが同時にシオンを迎える。

「あ!?こんなやつが連れかよ!」

 男の一人がシオンを指さして言った。

「そうだよ。それがどうしたの?」

 リィナは少し怒り口調になって男に言った。


「こんなやつより俺らの方がイケてんじゃねーか!!」

 もう一人はシオンに難癖をつけてきた。

「いいえ、あなた達より全然素敵だと思いますけど」

 レィナも少し笑顔が怖くなってきた。


「ここらで退散した方が身のためですよ」

 シオンは嫌な予感がしたため、男二人に小声で注意する。

「「あ!!」」

 二人の男はシオンの言葉でなぜかブチ切れたようだ。突然、シオンを殴りにかかってきた。


 ドン!!・・・・ばしゃん!!


 そんな音と共に男二人は海の方へ吹っ飛ばされていた。

 シオンはふっ飛ばした人がいる方、リィナとレィナを見た。

「シオン君をこれ以上悪く言うのは」

「許せませんね」

 二人はゆっくり飛ばした男二人がいる海の方へ歩いて行く。


「な!何が起こった!」

「しらねぇよ!」

 男二人はなにが起こったか把握していない様だった。


「ねぇ、反省した?」

 男二人は声のする方を見ると、先ほど声を掛けた女の子二人が立っていた。

「お、俺たちと遊ぶ気になったか?」

 男二人は目の前の女の子に吹っ飛ばされたことを知らないので、また誘い出した。

「まったく反省していないようですね」

 レィナがそんなことを言う。


「ここから後ろにいる方たちは、左右に避けていてくださいねー!」

 レィナは男二人の後ろの海で遊んでいる人たちに声を掛ける。


 遠目から見ていた人たちはリィナとレィナが男二人をふっ飛ばしたのを見ていたので、左右に分かれて行った。


「え?え?なんだよ!?」

「何が起こるんだ!!」

 男二人はまだ理解していないのかきょろきょろしている。

 すると


「お~い!お前さんたちをふっ飛ばしたのはこの子達だぞー!」

 遠くからそんな声が聞こえた。


「「・・・え?」」


 男二人の声が重なった。



「そこらの女の人に声を掛けるのは!」

「とっても迷惑です!!」

 二人はそう言うと、先ほど教わった要領で海水を寄せ集め始めた。

 男二人も浅瀬で海水に浸かっていたのに、いつの間にか海水は無くなっていた。


「「反省しなさい!!」」

 リィナとレィナが同時に声と共に腕を突き出す。

 ドゴォーーーー!!

 寄せ集めた海水で男二人を沖の方に一気に押し流してしまった。


 それを見ていた人たちは呆然として、流された男二人を目で追った後、リィナとレィナを見た。

『おおぉぉーーー!!』


 今の光景を見た人はなぜか歓声を上げ始めた。

 どうやらあの二人は他の客も迷惑していたようだったらしい。


「さっき教えた魔法なのにもう攻撃に転用してるよ・・・」

 シオンはそんな様子を見ているのであった。




「シオン君、飲み物は?」

「買ってきてあるよ。はい」

「ありがと!」

「ほら、レィナも」

「ありがとうございます」

 周りの目はまだあるが三人で飲み物を飲んだ。

「さっきのすごかったですね!」

 周りからは見えていないフィーは三人の周りをくるくる飛び回りながら騒いでいた。


「フィーもいる?」

「飲んでみたいです!」

 シオンが聞いてみるとフィーはすぐにシオンが飲んでいる飲み物を飲み始めた。

「おいしいです!」

 フィーはそう言ってまた三人の周りを飛び回るのであった。

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